作・ねこ末端、2025年2巻。
なんというのか、非常に技巧的なラブコメだと思う。大雑把なようでジェンガのようなバランス感覚。女子ーずが目立つが、百合乱暴は行き過ぎだし、かといって普通の男女ラブコメ展開なんかされても鼻白む。いまさら性根はウブでしてなんていわれようものなら乾いた笑いが出る。そんな中で、毎度想定の紙一重上をかするような静かな圧を感じる。なによりこの漫画、10年前だと成立しないのではないか。もしかして最先端なのか…?
以下一周回ってきた感のある2巻感想。これラブコメ読み慣れてない人が読んだらどう感じるのか逆に知りたい。
前回記事

自分、童貞ですから…
まぁ本作についてとりあえず一つ言えることは、ラブコメ最初の一冊ではない。少なくとも1000冊くらいは読んでからたどり着く境地。まぁ心配しなくてもこの漫画を手に取る時点で手練れの気はするが…。
この漫画の異様な玄人感は、主人公・ましろの精神が明らかにオッサンであるところだろうか。漢のオーラがうp主の人格を隠す気のないゆっくり実況のように滲み出ている。しかしそれにも関わらず、どこか女子らしいウブっぽさがあるのだが、そのウブっぽさも処女というよりは童貞っぽい。

「カ…カレシに甘えるとか女の子みたいなムーブをしてしまった…!」
これは男なら一度は言ってみたいセリフ(錯乱)。
いや実際ね、思うんだよ。もしも女になったら~みたいな話で、本当に女になった場合、たとえ自我がある程度残っていたとしても、本質的には女になると思われる。そうすると多分、女湯に入るぜーみたいなことよりも、カレシに甘えるという女の子ムーブをやりたくなるような気がする。
そして女になった自分は、自己卑下しない程度には可愛い見た目でありたいが、それ以上に重要なことは持て余すボデー。なぜか?可愛いは主観だが乳の大きさは客観である。でかい乳は自分に自信を与えてくれる。ちなみにこれは現実世界でもそうらしいが…。
胸の大きい女性は自尊心が高い傾向がある - ナゾロジー(怪しい科学記事で定番のメディア)
胸がデカいという客観的なポジティブ要素を持ちつつ、顔については一級とは言わないけど悪くはないんじゃないのくらいの自意識を持てるくらいでいたい。オッサンが要望をある程度かなえて女に転生した場合、ましろスペックになるのではなかろうか。
つまりましろはオッサンの或る種の願望だと思うのだが、それ以上にその関係が理想的に思う。
男なら死ねぃ!~そして美少女へ~
まずえまとの関係において、単純にえまを女として篭絡するような安直な百合に走らず、かといって友人といってもいいかもわからないような、独特の距離感が構築されている。
この距離感自体は、女よりも男の感じがある。というのも、女としてみればえまは厄介なライバルなのであって、基本的には敵対、あるいは敬意を払いつつも警戒、という関係になるのが通常だ。しかしましろは自分と大鷺の間にえまが入ることについて頓着しないどころか、歓迎さえする。
まぁ実際、ましろからすれば大鷺は種を飛ばす方なのであって、自分に関心を向けていることが保証されるならば、別にほかの女に向いてもいいわけだ。むしろ大鷺を間にたてることで、格上の同性ともお近づきになれてうれしい。SMしてくれたらもっとうれしい。…なんていうのは、非常に男の思考回路という感じで、女の思考ではないよなぁ。
そして大鷺との関係、これがまた技巧的だなぁと思わされた。この漫画は外形的にはハーレム漫画と同じようなフレームになっているため、ハーレム系と同じような制約条件がある。何かというと、一つのカップリングで関係が進展すると終わる、という強烈な制約である。つまりましろは、えまとはもちろんだが、大鷺とも関係を進められない。
ここで、普段はスケベな癖にいざとなったら腰が引ける純朴キャラ、というのは使い古された手段なのだけれど、ましろのキャラでこれをされるとご都合主義的で鼻白む。…のだが、ここで本作においては、ましろはストレートなドエロには強いが、浪漫属性でアタックされると弱い、というキャラ付けにいく。そしてこれは非常に納得がいくのである。男の浪漫として。
男は、エロより浪漫で口説きたい。
したがって、もしも美少女になったのであれば、イケメンに浪漫で迫られたい。それもわざとらしい港区タワマンのようなものではなく、自分だけを見つめるような素朴な浪漫で迫られたい。しかしそれを自分から望むのは、またそんなことを望んでいる自分を認めることは、あまりにもこっぱずかしい。なので客観的に持て余しているその体で迫る。迫るが、それを振り払ってこっぱずかしい浪漫で手玉に取られたい。これが男の3周回った浪漫…!
ファイナルファンタジー2
この浪漫はけっこうショタや男の娘ムーブと本質的に近いような感じもする。だがその先をいく。男の娘、それはオタクのファイナルファンタジー(最後の幻想)だと思われていたが、まだその深淵があった。それはTSを超えた完全なる転生美少女。生まれも育ちも女です。ただちょっと、心に棒が残っているだけ…。
オタク道に果てはないのか、それとも循環しているのか。2020年代半ばにして、ラブコメはさらに深化していく…。

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