原作・亜樹直、作画・オキモト・シュウ。2006年7巻。思ったより古くなかった。
この漫画はワイン漫画、というよりソムリエ漫画なのかな。このサイト的な観点で社会人ラブコメになるかもしれないが、ラブコメ好きの諸兄からするといけ好かない感じはあるかもしれない。なぜならイケメン漫画だから……。なので女の方が楽しめるかもしれない。実際主人公はモテるがそれ以上にヒロインがモテている(7巻までだと)。……まぁこの見方だと、どっちかっていうとイケメンライバル同士のBLの気もするけどね。
まぁでもラブコメ漫画について延々と感想記事を書いているこのサイト的には、むしろ貴重なレビュアー漫画、と言えるのかもしれないなぁ、なんて思ったりもした。以下7巻まで感想。
前回(?)とあらすじ

前にちょろっと読んでいたことを思いだした。Kindle安売り常連、っていうか定位置だからね。
とりあえず読み直した時に思い出す用。
- 神咲雫:主人公のイケメン。作中でもイケメンであることがモブから示唆されている。知識はないけど味覚だけは父に鍛え上げられている。ややモテ。
- 紫野原みやび:ヒロイン。モテモテ。
- 遠峰一青:ライバルのメガネイケメン。真ヒロイン。
- セーラ:遠峰の妹。噛ませ。裏ヒロイン。
- ロベール:主人公の父の友人。友人の息子に都合良く頼られては助けてやる謎のジジイ。
- ル・パンのおばちゃん:主人公が煮詰まると、どこからともなく現れて主人公を助けて去って行く謎のババア。
ストーリーは父親がぼくがえらんださいきょうのわいんの謎解きを遺言に残して、それを息子・雫とライバル・遠峰一青が競い合って当てにいくというもの。その表現は端的に意味不明なんだが、まぁソムリエだから……。
ラブコメのフレームワークだけど
本サイトはラブコメ漫画の感想サイトなので、まず本作についてもそういう見方をする。そういう見方で楽しめないこともない。実際主人公・雫とヒロイン・みやびは同僚以上の仲を築いてタッグを組んでやっているし、これ自体はラブコメ的にはフレームワークの一つだし。まぁでもこの見方で楽しむにはちょっと厳しいかな。
まず二人の仲があまり進まないというのがある。まぁ仕事仲間なんだからそりゃそうなんだけどさ。でもこう、美味しんぼの山岡・栗田のような味わいがない。これは雫もみやびもいい子過ぎるからかもしれない。美味しんぼの山岡と栗田は人間的にちょっとどうかという感じで、でもそれがラブコメとしては良かったのだが、本作の雫とみやびは見た目も中身も一級なので……。ラブコメというのは不思議なもので、こういう見た目も中身もしっかりした者同士の話は今ひとつ面白くないんだね。
ただまぁ、明確になんとなくお互い少し意識しているような描写もあるので、この先仲が深まってくると、嫉妬やらなんやらのどす黒い感情が渦巻いて、そうするとラブコメ的にも楽しい、ということはあるかもしれない。二人ともモテるからね。
1万年と2000年前から好きでした
特に最初のほうは雫のほうに寄ってくるアイドル・セーラの存在などが目立った。が、それは最初だけで、どちらかというと登場するのは男のほうが多いかな。そしてヒロインに思いを寄せていた過去を持つイケメン多し。特に6-7巻に出てきたブランド信仰の彼は、成り上がりの苦労人で、「こういうの好きな女多そうだなぁ」と思ったが、これは訳あり美少女キャラを見て「こういうの好きな男多そう」と女が思うような感覚かもしれない。
この過去の男登場について、雫の表情など見るにまったく意識していないわけではなさそうなのだが、基本的にはみやびの気持ち・思いを尊重し、行っておいでよと理解のある彼くんスタイルなのは、いい子かもしれないがラブコメ的には面白くない。ここはもうちょっとモヤモヤしてほしいところではある。ってかナチュラルに昔の恋愛話が出てくるのはそういえば地味に二十代ものだからだなぁ。
また、モブや準レギュラーもだいたい何かしら恋愛事情を抱えている。
とまぁ、実はラブコメ展開の多い作品なんだけれど、イマイチピンときていないのは、なんだかその心情が雑に思えたからだろうか。それとも、どれもこれも高級ワインと思い出が結びつくために「なんだ、ブルジョワの話か」という貧乏人のひがみみたいな気持ちがあってしまうからだろうか。うーん。いや、ワインだろうな。本作に出てくるワインは、安物扱いでも庶民からすると「高いが?」だし、そういうワインと結びつくところに、経済的な共感ハードルがあるのは確かだ。美味しんぼも恋愛話は多かったが、あれは不思議と庶民的なものを感じさせた(たまの贅沢で食べていたとか、自然の味わいを知っていたとか)。
正直、7巻まで読んで一番「へぇ」と思ったのは、恋していたことすら認識されていなかったお茶目なブ男・セクハラ長介のエピソードくらいだ。逆に言うとあの話は面白かったが、それもラブコメというよりは人情話枠としての面白さだろうな。しゃーない。
レビュアーズレビュー
まぁそもそも本作はソムリエがテーマの漫画であって別にラブコメ漫画ではないのだが。そして実はその観点のほうが当サイト的には興味深いところがあったりする。
というのも、このテーマは珍しいレビュアー漫画とも取れるからだ。レビューというか評論になるが、この評論というジャンルは昔からニッチなので、あまり語られることがない。まぁそれも当たり前と言えば当たり前。何かを語ること自体を語るのは相当にメタ的な視点だし、不毛感がある。本作の場合は、ソムリエが一つの社会的地位として確立していること、またワイン自体がテーマとして面白いことという特殊性があって、漫画として成り立っているよね。
評論を一つのジャンルにまで昇華させたというのは本当に驚くべきことだなと思う。酒の中でもワインは高いが、まぁこれは酒としての出来以上に、それを取り巻く人たちの文化的醸成によるところが大きいのだろうね。
こんなサイトでも9年半ほど続けてきたからなのか、最近はモノについて書くということについても色々と思うところがあって、それでまぁ、そうした中でふと思い出した作品の一つが本作なんだよね。
面白イケメンメガネ
まぁとはいえこのノリで40巻以上続くとなると、ちょっと最後まで読める気はあまりしていない。読めるかどうかは正直主人公のライバルメガネがどれだけ頭のおかしいことをするか次第ではないかと思っている。
このイケメンメガネは面白メガネで、ワインを飲まずに水を飲んでいた。主人公に負けた敗因は冷静に考えてワインを飲まなかったからではないのかと思うのだが、驚くべきことにメガネはさらなるワイン断ちを敢行。ワインの声に耳を傾ける日々だ。

「ワインの声が なぜ飲まないのか?自分を…… 私にそう言っている」
「……」
これにはパートナーのパトロンもドン引き。
そして自分に不足しているものがわかったという。ワインが不足していることに気づいたのか?と思ったら、タクラマカン砂漠へと向かうのであった。ワイン飲めよ。
しかし、酒は我慢するほどうまくなるということを知っていて実践できるという点で理想的呑兵衛なのかもしれない。晴れてワインを飲んだ時には誰よりも感極まって陶酔する。その陶酔の仕方もナルシズムが極まっており笑える。

イってる……。めっちゃ嗅いでる鼻の穴。五感で楽しんでいるな。
正直この面白メガネの奇行が一番楽しみですらあるため、今後も読み続けられるかどうかはメガネにかかっている。メガネ漫画。
まぁでもなんだかんだで気兼ねなく読みやすい漫画ではあるから、ちょくちょく読むんじゃないかな、多分……。

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