『かぐや様は告らせたい』公式ファンブック感想:コミックス未収録エピソードがあるよ

赤坂アカ, かぐや様は告らせたい 公式ファンブック, 2019

かぐや様の公式ファンブック。内容的には13巻まで。例によって天才たちの恋愛戦術とかいう恥ずかしいサブタイトルがついている。ついているというか強調されている

値段分の価値があるかと言われれば、まぁファンブックですから。でも内容は割と盛りだくさんで、単行本派としてはコミックス未収録エピソードが一番の見どころだろうか。特に出張読み切りは初期のノリで懐かしい。後は各キャラに対する原作者さんの所見が、いつもながらちょっと笑う。油断すると設定頑張り過ぎちゃうタイプなんだろうなぁ、とは前作のibを読んでいてもわかる。

しかしながら、誰も得しない謎の芸人コーナーが十数ページもあるのはいただけない。相席スタートというコンビで、お笑いには明るくないので知らないのだが、たとえ知っているコンビでも嫌だ。というかマジどういう意図で入れたの?

描き下ろしがないのが残念。以下公式ファンブック感想。

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構成

内容は13巻、131話までを前提とした作り。

カラー再現

まずは定番、扉絵とかのカラー再現。この作品は絵も綺麗だから嬉しいよね。ただ贅沢だと言われたらそうかもしれないんだけれど、電子書籍だったらページ数の都合なんてないんだから、表紙カバーは1ページ1冊でやってほしかったな……。ってか集英社の電子書籍は解像度低い!!

内申書

その次は、各キャラクターの紹介を内申書の形で書いていくのだが、原作者さんのコメントがいつものノリでちょっと笑う。最近、前作のibも読んでいるけれど、この方はきっと油断すると誰もついていけないどシリアスやってしまうタイプなんだろうなぁと思う 笑。でも奇抜な設定にするタイプではなくて、ありふれたキャラクター付けでも、その性質を獲得するに至る経緯に凝るタイプっぽいね。そういう人だから花火大会のエピソードも描けるんだろうし、そもそもかぐやというキャラクターを生み出せたのだろう。

他のキャラクターも、竹取物語をモチーフにしてイメージを膨らませたものであることが書かれているのだけれど、白銀は帝じゃないんだね。ってかそうか、名前見たらわかる人はわかるのか。なるほどねー。まぁそもそも、本家竹取物語については、作中でも一家言ある風だったしね。ってか、よくラブコメの下敷きに竹取物語を選んだよなぁ。あれ、ラブコメとしてはあんまり好きになれない話だからなぁ。そこらへんのこと、原作者さんの話聞いてみたいなぁ。

ドキドキグラフ

原作者さんの気持ちと合っているのかどうか定かではないが、かぐやと白銀のドキドキグラフ(131話、文化祭デートまで)はちょっと面白い。節目節目で、二人の感情の揺れ動きがグラフ化されている。どういう基準で描かれたんだろう?(勝敗で上げ下げ……しているのかどうか)とか疑問はありつつも、まぁ公式だし、原作者さんも目は通しているだろうから、概ねこんな感じなのだろう。

割と拮抗しつつも、全体的にかぐやのほうがドキドキちょっと高め。特に恋の病でぶっ倒れてからは、ずっと一定以上の高さを維持している。白銀は終始不安定だけれど。男は不安定。

そして、ドキドキのピークはやっぱり花火大会の時のかぐやでした。俺のピークも花火大会(どうでもいい)。本作の中でも傑出したエピソードで、俺的にもいまだに花火大会が一番好き。この話を読めただけでもこの漫画読んで良かったと思えるレベル。

でも他のエピソードも、他のラブコメだったら珠玉の一話みたいなのばっかりなんだよね。本当にすごい作品だ。

全勝敗リスト

全勝敗リストは、ファンブックらしい良いまとめ。こういうの、昔は個人サイトでファンが作っていたんだけれど、最近はそういう感じでもなくなっちゃったね。あ、でもかぐや様くらいメジャーだったら、作られているのかな。

会長と藤原書紀の話一覧

このまとめもなにげに有り難い。会長と藤原書紀の話をまとめてくれている。通常、カップル系の漫画において複数ヒロインを思わせるような構成はラブコメとしての純度を下げると思うのだが、会長と藤原書紀の場合は不思議と男女的なものを感じさせない、良いバランスである。そういう意味では、かぐやと石上会計の話をまとめたものがあってもよかったかも。

誰得芸人コーナー

もう読み飛ばしたっていうかこれ真面目に読んだ人いるの?って思うんだけれど、本ファンブックで一番意味不明なのがこの芸人コーナー。相席スタートというお笑いコンビがかぐや様、というか恋愛を語るのだが、内容に関心ゼロだしそもそも誰だお前感が半端ない。

いや、マジでこれ誰が得するの。別に芸人さんがやらせてくれって言ったわけでもないでしょ。芸人さんは、お仕事頼まれたから引き受けただけだろう。でも裏で何か嫌な金の流れを感じるわ。こんなんにページ割くくらいなら、描き下ろしの一つでも入れてよ……

スピンオフのやり方とか見ても、かぐや様は編集に恵まれていない気がする……。

コミックス未収録エピソード

まぁ一番の見どころ。雑誌限定だった未収録エピソード2セット。特に俺みたいな単行本派には嬉しい限り。というかこれ目当てに買ったといっても過言ではない。比較的初期の話と、中期以降の話で、ノリや絵柄の変化が楽しめる。

ラブコメロッカーの展開という、本編ではちょっとされなさそうな話。しかし白銀の相手がかぐやじゃなくて藤原書紀とは……かぐやに色っぽいサービスはさせられないよってことなのか。ってか同人版はこういう話をもうちょっと膨らませてやればいいのに……と思ってしまった。

小ネタ

随所に小ネタが挟まれているんだが、個人的には「お可愛いことコレクション」のお可愛いことコピペ連発はちょっと笑った。で、それと同じページにあるかぐやの「失望」コレクションは面白い見方だなー、と感心。ゴリゴリのプラグマティストのかぐやは、自身の有能さを常に示さないと、「会長に捨てられる」という恐怖心を持っているのだが、これは明らかにかぐやの負の内面であり、本作のテーマでもあろう。一歩間違えると自己満足どシリアスに突入してしまいそうな重い設定をコミカルに描き上げられているあたり、この漫画の素晴らしいところだよなと思う。

ファンブックですので

お値段高めだけれど、ファンブックだからね。関わっている人も多いのだろうし。ただ描き下ろしがないのはちょっと不満。いやまぁなきゃいけないものでもないんだけれど、1,000円近くするファンブックなのだし、コミックス未収録エピソードだけではなくて、描き下ろしがあってもよかったと思うんだ。。。あの芸人コーナーの代わりに描き下ろしがあれば、何の文句もなかったんだけれどなぁ。

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