ちょっと政治的な話題になるのでどうかと思ったけれど、ネット広告の品のなさについては当サイトも過去に話題にしたことがあるネタだし、なにより下記の図を見て思わず笑ってしまったので取り上げたい。

せんせー、黒下着女子の「いっぱい見て」は性的ネット広告に入りますか?
まぁこれはYahooニュースの「性的ネット広告、規制はできない? オンライン署名10万筆提出…「表現の自由」との兼ね合いは(ENCOUNT) - Yahoo!ニュース」記事で表示されたものなんだけれど、実際のところ、この記事内に表示されている「全部ハジメのだから……いっぱい見て」という広告は"性的広告"とやらにあたるのか否か、是非ともYahooにその見解を聞いてみたいところだ。
エロ広告とは何なのか
手取りは特に増えていない今日この頃、例の党の議員が「エロ広告!エロ広告!」と国会で絶叫したと公的に記録され、にわかにネットの広告規制論が活発化し始めているようだが、こういう風景を見ているとなんだかんだで暇な人が多いんだなと思う。僕自身はネットの広告には辟易としているクチではあり、実際大昔に漫画の広告について苦言を呈した記事を書いている。

この記事は2016年末、つまり今から8年以上前の記事だ。そんな僕だが、最近のネット広告規制の議論は危険だと思う。それが性的な広告であれ、なんであれ。
そもそも、エロ広告とは一体なんなのだろうか。冒頭記事で取り上げたYahooニュースの広告はエロ広告だろうか。

年頃の少女が、黒の下着を身につけて、そのうえにボタンを止めていない……というかそもそもボタンがないシャツ一枚を羽おりアンニュイな表情で「全部ハジメのだから……いっぱい見て」と言葉をのせるのは、一般に扇情的と言っても差し支えない気はする。
だが印象はどこまでも主観に過ぎない。あくまで客観的な事実で性的であることを説明するならば、「下着姿の女である」に尽きる。しかし下着姿の広告は性的であるとした場合、とりあえずワコールとか困りそうだし、行き過ぎだろう。エロの定義は簡単なようで難しい。
まぁ実際、漫画広告にはもっともっとどぎつくて直接的なものが山とあるわけで、ひょっとすると件の議員などはそういったものを想定したかもしれない。しかし、上記の「いっぱい見て」を「性的だ」とみなす人もそれなりにいるのではないだろうか。ここに解釈の違いがある。
そもそも性的というのが主観的な感性の発露であって、それを社会通念とかそれらしい言葉でまとめたところで、原理的には定義不可能な抽象的概念であるには違いない。したがって、言葉で定義すればするほどに歪む。
このへんはかつての小説規制においても似たようなことがあったようで、直接的に性交の描写を描くとお上からNG食らうが、間接的なら問題なかったのでむしろ描写が発達したという話を、昔たしか官能小説の奥義とかいう本で読んだ記憶がある。
これは広告にも言えて、規制すればするほど、隠微の表現手法は発達することになるだろう。そもそも「全部ハジメのだから……いっぱい見て」という広告自体、既にその発達の結果に見える。ってか、この言葉は作中にあったのか。
そんな広告で大丈夫か?
作中といえば、僕は「ありふれた職業で世界最強」の作品を読んでいないのだが、この広告の見せ方はファン的にはどうなのだろう。僕は作品を読んでいないので、想像するしかない。このキャラも知らない。なんとなく某とらぶっていた一味に似た子がいたなぁと思ったりはしている。この広告はそういう見せ方をしている。作品の魅力というより、単体の女性キャラクターの性的魅力が打ち出され、その割にこの子の名前はわからない。
まぁでもきっとハジメはモテモテなんやろなぁ。そしてじっちゃんの名にかけてハジメちゃんは古今東西エッチなのだろう。そして恐らくは、ここには出てない美少女たちもまた、「全部ハジメのだからいっぱい見て」と下着姿で迫っていることが期待されるんだが実際のところハジメは主人公ってことでいいんだよね?(名推理)
いずれにせよ、ここにあるのはラベルとしての美少女たちと典型的なハーレムものだ。これは僕が作品を知らずに広告単体だけを見て受け取った印象だが、まぁ多分だいたいみんな同じようなことを思うのではなかろうか。いったいこの印象は作品の感想として適切なのだろうか。「Exactly(そのとおりでございます)」なのか、「あんたも好きねぇ」程度の感じなのか「そんな解釈とんでもない」なのか「野郎ぶっ殺してやる!」なのか。まぁ人によるんだろうが。
文句があってもおかしくないけどな、と過去の事例を考えると思うものの、ネット広告とはとにかくクリックさせることが目的で、読めば多少違っても結果面白ければよかろうなのだ、という風には考えられる。広告なんて真面目に受け取る必要なし、という考えであれば、結局のところ節度とデリカシーの問題なのかもしれない。いや問題ですらないのか。金を払うのは不快に思った者ではなく広告に誘われたものである。そのようにして一昔前にビビッドな広告は量産され一定の成果を上げたのだろう。

だいたい節度といったが、それもどこまでが良くて悪いのかとは一概に言えるものではない。実際、漫画広告として一世を風靡した「抱かせろちゃん」などは、時が経過するにつれて面白ネタ枠として楽しまれるようになった気もする。
まぁ、ネットミームとなったところで売上に繋がるのか謎ではあるんだが。船堀コラを楽しんだ人のうち、実際にディーふらぐ!まで読もうと思った人が何人いるだろう。少なくとも僕は「ゾンビのあふれた世界で俺だけが襲われない」を結局読んでいない。まぁでも少なくとも知名度にはなるよね。何かの拍子でディーふらぐ!を見て「あのコラの元ネタってこれだったんだ」と謎の感動をしている人を見た。
そもそも広告のないサイトもあるんだよ(宣伝)
このようにして考えていくと、広告の善し悪しを評価するのは中々微妙な問題だとわかる。いったい誰が何をどうしてそれをエロ広告だと断定するのだろうか。そしてそれにもとづいて、国家権力が暴力(法的な懲罰)を背景に国民を従わせる合理的な理由とはいったいなんだろうか。この言い回しから察しがつくように、僕はこの問題について極めて慎重な立場を取っている。
とはいえ、別にネット広告に問題がないといっているわけではない。実際、前述したように、大昔から僕はネット広告、特に漫画広告に苦言を呈しているし、辟易としてる。そして実際に、サイトから広告を消した。こういう人は何も僕だけではない。
何が言いたいかというと、ネットで至るところにエロ広告が溢れていると思うのであれば、それはわざわざそういう広告があるところにばかり足を運んでいるからじゃないのか。エロ広告が嫌なら、エロ広告のないサイトを見ればいいじゃないか。そういうサイトはたくさんある。うちのサイトだってそうだ。暇つぶしならうちのサイトを見ればいい。
好きで見ているのでは?
しかしそうは言っても実際ゲームの攻略サイトを検索したら出てくるじゃないかビビッドな広告が、というのは現実としてそうだろう。まぁ今どきの検索に引っかかる攻略サイトなんて、全部コピペパクリクソまとめ企業サイトばかりで、そもそも何も攻略できないんじゃないの?とも思うけど。そういう時代になってしまった。
役に立ちたい、この気持ちを伝えたいという個の真摯な想いは無視され、金だけを考えた企業サイトに金だけを考えた広告が立ち並び、検索エンジンはそれを「信頼あるサイト」として評価する。それを見た人が、他に場を探すわけでもなく、ただネットはエロ広告ばかりと国会で叫び、人々は喝采を上げる。
みんな好き好んで見に行っているように見えるけどなぁ、と場末の管理人は独りごちるばかりだ。
コメント
コメント一覧 (2件)
マア難しい問題です。何しろ幼稚園児がスマホを持つ時代ですから、全く規制無しにとはいかないのでしょう。
しかしながら、大多数が眉をひそめる(性的表現に限らない)広告がある一方、その線引きはたまさんの仰る様に曖昧で、一部の声の大きい人の主張がそのまま通る形で表現規制がされてしまう懸念もあり、手放しには賛同し難いですね。
正解のない問題ですからねぇ。僕自身の見方もけっこう変わっているんです。規制に慎重な立場なのはずっとそうではありますが。
まぁエログロドラッグの扱いは世相が反映されやすいところだと思います。