作・赤坂アカ。2018年8巻。ラブコメとして頭3つくらい抜けている気がする。もう8巻なのに、いまだ最初の数ページで妙に引き込まれてしまうのはなんなんだ。ラブコメの定石を用いながら、常に一枚上をいくのは作者さんの引き出しの多さと高い発想力そしてセンスの賜物か。
白銀とかぐやの間で既に頭脳戦はほとんど行われておらず(サブタイ後悔してそう)、いかに自分が納得できる形でイチャイチャするかに全力が注がられている。なんてハッピーなんだ。
そして石上くんはやっぱアレなん、伊井野なんかね。わかりやすくマイナスとその反転材料が散りばめられているのだが。個人的には藤原さん推しだったんだけどなー。藤原さんはマスコットなのか…。
以下8巻感想。
恋の病じゃ治せない
この漫画なに。もうこの漫画の続きを読むために頑張って生きようと思うくらいには楽しい。白銀とかぐやが互いに好き過ぎている様子を、ありとあらゆる角度から描写されるのすごいニヤニヤするわ。本巻は特にかぐやの偏愛ぶりがフィーチャーされていた。表題も"かぐや"だし、基本はかぐやの恋物語なんやろねこの漫画。
それにしても、会長に触れられただけでドキドキのあまり倒れて救急車に運ばれるって、この子会長にキスされたら死ぬんじゃないのか。有名なシルバー川柳「恋かなと 思っていたら 不整脈」を逆手にとった、不整脈だと思ったら恋という新パターン。病院のスタッフが全員真面目な顔で頬だけ赤らめながらかぐやの診断を続けている様がとても楽しい。というか恋の病で倒れるとかいう超展開をギャグになり過ぎずマジでやってのけられるこの漫画のバランスよ。
体育倉庫イベントというらしい
そのきっかけとなったのは、年頃の男女が狭い密室に二人きりで閉じ込められるというラブコメ伝統のアレ。これは体育倉庫イベントというらしい。閉じ込められるのは体育倉庫のほか、音楽室とか美術室とか理科室とか、特殊教室系もよくある。この展開の行き過ぎた極致が、押入れやロッカー(この場合閉じ込められるというより隠れる、だが)と思う。個人的にはラブコメロッカー展開とか勝手に言っていた。ちょいエロ入っていると、異性を布団の中に隠すパターンもあるなぁ(隠れるのは男のこともあれば女のこともある。手を握るのも半年ぶりなこの漫画ではまずないだろう)。
まぁつまり、ラブコメとしては非常によくある展開なのだが、そこはそれ、この漫画の設定のよくできたところで、互いに互いが相手の策謀によるものだと勘違いし、あからさまに用意された恋愛シチュエーションだと判断して行動に出るという、よくある密室でドキドキして終わりとはひと味違う展開。ただ王道には王道の良さがあるもので、やはりこの展開になった以上、心理的にも物理的にも距離を縮めてドキドキしてほしいなぁなんて思うわけだけれど、そこのところはしっかり押さえてキス未遂。いいなぁ。ゴールを妄想する時、男のほうが案外ピュアな妄想に留まるのもラブコメ的には定石だけど、やっぱりいいなぁ。そしていざ事が実現すると、キョドってしまってどうにもできないのも、王道だけどいいよなぁ……。
少女漫画ってどうなんだろね
こういうのは少女漫画系のラブコメでもよくあるんだろうか。今回少女漫画パロディの話があったけれど、少女漫画には手を出していないので、実際のところどんな感じなのかは気になる。こんなサイトをしているけれど、少女漫画には手を出していないんだ。今日あまとやらには元ネタがあるのだろうか。少女漫画にも面白いのあるんだろうなぁと思うものの、異文化だし、単純に歳食ってしまっている分、読んで面白いと思える作品を探すのは骨が折れそう。それこそ10代の頃だったらなんでも読めたけどなぁ。姉の持っていた(この枕詞は確かに使う!笑)少女漫画雑誌を読んだ時、巻頭読み切りのむっちゃキラキラした甘酸っぱい初恋漫画をつい何度も読んでしまったことを覚えている。内容は覚えていない。
そんなキラキラしたものばかりではないことは知っている。やはり姉の持っていた少女漫画を読んだ時、主人公が強姦されるところから始まって(しかもあまり可愛くない設定らしく、紙袋を被せられてやられる)、当時なんだかんだいってまだまだ純粋だった俺はたいへんショックを受けた。でも一番のショックは、姉の持っていた同人誌を読んだ時、男と男がチュッチュしだしたことかな 笑。でも全部読んだわ。漫画ならなんでもよかったんだなぁ俺。
今となってはそんな心の余裕も時間もなく、しょうもないと思ったら5分で読み飛ばす(それでも一応最後までは読むことが多いが…買ったのに勿体無いし)。あーこの展開か、などと小賢しいことも思うようになってしまった。石上くんは高校生にしてもうだいぶ手慣れてしまっているようだ。しかし、わかっていてなお面白い、そういう漫画はやはりあって、まぁこの漫画もそうだなと思う。
石上くんのお相手
ところで石上くんと言えば、お相手はやはり伊井野なんだろうか。ラブコメ的に、マイナススタートはそれ自体がもうフラグだしなぁ。しかもわかりやすく、マイナスを反転させるような材料が散りばめられているし。特に花のこととか、そんなクッサイことするのもうアイツしかおらんやろ。普通ならドン引きしそうだけれど、伊井野は夢見がちだからいいんだろうね。夢見がちという点では、石上も捻くれているようでなんだかんだナチュラルに夢見がちなところが、その恋愛観(かぐやに"本当の愛"についてアドバイスした時の話)から伺える。あとラブコメないしラブロマンス読んで恋したくなる間は、だいぶ健全だなぁと思う。ラブコメ脳こじらせると、物語を完全に自分と切り離してしまうようになるけれど、石上はまだ大丈夫らしい。
個人的には石上くんには藤原さん推しだったのだけれど、展開的には伊井野やなぁ。裏ヒロインって書かれているしなぁ。石上くん裏主人公やろ。藤原さんは生徒会のマスコットなのか。
とまぁ本当に楽しく読んだのであるけれど、今回は白銀が若干控えめだった気がするので、次はもっと攻めてほしいと思いつつ、9巻出るまでは頑張って生きようと思うのであった。
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