『ざーこざこざこざこ先生』1-2巻感想:ギャップを埋めないギャップ萌え

結局単行本買ったという。

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サイトで読んだ

タイトルと表紙の印象から買うとコレジャナイになりそうな拗らせた性癖漫画だけれど、本作を買う人はだいたい作者さんのこと知ってそうだし、たとえ知らなくてもこの漫画を表紙買いする人は拗らせてそうだから「これはこれで」ってなるのかもしれない。

表題はメスガキだが、メスガキの皮を被せたツンデレと思う。ツンデレは一種のギャップ萌え(あえて萌えという忘れられた言葉を使いたい)だが、ギャップ萌えをギャップのまま埋めずに突き落とす、そういう作風。まぁメスガキわからせ的な見方もできるが、それにしても正統派(?)のメスガキ愛好者ならば「そんなわからせ方したくなかった」となるだろう。

以下、ギリギリスカートから伸びる太ももがやけにエロい1-2巻感想。いろんな意味でギリギリ。

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みんなアウトだよ

こんなJCいたら最高だな、と思うのは読者視点だからなのか。仮にも教師を「ざこ」と呼び侮って憚らないが、それはすべて好意の裏返し、本当は先生のことが好き好き大好きでも恥ずかしいからざこ扱いして人としての尊厳も否定しちゃう、くらいの行きすぎたツンが炸裂する。まぁ実際のところ女子中学生からキモいとか臭いとか言われたら大人の男はかなり傷つく。菌扱いとか本当にひどい。アウト。

ただ本当にキモかったらここまでベタベタしてこないだろ、とは読者の神視点だから思うことでもないだろう。なので彼女たちの隠された(?)好意に鈍感でいるほうにも多少の責任があるのでは?と思わされる。まぁ実際そこらへんでバランス取っている面もあるだろう。アウトにアウトの補正をかけて道に戻している感じ。先生側にも若干の自業自得さが必要なんよ。

とはいえ微妙なラインもある。パッキーゲーム回なんかそうで、罰ゲームで先生とパッキーゲームをすることになった由姫は、恥ずかしさのあまり涙ぐんでしまうのだが、それを先生が「泣くほど嫌がっている」と考えたのはまぁわかる。女子同士の力関係が働いているから嫌なことをしているんだ、は合理性がある。

このパッキーゲーム回は、ツンデレが生々しくマイナス方向に働くところや、先生の生真面目さ、また性根は悪い人間ではない三人娘など、一話で本作のだいたい全部が詰まっているような話であった。そもそも嫌がってようといまいと先生と生徒がパッキーゲームはアウトでしかないだろというのも含めて……。アウトだから……。

白井さんはevil

さて、だいたい全部と言ったが重要なものが入っていない。料理研究部の白井さんである。素直に好意を発露する白井さんは先生視点だと天使だが、メスガキ3人娘に感情移入していると吐き気を催す邪悪だ。邪悪は言い過ぎかもしれないが、少なくともメスガキわからせ隊総隊長なのは間違いない。

いや……まぁでも、けっこう邪悪なんじゃないかな。2巻の喫茶店回とか。偶然出会った先生・桃樺と同席したい、はわかるのだけれど、先生と桃樺と友達になりたいという体であるにも関わらず、先生の隣に座るのは邪悪の謗りを免れないだろう。社会常識的な観点でも、先生に広いスペースを譲るもんだし、白井さんにそういう気の利かせ方ができないとも思えない。なのでこれは意図的。桃樺は口実。先生がいなかったら話しかけもしなかった可能性あり。あざとさの塊を許すな。

みんな自己否定的

まぁ真面目な話俺はあんまり白井さん好きじゃないんだけれど、それは多分彼女が陽性の生き物であることもあるだろう。喫茶店回でやけに下手で出る様からはそう見えないが、あれは目的があるからできることで、潜在的に陽性だと思う。一方で先生が根っからのネガティブなのは明らかだが、三人娘のほうも実は陰性の生き物である。陰性というか、自己否定的で本質的に自分に自信がない。

ツンデレがツンツンするのは色々な理由があるが、この三人の場合、好意を受け入れられないリスクが怖いからだ。ネガティブなのである。自信がないのである。だから先生に嫌われたり取り返しのつかない悪夢をうなされるし、自分のことを「人でなし」と評する。

まぁだからといって人のことをぞんざいに扱っていいはずはないが、必要以上にこのネガ子たちに感情移入してしまうのは、俺自身がネガ郎だからかもしれない。なので俺的にポジ子代表白井さんは許されないが実際にはネガポジカップルのほうが素直にラブコメ映えする。たとえば桜井のりおの僕の心のヤバイやつとかも典型的なネガ男xポジ子カップル。

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そういえばこれも続きを積ん読してる

でも同作者のみつどもえではネガxネガかつ先生x生徒の最高なカップリングがあったし……。

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ひとははともかく矢部っちはネガとも違うか……ポジorネガならネガだろうけど

まぁ白井さんもなんだかんだでこの後ネガな描写される可能性あるけどね、拗らせた漫画だし……。拗らせているだけに、作風的にわかりやすいハッピーエンドになることはなさそうだけれど、わかりやすいバッドエンドにもならないだろうと思っている。

4巻まで出ているが、折を見て続きも読みたい。

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • 好意を拗らせすぎてメスガキに走った3人娘。
    真面目を拗らせすぎて教師以前に人として何か壊れてる先生。
    一見純粋に見えるがどこか危うい拗らせを感じる白井さん。
    お似合いに見えますが、未来に何か仄暗いものが垣間見えますね。

    • あまり幸せになれなさそうなんですが、1ページ漫画ならともかく長期連載でどう着地させるんだろうと思いました。
      何もないまま延長戦エンドが一番平和そうですが……。

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