『らんま1/2』5-7巻感想:令和にも通用する昭和のラブコメだが結局一番楽しいのはオッサン

PVはぶっちゃけ作品の知名度だなと思う今日この頃、そうだなぁとわかっていながらマイナー作品を立て続けに更新、しまいに頼まれてもいないのに30……いや35年前の漫画を読み直す俺よ。

ラブコメの金字塔といえばみんな大好きめぞん一刻で異論はないと思われるが、俺にとって高橋留美子のラブコメといえばらんま1/2なんだ。間違いなく俺の道を踏み外させたA級戦犯の一つ。ってか今読んでも面白い、むしろ今読んだ方が面白いまである。

以下5-7巻感想。あの頃俺は赤子だった。

目次

内容

  • 猫拳
  • あかねのファーストキス
  • みんな大好きシャンプー再び
  • みんな大嫌いムース
    • 今見るとけっこう好きだわ
      • けっこう好きなんだけどシャンプーやる気になれないのは何故だ
  • 火中天津甘栗拳ーーーー!!
  • みんな大好き良牙と爆砕点穴
  • 格闘茶道
  • 格闘出前
  • 八宝菜は令和の時代では許されない気がする
    • あかねちゃんのぱんていっ!!
    • Pちゃん仮装のキモさは許されない

一級のラブコメなので

らんま1/2はドタバタラブコメなんだけれど、ちょこちょことめぞん一刻の高橋留美子らしいガチのラブコメ風味をきかせてくるので油断ならない。5巻は乱馬の猫拳回で、猫化した乱馬があかねにキスをしてしまうのだが、それは乱馬の無意識下の行動だった。これは読者目線では乱馬のあかねに対する想いそのものだが、当の本人らにそれはわからない。それで、乱馬の覚えていなかったという謝罪の言葉に、あかねは「誰でもよかったの」とへそを曲げる。

乱馬「誰でもよかったってなんだよっ。」
あかね「だってそうでしょ。」
乱馬「……。おまえ、本気え俺がそーゆー男だと……」
あかね「じゃあ、どーゆーつもりでキスなんかしたのよっ」
乱馬「そ、それは……」
あかね「覚えてないんでしょっ。」
乱馬「あのなっ。」
あかね「あんたなんか大っ嫌い!!」

らんま1/2 5巻

天才か?天才だった。

まぁこれはあかねのファーストキスでもあったわけだが、なんでこれが乱馬のファーストキスじゃないのかとつくづく……。乱馬はけっこう浪漫派なので、「本当に好きな相手と……でないと」などと3巻で告白している。マジで三千院は許せんな?まぁ男の姿では初めてということでいい……のか?……あ、シャンプーとしてたわ。まぁ男のキスは軽いわな。

シャンプーは怖いよ

噂のシャンプーは早速再登場。ついでにムースも登場。

ムースってあんまり好かれてないイメージあったけど、実際はどうか知らない。CPとしてムースxシャンプー好きな人はそりゃたくさんいるんだろうし。でもシャンプー派のマジョリティはやっぱり乱馬推しやろ。

それはまぁしゃあない。歳取ってわかったことだが、基本的に恋愛において選択権って女にあるんよな。世間のイメージがどうかは知らんけど、これはもう生物的にそうなっていると思う。もはや本能レベルの話とちゃうかなぁ。

ハーレムものって男の浪漫みたいに思われているし実際そうかもしれないけれど、それと同時に実は女の願いを叶えさせるという話でもある。この考え方からいくと、シャンプーが乱馬を選んでいる以上、物語的に乱馬があかねを選んでいるように見えたとしても、シャンプーの希望は叶えられるべき、となる。かくしてハーレムエンドは作られる。男のムースのシャンプー一筋よりも、シャンプーの気持ちのほうが重い、というわけだ。

……まぁでも、今見るとマジでシャンプーはなかなかの女。ムースみたいに入れ上げちゃうと逆に難しいだろうね。

不死鳥丸の回とか、お湯に触れなくなって男に戻れない乱馬の気持ちを無視し、自分と不死鳥丸(お湯が触れるようになる、つまり男に戻れる)が男に戻るためをセットにして選択をせまるの、なかなかの悪女っぷりよ。

しかしその一方で、らんまが女のままだとつまらないので不死鳥丸を手にして男になる協力もする爛漫さ。そしてらんまに「シャンプーが一緒なら(ひいおばあちゃんに)勝てるっ。協力してくれるなっ」と迫られたらじーんときて協力してしまう愛らしさ。これは健康な男子は全員ムースになりますわ

正直ムースはシャンプーにいかれなければきっと別のいい子と付き合えたよ。でもシャンプーにいかれちまったんだな仕方ない。ただまぁその後の話でもわかることだが、シャンプーはムースのことを実は嫌っていない、なんならプラスの感情をもっているので、ムース全然望みあるんだが……今となっては本当にシャンプーでいいのかお前という気持ちもある

それにシャンプーは多分追っかけられるより追っかけるほうが好きなんだよなぁ。乱馬のつれない態度は、ますますシャンプーを燃え上がらせたのだろうと今読むと思う。自分のことそんなに好きじゃないと言う相手を屈服させて好きにさせるのがシャンプー的に一番燃えそうだなぁ。恋敵のあかねを蹴落とす時なんか本当に楽しそうだし(格闘出前では「もううなぎない。あかねは失格ね」と、しかも"乱馬に"食べさせる形でうなぎをなくすのが本当にシャンプー)。でも一線は超えない愛らしさもある。まぁでも総合的に本作随一の怖い女だよなーって。

7巻の格闘出前では、九能とシャンプーという珍しい絡みもあるんだが、九能先輩、シャンプーには特に入れ上げなかったあたり、マジで女を見る目ありそう

爆砕勝負

不死鳥丸編のあとはみんな大好き良牙再びで乱馬vs良牙。ここで、独自に修行していた良牙は、BBAに鍛えられた乱馬に圧倒的な差を付けられてしまったことを知る。この展開、大人になるとマジで身につまされる思いだ。世の中、色々言われているが教育は確かに意味があって、意味のある人に意味のあることを教えれば、凄まじい勢いで伸びる。それは独学でやってきた人の比にならない。

BBAに修行をつけてやろうかと言われた良牙は、最初こそ断るものの、乱馬との圧倒的な差を目の当たりにして、BBAに教えを請うようになる。この流れは今見ると本当に美しい。変な話だが、良牙は少なくとも最初、BBAの誘いを断らなければならなかった。本当に必要だと実感したうえで、BBAに教えを請う必要があった。良牙は乱馬のように二代目ではない。我流でやってきた人間は、己を曲げるとき、そこに己を納得させる理由と運命が必要だ。それも、身に迫るものでなければならない。乱馬に軽くいなされて、思いを寄せるあかねから「弱い者」として憐憫の目を向けられるのは、良牙にとって大きな理由付けになっただろう。

その結果、スピードの乱馬とは別の方向、つまりタフさを身につけて対抗したのがまた趣深い。まぁ最終的には負けるんだが……。

乱馬と良牙の関係はひょっとすると作中で一番深い関係かもしれない。少なくとも趣深くはある。Pちゃんがあかねの部屋にいるのを乱馬が黙認しているのは、良牙に対する或る種の信頼でもある。本当にヤバいと思ったら絶対許さないからね。まぁ実際Pちゃんは、部屋であかねが着替え始めたら背を向けるんだよ。二人の間には無言の紳士協定のようなものが感じられる。乱馬と良牙のような関係は、ことラブコメにおいては珍しい

八宝菜ってこんなに早く出てきたっけ

そして現代のポリコレコードに則ると存在を抹消されそうなエロ爺こと八宝菜だが、7巻でもう出てきて、コイツこんなに早くでてきたんだっけと。今だと薄い本要因にされそう。いや昔からそうなのかな。でも八宝菜はパンチラくらいで喜んでいてほしい。あかねちゃんのぱんていっ!!

TSどころかツンデレもなかった80年代にこれ

つくづく、本作が80年代という事実に恐れおののくばかりだ。TSどころかツンデレもなかった時代の作品でこれ。いやむしろ、こういう素地があっての00年代であり10年代であり20年代である。高橋留美子が残した爪痕は深い。女らんまに性癖を歪まされた人たちがさらに下世代の性癖を歪ませる……これが子孫繁栄……。

しかし本作で一番楽しく暮らしているのは乱馬とあかねのオヤジ達なのはまぁ間違いないだろう。自分たちの子供をくっつけたがるほど仲の良い親父たち。俺もそんな友達のオヤジがほしいだけの人生だった。

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