『かぐや様は告らせたい』14巻感想:彼の”願い”は彼女の闇を照らす

赤坂アカ
かぐや様は告らせたい 14, 2019

今回も素敵物語。実写化もされるみたいでおめでとうございます。

文化祭編のクライマックス、シリアスからコメディまで、圧倒的だよこの漫画は。この巻でついに二人が……二人が……。

それにしても、かぐやの多重人格はもはや解離性障害といっても良いような域に達しているのではなかろうか。この物悲しさを、あくまでコメディカルに、しかし時にはシリアスに、様々な温度感で描かれるところにこの漫画の凄みがあるよなぁと思う。以下14巻感想。

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告白しないんかい!

と思ったのは正直俺だけではないんじゃなかろうか。いや面白かったんだけど。満足したけど。ウルトラ素敵だったけどさ。実質的に告白、っていうか告白以上のことをしているのだけれどもさ。夜空に舞い浮かぶ無数の風船、語られる無言の想い、からのキスシーンってね。キスシーンだよもう。ついにだよ。早坂じゃないけど感無量だよ。俺は嬉しいよ。カナーン!

でもねー、やっぱ告白までしてほしかったなっていう気持ちもあって……。会長は、告られて初めて対等になれると考えているようだけれど、そりゃちょっと違うんじゃないか。かぐやの言う「告ってくれれば成功率100%なのに!」が、告られたい心理の本質の気がする。

まぁもう恋人未満実質以上って感じなんだけどさー。でもやっぱり、名実ともに恋人になるなら、言葉にしないとダメなんだよな。別に契約主義者じゃなくっても、儀礼として必要なもの。逆に言うと、気持ちがなくったってその儀礼を通過すれば二人は恋人。

正直、今回で表題については結論を出すんだと思っていたので、一つの区切りでありながらも、実質的には延長戦の色が濃かったのにはちょっと拍子抜けではある。でも、二人の関係を考えると今回で結論出すなんてのはもとより無理だしね。

ずっと一緒にいたいから

なにしろ会長、スタンフォードだし。今どきはもう東京大学物語じゃあかんのですね。これからはスタンフォード大学物語ですよ。なるほど。随分時期外れの合格通知だと思っていたが、アーリーなんてあるんやなぁ。スタンフォードとか行ったら、就職もそのまま現地でしてしまいそうやね会長。会長の能力と野心、そして国内に地盤があるわけではないことを考えれば、日本に留まる理由なんてないものな。海外、それもアメリカで一旗あげる、これだけわかりやすい庶民の成り上がりもないものだ。

そこまでいけば、四宮に肩を並べられる……立身出世の志はあれど、その原動力がかぐやへの想いであることには違いない。白銀は、自分の気持ちを学生風情のいっときの恋愛感情なんて軽く考えていない。彼はもう、彼女と生涯を共にしたいと、そのように思っているのだろう。

だからこその、「俺と一緒にアメリカに来い」である。一緒の大学行こうね、あ、スタンフォードなんでよろしく!とは無茶苦茶だが、白銀はかぐやの能力については信じているので、自分にできて彼女にできないはずない、くらいのことを思っているかもしれない。

理屈を超えた切実な願い

ただし、彼女の場合は特殊な家の事情がある。そのことを、どこまで深く知っているかは別にしても、白銀も知らないはずはない。自分と家を選ばせてもいるとも言える。どれだけの覚悟で、白銀がかぐやにその選択をさせたか。

いや、選択ではない、お願いだ一生に一度のお願いなんだ。なにかをなげうってでも、自分と人生を共にしてくれという、切実で重大な願いだ。

それは選択ですらない。選択を辞書で引くと、以下のように説明される。

多くのものの中から、よいもの、目的にかなうものなどを選ぶこと。「―を誤る」「テーマを―する」「取捨―」

goo辞書, デジタル大辞泉, https://dictionary.goo.ne.jp/jn/126831/meaning/m0u/

よいものを選ぶこと。違う。こんな、合理的なことではない。スタンフォードに行くことは、白銀にとっては立身出世で合理的でも、既に家柄も十分で、特殊な家庭環境のあるかぐやにとってはそうではない。いっときの感情に流され、家に逆らい、もてるものも捨てる覚悟をして、何もわからぬ新天地に立つなど、合理的な選択ではありえない。

それは白銀にもわかっている。それでもなお、きてほしい。それは白銀の我儘だ。感情だ。感情のままに生み出された、たった一つの願い。それは不合理で、唐突で、無茶苦茶だ。

かぐやたちの性癖不一致

そんな白銀の願いを、かぐやは聞き入れる。彼女の「はい」の重みを、白銀はよく知っている。それは、いくつにも分裂した彼女の人格が共通してもつ、最後の自我みたいなものである。その凛とした強さに白銀は惹かれたのだろう。そしてそれを形作ったのは、彼女の闇が生み出した氷のかぐや姫。今やかぐやの脳内裁判でしか姿を見せなくなった氷のかぐや姫ではあるものの、なんだかんだ言ってもかぐやの大事な一側面である。

文化祭の後、今後の方針を決めるために、例によって脳内裁判が開かれ、久々に氷のかぐや姫の大活躍が見られた。こっちのかぐやが好きな人もけっこう多かろうね。

そして明らかになる人格ごとの性癖の不一致という衝撃氷のかぐや姫、ドSっぽいのに以外にも押し倒されたい派。まぁ、自身の感情を抑え込んで生まれたと思われるこの闇の深い人格は、できることなら自分を屈服させてほしい深層心理があるのかもしれんね……とか考えるとますます深遠だわ。

かぐやの闇

あほのかぐやにしても、彼女の多重人格は、もはや日常生活にまで影響を及ぼしているしさ。これもう解離性障害といっても差し支えないんじゃなかろうか。特殊な家庭環境が、彼女にどれだけ深い心的外傷をもたらしたのか、想像するだにつらくなるよ。

感情や理性を分離させて、自分を複数もつことで、なんとか心の柔らかいところを守ってきたんだなって、信じられる人もいないから、全部自分の頭の中だけで議論して、大切なことを決めてきたんだなって、そんなことを思うと、なんだかいたたまれない。いや早坂のことは信じているとは思うけれど、ちょっと特殊な関係ではあるしね。自分の重荷を背負わせていいか、背負わせられるのかっていうと、それは別の話。かぐやにとっては、会長が唯一、それができる、信じられるものなんだなって。

この重い設定が、基本コメディカルに、しかし決して軽々しく扱うのではなく、時にはシリアスに描かれるところに、この漫画の凄みを感じる。次回から氷のかぐや姫が復活するwktkな展開だが、これだって考えようによってはめっちゃディープな話なのに、そのトリガーが会長を好きじゃない呼ばわりされてキレた、だいたい自分はキスするよりされたかった!というアホらしいものなので、絶妙なバランスでシリアスになりきらず、しかしその奥底にある「私の気持ちも汲んでよ!」という切実さだけは残しているんだよなぁ。だから面白いし、先を読ませるものがあるよなぁ。

しかしこれ、白銀が氷のかぐや姫にキスしたら満足してまた眠るんだろうか。普通はキスしたら目覚めるのがお姫様だと思うんだけど。なんにしても受験大丈夫かおまえら

ディープといえば…

ディープといえばディープでしたね。キス。マジか……。会長とかぐやの初キスは楽しみにしていたけれどまさかそれが大人のキスになるとは思わなんだ。見開きキスシーンは何度も見てしまう。だがこれ舌入れてんのかこいつらと思うと確かにちょっと見方が変わるわな。普通にキスしてほしかった感は正直ある。ということで、次巻では普通のキスもしてほしい

石上くんの恋模様

ところで石上くんの恋模様はまだ続くらしい。どうしても会長とかぐやが強すぎるので、注目度は下がってしまうけれど、ハイスペックな会長とかぐやの関係からは描かれない生々しさが、石上くん周りにはあるし、こちらも注視していきたいね。

ただ、つばさ先輩、思ったよりもだいぶ脈アリで驚いている。でもやっぱり伊井野フラグなんじゃないのかなぁと思う。今回、なんだかんだで伊井野も脈アリって示されたし。だいたい石上にしても、一番自然体で楽に接することができるのが伊井野だろうし。ってか、伊井野相手以外で石上が素を出す相手っていない……あ、藤原は割とそうかも。藤原でもよかったんだけどな俺。まぁでも、藤原に対しては甘えというべきものだろうしな。やっぱり伊井野だろう。

次巻が出るまでは生きる

この漫画楽しみ過ぎるので、少なくとも次巻が出るまでは頑張って生きるよ。ありがとう作者さん。

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