『成恵の世界』1巻感想:ついてこれないやつは置いてきた25年前の風景

作・丸川トモヒロ。2000年1巻。90年代かと思ったけどギリ00年代だった。

まぁ時代背景は完全に90年代なのだけれど、それ以上に作風に時勢を感じるのはそうだろう。ジャンルとしてはラブコメだけれど頭に不条理がつくかもしれない。ついてこれないやつはおいていく。おいてきた。

まぁ自分も文化的なこととなるとだいぶ疎いので、ああだこうだ語れるわけではないのだけれど、そんな自分でも名前は聞いたことがある有名作なのはそうだろう。あの時代の作品なのにAmazonレビュー数すごいしコアなファン多そう。なお自分は作品については名前以外何も知らない。評価も知らない、何も調べずに書く(いつものこと)。

こんな時代もあったねと2025年に笑う以下1巻感想。いつの時代もラブコメだけは風化しない不思議。

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これは少年が神話になれた時代

もはやいつから積んでいたやらシリーズ。2025年現在、2000年刊行のラブコメ漫画はもはや古典の領域かもしれない。

その時代背景は完全に90年代で、たとえばブラウン管にうつるスクリーンセーバーや体操着のブルマといった画はもちろん、しれっと「オタク」という言葉がネガティブな意味で使われているシーンなどからも、当時の時代背景を感じさせられる。

しかしそれ以上に時代を想わせるのは、ついてこれない奴は置いていくと言わんばかりの不条理な世界観を当然のように突きつけてくるところだろうか。何しろ初っ端から成恵は宇宙人だけどそれはそれとして可愛い、好きです、彼女になって、あ、パンツ見えた鼻血出る、以上。

この設定、世界観をとにかく読者側で受け止め続けるエネルギーが必要。読者側がめちゃくちゃ補完しないといけない。こういうの不条理系とでも言えばいいのか、まぁ作品というのは多かれ少なかれそうなんだが、それにしても度合いがキツイ。それだけに読者参加型コンテンツのような趣も感じられるので、一度ハマればコアな読者も多かったのではなかろうかと想う。

まぁ今思い返してみると、この分野の大スターこそ新世紀エヴァンゲリオンだったのかもしれん。

しかしラブコメは時をかける

時代を空気を色濃く感じる一方で、今に通じるものもある。この不条理なラブコメを00年代にもう少しわかりやすく洗練させたような作品が、謎の彼女Xだったりしたんだろうかと思ったりもした。2006年1巻で、本サイトでも取り上げている。もっとも印象に残っている作品の一つだ。

また、かなり方向性が違うように思われるかもしれないが、自分がもう一つ思い出したのはディーふらぐ!である。

ディーふらぐ!1巻は2009年と10年代手前に連載した作品で、こちらは本作や謎の彼女Xと比べると不条理な感じは薄いのだが、もっとそれ以上に根本的な、読者側で「ああ、この世界はこうなんだな」と理解する姿勢が求められる、という点が同じように思われる。正直客観的に意味不明だけど、登場人物の表情と緊迫感から察しろ、みたいな。

他に当サイトで取り上げた中だと鬼灯さん家のアネキ+妹あたりも思い浮かぶんだけれど、あれはさすがになんか別の要素が強いかも思う。ラブコメには違いないが、それとは別の思想も感じるんだよなあの漫画。ま、そもそも姉弟ものに入るし、近親は家族としての関係も自然と入ってくるから、純なラブコメには設定的にならないんよな。

それに対し、本作や謎の彼女Xなんかがそうなんだが、もっと純粋にラブコメなんだよこれは。ラブコメだけを残した結果、それ以外のところが夢の世界のようになってしまった。しかしところどころにある、所帯じみたテレビのような生活品など妙に現実的なパーツが、時折ここは現実なんだと引き戻す。

彼と彼女の切実な想い、好き、嫌われたくない、モヤモヤする、どうしていいかわからない、ずっと一緒にいたい、誤解されたくない、こういった色々な陳腐な気持ちが、古い時代背景と描写の中で、今なお「今」を感じさせる。ラブコメは時空を超える。最近の映画でもよくかけるし……いやもう最近ではなかった。まぁ該当作品たくさんということで。

ラブコメだけは変わらない

まぁ、色々なものが変わっていく中で、ラブコメだけは変わらないんだなぁと、あっさりした成恵のパンツを見ながら思った

ああそう言えば、昨今のラブコメには不自然なほどにパンツが見えないものが多々ある中で、本作は不自然なほとにパンツしか見えないことだろうか。パンツが爆発オチの亜種のごとくオチの一つになっていることもあれば、場面転換の繋ぎに使われていることもあり、特に意味がない見えていることもあり、パンツ万能説。

昨今パンツが控えめになったのは、さすがにあの時代に見せすぎたのではないかという反省からきた、パンツ引き締めがあったのかもしれない。するとまたパンツ緩和の時代が来るのだろうか。

オタクが考えるのはいつだってそんなことばかりです。そんなオタクの扱いは多少よくなった気もするけれど、その代わりにまた別の生きづらそうなラベルが作り続けられる昨今です。これからも代わっていくのだろうけれど、ラブコメはラブコメのままであってほしいもんですね。

2巻はそのうち。

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • その内読んでみたいと思っていた矢先に、作者が昨年お亡くなりになって驚いた思い出。

    パンツについては……最近観た中だと鵺の陰陽師の七咲パイセンのパンチラが良かったっス(笑)。

    • えっ!亡くなられていたんですか……それは知りませんでした。
      53歳だったんですね、イマドキの53といえばまだまだ仕事盛りですが……そうですか、、、

      アプリもまた起動したいんですが、なぜか心に圧がかかりますw

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