『ib -インスタントバレット-』3巻感想:ガール・ミーツ・ボーイの絶望的に幸せな結末

赤坂アカ, ib -インスタントバレット- 3, 2014

今回も恥ずかしいサブタイトルがついております。その名も"過去と未来に初恋を"。第二章です。第一章の「やさしくなりたい、優しくない人々」 の最後も描かれるんだけれど、第二章のインパクトが強すぎてもう。

名前負けしない話でした。。。重いわつらいわキッツイわ。キレイな話描きやがって……。

完全無欠の初恋物語です。悲しい。表紙はクロと夢にすべきだったのでは…?いや実際、サブタイトルは第二章なわけだし。

にしても、この先にこれ以上の展開あるの?なんかもうちょっと鬱なんだけれど。以下3巻感想。一応警告書くと普通にネタバレなので。

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完成された美しさ

恋物語には大きく分けて2種類ある。続く恋の話と終わる恋の話だ。本巻で語られるのは後者である。それ故に、完成された美しさがある。そしてそれは大きな悲しみを伴う。

ま、端的に言えば、悲恋である。幸せな悲恋である。幸せに不幸な死を笑顔で迎えた少女と、泣きながら見送った少年の話である。

きっついわ。なんかチーム世界の端っことか言い出すから、メインメンバーは死なないかとちょっと思ったんだけれどダメだったよ。はー。

キレイな話です。ボーイ・ミーツ・ガールの標本です。というより、ガール・ミーツ・ボーイというべきかな。多分、クロが夢に出会ったというより、夢がクロに出会った、というべき話だから。そして、別れる話だから……。

別れの形にも色々あるけれど、ラブコメの美しさを芸術的に高めるのはやはり死別だろう。ええ、最後のワンシーンはそりゃもう美しかったですよ。でもつらい。別に美しくなくていいから、しょうもなくて幸せな未来のほうがいいよな、と思う人なんです俺は。

悲恋がラブコメで描かれる美しさの一つであることはそうなんだけどさ。そういえば、ベクトルは違うけれど中二的シリアスさの入った惑星のさみだれも、物語中に打ち込まれたよな。アレもつらかった。でも、変な言い方だけれど、完璧だった。完成されていた。この話も……。

ガール・ミーツ・ボーイ

魔女こと古砂夢が、予定通り死ぬまでの、予定調和のワンシーン。そのワンシーンを、いかにして語り、彩るか。

俺が好きなのはどんな時にも希望を追いかける、そういうラブコメでね、こういう悲恋、しかも死別なんてのは、どうにも性に合わないよ。でもその美しさばかりは認めないわけにはいかないからな。

もっとも、この美しさは誰にでも描けるわけじゃない。結末が決まっているからこそ、最後に爆発させる瞬間を、ピークを、どこまでも高めなくてはいけないのだが、さすがに後年にかぐや様を描く赤坂アカなだけあって、完璧に仕上げてます。

いや正直夢の最後のバトル的なところはまぁなんだけれど、あんまりそこは本質じゃないし。むしろ変にそこ凝られても困るというか。バトル漫画じゃないし。そりゃまぁ他にもツッコミだしたら色々あるけどさ。荒削りではある。話も短いからどうしても設定先行にはなっているし。時間操作系はどうしても難しくなるよね。でもそんなことは些細なことというか。本質は伝わる。パワーがある。

重要なのは夢の心理描写であって、見せられる範囲でうまく魅せてきたなぁと思う。クロは絶対来るだろうと、わかっていても見開き大ゴマで決められた時にはやはり心震えるものなのだなぁ。クロが助けにきて、「もう幸せしかない」は夢が最期に見せた涙であったけれど、悲しくも幸せな涙だった……。

最期、クロが血を流す夢を前にして、涙で声にならない声を口にするやりとりは、漫画ならではの表現でよかったな。「聞こえません」「もっとはっきり」の夢の表情が素敵だ。

クロ「好き だ 夢」
夢「うん それそれ」

赤坂アカ, ib -インスタントバレット- 3

振り絞り泣き崩れたクロと、破顔一笑の夢の対照的な1ページ。それから「終わる世界の物語」のシルエットまで、美しいガール・ミーツ・ボーイだった……。

でも、クロが夢のことを本当のところどう思っているのか、ここまでだとちょっとよくわからないんだよな。クロは夢と別にミーツ・ガールしちゃっているし。今回の話が、クロのボーイ・ミーツ・ガールに影響を与えるだけなのか、それともクロのボーイ・ミーツ・ガールが描かれる過程で、このガール・ミーツ・ボーイにおけるクロの気持ちもわかるのか、恐らく後者だろうと思われる。現段階で、クロの気持ちについてはできる解釈に幅がありすぎるからね。

となると、完成された、と言ってきたが、実はまだ完成しきっていない。ここまできたらきっちり美しく仕上げてほしい。

ってか、この物語のメインヒロインは別だとは思うんだけれど、夢とクロのビジュアルが後年かぐや様で描かれる会長とかぐやだし、なんかこの二人が一番力入っているんじゃなかろうか。今回の話が夢のガール・ミーツ・ボーイなら、この後はクロのボーイ・ミーツ・ガールの結末なのだろうけれど、正直この話を超えられる気がしないんだが、どうなるんだろう。あと2巻、かぁ。。。

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