原作・ユニティコング、漫画・ツノニガウ。2025年2巻。
まぁとりあえず家庭事情こっわ。歪んだ家族関係はどんなヒロイン属性よりキツい。と思ったが、読んでいるとさらにキツい属性というか、薄々思っていたんだけれど、なんかこう、ガチよりの脳機能的な何かが起きてないか、現代社会のタブーに踏み込んでないか、と思え、そうするとかなり見え方が変わってしまう。実際、何度も1巻を読み直してしまった。そういう目で見ると、景色がまったく違って見える。
本当に久しぶりの感覚として、マコトとヤコの薄い本的な絡みが見たいと思った。
以下2巻感想。
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共依存に勝る闇なし
2巻の最初から飛ばしてきたぜ、共依存ヒロインは数あれど、母娘共依存ヒロインはどうですか。これぞヒロイン単体の属性だけで到達できない闇の深淵、重い家族関係だーーーー。
いやちょっとしんどいね。共依存系カップルはラブコメ界隈では定番かもしれないのだが、ヒロインが親と共依存はさすがに厳しい。それはラブコメじゃなくてクローズアップ現代とかがるちゃんでやられるやつなんや。現実でしかないんやで。8050問題の先取りはやめるんだ。好きなゲームもパパとの思い出とか、しれっと重めのパンチ入れてくるやん。
情緒不安定なところも含めて、これは約束された地雷物件。いや地雷っていうか、重い。ヤコと付き合うことはアザミ家全部と付き合うということで重い。
ガチめにシリアスな設定あります?
ヤコ母はヤコに対して罪の意識を感じているようだ。その態度や、「悪い結末」という言葉から察するに、ヤコに無理をさせた結果、彼女は壊れてしまったのかのではないか、と察せられる。
…これ、ガチめに障害とか病気で表現される領域に踏み込んでたりする?少なくとも前頭葉とか脳機能の何かに支障きたしてない…?
いや待って、そうすると、これまでの彼女の挙動もだいぶ笑えなくなってしまうというか、見え方が変わってくるんだが…どうなんだろう。本作はうまいことギャグ的な小ネタを差し込んで深刻になりすぎないようにしているが、それらもすべてダブルミーニングに思えてくる。
たとえばアザミ家の帰り、タクシーについてきたヤコに、これ以上おかしなことはナシでと釘を刺すマコトに対して、ヤコは自作の実況ベストをプレゼントするという非常にキッツイことをする。

このシーンだけとるとギャグであり、やべーやつwなのだが、ここまでの経緯を考えると少し重い感じもする。
まずヤコは別に本当にこのTHE ベストを渡したかったのではなく、あくまでマコトがヤコに優しくする本意をききたかったからだ。アザミハーモニクスとの関係から義務感でやっていたのではないか、と。そしてそれは母のいる場で聞けることではなかったし、今このタイミングしかなかったのだろう。この察しはそれなりに高度だ。
一方で、彼女のこれまでのふるまいは幼児退行のようにも見える。自分を抑えようとしても抑えられない感じもある。それにも関わらずその人の好さは伝わる。
それで、クラスの人たちは彼女とうまく付き合えないことに申し訳なさを感じているとのことだが、これは…公立の小中学校で、障害のあるクラスメートと友だちになれない時のなんとなく心に感じるやましさというか申し訳なさというか、あの感覚なんじゃないのかと思えて、少しつらくなった。
だが、ヤコは少なくとも過去の佇まいは純粋にご令嬢だったはずだ。また、保育園のボランティアで見せたお姉ちゃん属性には、彼女が生来持っていたのであろう力が垣間見えた。

マコトはヤコに感心しつつ、それまで介護モードだったのに、今この瞬間ヤコから「園児扱いされてる」ことに驚きを隠せない。この時彼女は本当にお姉ちゃんだった。
しかしその直後には幼児に混ざって炸裂トークをぶちかまし、幼児からたしなめられるなどしている。

「アッ止まらない アッなんか今はもう止まらないみたいホホッ」という言葉からは、彼女自身まずいと思ってもそれを抑えられないことが察せられる。先のお姉ちゃん属性との振れ幅、やっぱなんか脳にきちゃったんですか…?という感じがする。
思い出したのは、認知症なんだけれど時々正気に戻る人の話だ。記事で読んだのだけれど、ガラスの中からおかしな自分を観察している感じ、というようなことが書かれていて、ぞっとした記憶がある。まぁそこまでのものではないだろうが…。
すべては修行
そんな属性の一言で済ませたらダメそうなヤコに付きっ切りのマコトは周囲から見ても異様であるらしく、クラスメートは彼に敬意を払いつつも、裏で人をだますのがうまそうという話がされるくらいだから、やはり下心あってのことではないのか、という感じはみんな口には出さずとも感じているのかもしれない。
その疑惑を口に出したのがエッチュウさんだ。

「ヤコが金持ちだから近づいてる訳じゃないよね…?」
これは本作でも強い問いただしで、マコトもそのうちに聞かれるとは想定していたらしい。だがその答えを用意していたわけではなく、まずエッチュウの言っていたヤコの善性をそのまま転用して答える。
だがエッチュウは半信半疑だ。またマコトもそれを感じて、なんとか自分の言葉でひねり出した結果が「修行」。

曰く、世の中には理解不能な人もいるが、そういう人とも付き合っていかねばならない、ヤコとの付き合いも、すべては修行なのだ…。
これはヤコに対してフツーに失礼な言葉で、ヤコは「あっ私って修行えっそうなんだ」と戸惑いを見せるのだが、それが逆にエッチュウを納得させたようだ。なにより、彼にとって完全に本音だから、嘘偽りのない迫力がある。
サンノミヤくんの性格が出ている現代的なふるまいは、嘘をつかないところだね。まぁサイレント・ライなんだけどさ。ただ明確に虚偽になる発言を、誰に対しても、どんな時にもやらない。その徹底ぶりは、対外的に慎重であるということ以上に、そうしないと彼自身の気持ちがもたないのだろう。彼はやましさを感じている。
ずっと見ていたい
しかし客観的に見ると、彼と彼女は通じ合うのが定めなんじゃないのかと思える。公園でヤコがマコトを膝枕して撫でているシーンは人類皆ガン見不可避。

セックスしないと出られない迷宮に閉じ込めたい。
いやごめん。でも本当にこの感覚は久しぶりで自分でもびっくりした。多分、このサイト開始した時にはもう既に、そういうのは卒業したと思っていた。マジかよ。1巻まで読み直して放課後デートで占いしてもらうシーンなんかも読み返すと全然違って見えて、何度も読み直してしまった。実際、もう一回1巻の記事書きたい気すらしている。
シーンからもわかるが、マコトが異様に色っぽいせいなのもあるだろう。多分俺はこの手の男の顔が好きなんだと思う。死人の声をきくがよいの主人公なんかも好きだった。ヤコの危なっかしい愛らしさと怖さに振り回されて、マコトが憔悴していく様を見ていたい。すべては修行だから…。
まだ1月だけれど、年末にちゃんとサイト続けている元気があれば、本作を2026年のベストに推しているかもしれない。
<思い出した漫画>

当サイトの初期に取り上げたため記事の書き方に懐かしみを感じる。

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