『学園恋獄ゾンビメイト』恋愛脳のゾンビとラブコメ

01
森繁拓真, 学園恋獄ゾンビメイト, 上巻

まさにゾンビ×ラブコメ。↑のように好きな人の脳みそを食べたくなる恋愛脳のゾンビと、いい感じにクズい主人公の繰り広げる理想的B級エンタメ。

基本情報

「学園恋獄ゾンビメイト」 | 白泉社

学園恋獄ゾンビメイト - Wikipedia

全2巻のスッキリ爽やか構成。となりの関くんで有名な森繁拓真の初期作品。Wikipediaによると連載していたのは2003年(ヤンマガ)だったらしいが、単行本化されたのは2013年…関くんが売れたから単行本化できたんやね。ゾンビでラブコメってここ何年かいくつか見たような気がするけど、2003年は比較的早いように思える。しかもこれなんというか真っ当にゾンビしてるし。

ところで宣伝文句に「横井さんも目が離せない」とかあるけど、横井さんは目背けて読めないと思うぞ。関くんはニヤニヤしながら読みそう。

だいたいこんな感じ

学園を舞台にしたゾンビもの。昔ゾンビ映画に一瞬はまりかけたことがあるのだけれど、なんか色々忙しくなって続かなかったので中途半端にゾンビ知識がある。しかし森繁拓真もゾンビ好きだったのかーと思って後書き読んだらバタリアン好きだったなーレベルで描いたとあってびっくり。いやでもかなりよく出来てるような…いや俺もよくわかんないけどさ、とりあえず面白いです(小並感)。

ゾンビものなんだけど、このゾンビは好きな人の脳みそを食べたくなる恋愛脳でして、モテモテの主人公がみんなに狙われまくります。一度他のハーレム主人公も同じ目に合わせてみたいね。ただこの主人公はいい感じにクソ野郎で、普通なら気が引けそうなもんだけどゾンビ女にも負けず自分勝手に突っ走る。近くの人をぶん投げて逃げたり、自分への好意を利用して騙して逃げたり不意打ちしたり、自分を好きなゾンビ二人をうまく焚き付けて同士討ちさせたりと、かなり強かに立ち回る。マジで前半は「お前が死ねよクソ野郎」くらいの感想を抱く。いやいやお強い。ていうかそうでもしないと脳みそ食べられちゃうしね。

実際こういう設定なので、必然的にみんな命懸けの恋愛を繰り広げ、恋愛至上主義極まれりという感じなのだが、その中で恋愛をそんな切実なものと考えない主人公の行動が、不思議と小気味良いところもある。自分勝手さに不快感を伴うのも事実だけど、そこは一緒に逃げるヒロイン役の子がうまくぶん殴ってくれたりして中和してくれる。また誰も傷つけまいとしているのに傷つけてしまうヒロインにとって、どこまでも自分勝手で最低な主人公がむしろ救いになるような面白い転換もあり、なかなかドラマチック。恋愛自体、自分勝手なものという側面はあるしね。最後まで読むと、主人公に対する評価も変わるだろう。「見放さないで下さい」とは作者の上巻の言である。

総評

本能的に行動するゾンビと、恋愛の自分勝手さがうまいことミックスされた結果、ちゃんとゾンビものでありながら、しっかりラブコメもしているという、理想的なB級エンタメ。短いのでさっくり読めるし、ゾンビが大丈夫ならオススメしたい。ビール飲みながら映画でみたいわ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です