『ファイアーエムブレム暗黒竜と光の剣』1巻感想:カプ厨の教典ゲームFEの、90年代にあった奇跡のコミカライズ

作・箱田真紀。1994年1巻。うるせぇ久しぶりに読みたくなったんだよ。

まぁ実際、オタク文脈においては、特にカプ厨的観点から、ファイアーエムブレムはもはや教養なのではないか?ラブラブアタックとかいうクソダサネーミングをクソダサと思いつつその垢抜けなさが良いと愛されていた。属性的にも、戦う女とか絶対領域とか片思い属性とかこの作品で開花した諸兄は多いのではなかろうか。はいはいカチュアが好きでした。

そしてファイアーエムブレムはゲームはもちろんなんだが、地味にこのコミカライズも、俺の性癖に大きな影響を与えている気がする。確か大昔、姉の本棚にあったのを勝手に読んでいた(姉に何度かキレられている)。僕のオタク歴は姉の影響が強いので、年代からズレているのだが、だいぶ90年代の影響を受けていると思われる。

コミカライズは最近こそよくできたものも多いが、基本的にはジャンル自体が地雷原というべきもので、特に昔はそうだった。その中にあって、本作は90年代にして奇跡のようなコミラカイズだったのではないか、と今にして思う。また一方で、いかにも90年代という絵柄とお話なのはご愛嬌。同人とプロの垣根がこれほどまでに近かった時代もないのでは?🤔

以下なぜか本当に今さら1巻感想。アリティア軍があらわれた!!(紋ビラ)

目次

30年前のカプ厨製造機

90年代、それはガンガンが「日本一元気な少年マンガ誌」とかいう誰に刺さるのか意味不明なキャッチフレーズで売り出されていた頃だが、本作はガンガンではなくガンガンファンタジーという、一際オタク度の高い雑誌で連載されていた。っていうか今にして思うとあれは日本一厚い同人誌だったのではないか?本サイトでは、Gファンタジー作品としてレヴァリアースを一度取り上げている。

レヴァリアースも既にニッチなわけだが、本作は今となってはさらにニッチかもしれない。30年前の作品というのもあるが、コミカライズというのが……いやでもファイアーエムブレムは今でもいき……なんだろうか?いまどうなってるんですか……。

ファイアーエムブレムは、聖戦の系譜以降、自分でキャラ同士をくっつけられるという仕様によって数多のカップリング戦争を巻き起こすことになるわけだが、これは背景的に当時のギャルゲー文化の影響とかあったりしたんだろうか。あのファイナルファンタジーシリーズの7(1997年)でさえも、主人公・クラウドとヒロイン三人娘との間に好感度など隠しパラメータが設定されていた。そういやスターオーシャン2もカップリングを自分で作れたんよな。時代だったんだろうか。

ただし、本作は初代FC/SFC・暗黒竜の光の剣がベースで、これはカップリングを自分で作れるわけではない、固定CPであった。

が、支援効果という好きな人が近くにいたらパワーアップする仕様が公式に採用されていることで、この仕様が多くのファンを沼に引きずり込んだ。さらにファイアーエムブレムは敵にやられるとマジでキャラが死んで復活しないうえに、散り際に思い人の名前を呟いて息絶えるなどの演出があったため、お前そうだったんかとその時初めて知るなどもあり、これによって当時多くのファンの脳が焼かれそのままカプ厨になったと言われる。

当時のゲーム、仕様でカプ厨を作っていた

ちなみにファイナルファンタジーことFFは当時、伝統的に女の子キャラがどのシリーズにも3人いて、界隈では三人娘などと言われていた。FF5は最終メンバーが4人だったので、男1人+女3人のハーレムパーティ、しかも全員お姫様ということで、もし今出ていたら色々ひでぇことになっていた気がする。時代を先取りしすぎていた。

コミカライズは二次創作なり

閑話休題。さてそういう時代背景のもと、ファイアーエムブレムをコミカライズしたのが本作なのだが、今にして思うと、コミカライズとして奇跡の逸品だったのではないか、という風に思える。本作は全12巻まで出ており、確かにコミカライズあるあるで途中で終わってしまう残念仕様になってしまってはいるけれども、12巻まで続いたこと自体が快挙だと思う。

また、内容的にも非常に独創的な解釈があり……というとなんだか含みがある感じになってしまうが、まぁ実際賛否両論だったのではないかと思うが、キャラクターの見た目からキャラ同士の関係まで、一貫して作者さんの解釈に基づいた描写になっている

たとえば原作では、みんな大好きオグマ隊長は主人公・マルスを「マルス王子」と一線引いた呼称で呼び、さらにタリスの王女・シーダ(マルスの恋人)から一方通行の支援効果を受けることなどから、色々と妄想を膨らませられたが、本作において、オグマはハッキリとシーダに対しては子供扱い、マルスに至っては「マルス」なんなら「ぼうず」と呼ぶ大人。

またオグマのライバル的なキャラ、ナバールの見た目は思いっきり(当時のオタク)女子好みに改変されており、正直ちょっと笑ってしまう。でもしゃーない、90年代ゲームのイケメン男子の見た目は……トレンディだから……

そのような思い切った解釈だが、ところどころで「海賊の見た目めっちゃ似てる!!」とか「シューターの登場の仕方がいい!!」など、ゲームファンの心情をちょくちょくつくところがあり、ああコミカライズの醍醐味ってこれだよなぁ、と思うなどした。

当時、コミカライズはまず二次創作だった、ということが窺えるのだね。

しかしまぁ、コミカライズあるあるだが、とにかく展開が遅い。この1巻で、SFCなら全20章あるうち第3章まで。しかもここからキャラクターの数が指数関数的に増えるわけで、これは……。しかもオリジナル要素ガンガン放り込んでくる始末。うーんこれは約束された中途退場。

ゆっくり展開は良いコミカライズの条件ではあるものの、最後までいくことが至難ということでもある。2010年代くらいになると、これくらいの丁寧さでかつ最後まで完遂するのではというようなものも見られるが、当時はねぇ……。

もはや歴史

などと思いで語りで終わってしまったのだが、正直思い出補正こそあるものの、今から誰かに勧められるかといえば、それこそカップリングオタクの歴史を知りたい謎の人に、当時の資料としてどうぞという感じではある。割と古本屋で今でも見かけることはある。全巻揃っているかは微妙だが……。

そして当時のいかにもGファンタジーというか同人というか、線がほっそいのが、特に男オタクには微妙かもしらん。また滲み出る90年代思想が、修羅の令和男子にはヌルすぎて無理とかあるかもなぁ。いや今さら読む人いないと思うが……。

なにより本作、まずゲームをやらないことには楽しめないだろうなぁ。これは二次創作としては正しいけれど、コミカライズとしては、今だと微妙な評価になるかもね。

と言いつつ、もしかすると性懲りも無く2巻以降の記事があるかもしれ……ない……?

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • 懐かしい!
    後半出てくるオリキャラが結構好きでした。あれも今の時代じゃ絶対出せないキャラですよね…。
    大沢美月版の聖戦の系譜とかぜひ感想を読んでみたいです。あれは完全に恋愛主軸の少女漫画なので…。ファンタジー戦記物と読んでも名作だと思いますが。

    • 彼は今の時代に出たら炎上すると思います笑
      自分も彼のキャラはけっこう好きだったんですが、ただでさえキャラ数が多い中で、他のキャラの出番が食われてしまうのは痛し痒しですね。
      大沢版は実は読んでないんですよね。ゲームはやっているんですが。内容をどっかで聞いた感じ、確かCPが解釈違いで抵抗あったような記憶が無きにしも非ずです。
      今となってはもはやなんでもよかろうなので、気になっていた作品ですし、どっかで見つけたら読みたいですねぇ。

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