久しぶりの更新。2021年に1巻が出た作品で、2023年8月現在5巻まで出ているようだ。Amazonの紹介文を見る限り、5巻に特に最終巻という表記はないんだが、5巻の表紙はものすごく最終巻くさい……。また半年に一回の刊行スペースのようなので、最終巻なのでは?と思っている。内容的にもそれくらいの長さがちょうどよさそうだし。最終巻だったら紹介文にそうあるでしょと普通は思うかもしれないが、竹書房だからなぁ。
さて、本作は雪女ヒロインものだ。ラブコメヒロインらしくピュアだが、雪女は男をたらしこむ種族ということで、性の英才教育を受けており、本作ヒロインはエッチでフェチな処女という漢の浪漫を求めたものにあたる。また表紙は非常にロリロリしいが、本当の姿はちゃんと大人なので、安心すべきかもしれないし表紙詐欺かもしれない。でも作中の8割くらいはロリなのでやっぱり看板に偽りなしかもしれない。タイトルは溶け合いたいとあからさまに想起させるものだが、願望の形となっていることにラブコメを読み慣れた諸兄であれば気づくであろう。
安心のヒロイン確定ものだが、敗北が決定しているヤン入ってそうなブラコン妹も出る。けっこうするすると読めて楽しかった。以下1巻感想。
年に一度の竹書房本仕入れ日
本作は、年に一度の竹書房の日になったのでポチったものだ。……去年。ずっと積読してましたわ。もうかれこれ、半年以上まともに漫画読んでないので……。まさか人生でこんな日が来るとは思わなかったな。そして読んでないのに何かとポチり続けているのは悲しい性なんだろうか。ってか同著者の恋愛暴君もずっと積読してるんだよなー。
そして、ああ今年も竹書房の日が来たなぁなどと思いつつ、「お、この漫画は……」と思ったら去年ポチり済みやで、とAmazonさんから言われるという。そうかー……。
ということで若干ブルーになりつつ、2-5巻ポチるかどうかは1巻の内容読んで決めるかなぁと、そういえば久しぶりに漫画読むなーと思いつつ1巻を読み始めたら、けっこうするすると読めてしまった。もう漫画とか何も楽しくない、みたいな状態がずっと続いていたけれど、少し回復しているのかもしれない。
愉快にフェティッシュ
そんな精神状態で読むには、この漫画はいささか愉快に過ぎるかもしれない。何しろ開幕一話で美少女が股間ダイレクトアタック、からのプロポーズ、そして結婚へ……なので内容も何もあったものではない。ラブの理由は安心と伝統の一目惚れ。このメータを振り切った愉快さが、今の俺にはむしろいいのかもしれないなぁ、と思ったりもした。ラブコメ浪漫に賢しい理由なぞいらんのだよ。理由なんてくだらない……。
それにヒロイン・銀華も中々フェティッシュで、特にこのコマとか好きだな。
「くしゃあーい!旦那様の脱ぎたてホヤホヤのシャツ…スンスンスンスン 汗の匂い…垢の匂い…はぁああああ〜」
三星めがね, 雪の新妻は僕と溶け合いたい 1, 2021, 竹書房
裸のうえにオーバーサイズの男物シャツだけを着た少女が、裾をたくしあげて下半身スッポンポンのまま恍惚としてスンスンしている様は中々のヒットだったし、これ見て響くものがあるなら本作は買いだと思う。
かようにヒロインは変態風味であるが、主人公の男はピュアな童貞ボーイ。まぁ主人公まで変態にしてしまうと収拾つかなくなるよね。人当たりがよく誠実なボーイなので好印象。無能過ぎてバイトもまともに続かないようだけれど、いかにも優しい子なので、職場次第では大事にしてもらえそうな気もする。
性の英才教育を受けた美少女
そんな純粋無垢な童貞たる主人公・優介が、精エネルギーの摂取という名目で雪女たちが繰り広げる夜の店での狂態を見てショックを受けていたのは、やや示唆的な面もあったかもしれない。眼前で繰り広げられる性の宴に興奮するでもなく、「俺と夫婦になってなかったら 今頃銀華さんもこれを…!?」とあったかもしれないパラレルワールドを思って動揺する。
その後も、主人公は初めてのキスを銀華としてドキドキとしつつも、銀華はどうだったのだろうかと考えてしまったりと、このへんは男心の微妙な機微なんかもね。セクシーな女性を好む一方で、伴侶に必ずしもそれを求めない。と書くと身勝手さを感じなくもないが、繁殖可能性を考えればセクシーさに惹かれるのは当然と思えるし、一方でそれは他の雄を引き寄せるリスクでもある。現代社会においては、リスク面のほうが男女ともに忌避されるのか、一般的に性的なものはタブーとされがちに思う。
そこへいくと、本作の性に奔放な雪女は、現代社会の価値観的にはあまりよろしくない面がある。
このシーンは面白いね。身内について「処女です」なんてデリケートなことを平然と口にし、どちらかというとネガティブにも捉えられる印象を伝える優介と、身内が褒められたと思ったのか無邪気に「魅力的ですからね!」と返す銀華、このすれ違いは二人の文化的価値観が端的に出ていて面白かった。銀華にとって、性的な話題は日常の話題だし、また男に慣れてる、は褒め言葉でしかないわけだ。
これは優介と同じく現代社会の価値観に毒されている我々にとって、どこか危なっかしさを感じさせる。雪女にとってはどうであれ、いかに一線を超えなかったとしても、有象無象の男に身体を好きにさせるというのは、あまり好ましいことに思えない。
しかし、この危なっかしさは危うい魅力でもある。官能は男を惹きつける魅力であり、同時にリスクでもある。ヒロインが基本的にロリロリしいのは、一部の特殊な嗜好を持った読者に向けたものというより、そういう危なっかしさを緩和する意味合いのほうが強いかもしれんね。優介が立派になってリスクから銀華を守れるようになった時、銀華もまた元の姿に戻れるのだろう……うーん、立派にならなくていいぞ優介。
ヤンの入った妹様
優介の成長を願わないのは俺だけではなく、本作には若干ヤンの入ってそうな行き過ぎたブラコン妹もラブコメセオリーに従って出てきており、彼女は優介がおちきって身も心も自分に甘えきり一線を超えたいというヤバい願望を抱いている。
しかし、どうみても本作はカプ確定ものなので敗北は決定済みだ。キャラも泣きぼくろのある見た目もけっこう好きではあるんだけどな。大学出てキスもまだだった、優しいだめ男とブラコン妹とか、こっちメインでも作品になりそう。味が強いだけに、雑味になりそうな感じもする。どうなるかな。好きな感じのキャラだけどな。妹ちゃん妄想たくましいのだが、妄想の中で自分の胸を不自然に膨らませてるのとてもポイント高い。
まぁ本作は優介と銀華がセックスしたら終わってしまう作品なので、二人のセックスを邪魔する要員なんだろうか。
とまぁ、久しぶりに漫画を読んだ割には、けっこう楽しめたような感じがする。ということで、2-5巻もポチった。あとはこういう感想記事が、続けられるかどうかだねぇ……。
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