『ゆーあい』感想:読後の感想で読んだ人の恋愛観が如実に表れそうな漫画

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作・とこみち。2015-2016年全3巻。作品タイトルは主人公ヒロインの名前からきており、友愛という言葉とかけているのだと思われるが、某元総理のおかげでいらん連想をしてしまう。

♂→♀の片思い系ラブコメ。多分ラブコメ。ラブコメじゃないかもしれないけれど、多分この漫画読んで面白いと思うのはラブコメ好きだと思う。

野郎がちょっとストーカー入ってて異常なんだが、ヒロインはヒロインでなにか人間離れしている。地球に偵察に来ている宇宙人だと言われたらなるほどと思う。

「この二人の関係は恋愛的なものだと思いますか?」で真剣10-90代しゃべり場ができる。以下全3巻ネタバレ感想。

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ラブ…コメ…?

ラブコメに分類していいのだろうか。でもこれラブコメじゃなかったらなんなのかなぁって思うし。実際、この漫画読むのって多分ラブコメ好きだし。

主人公?のゆーすけがヒロインの相沢に一目惚れしてストーキング紛いのことを繰り返す漫画。紛いというか、完全にストーキングなのであるけれど、相沢が特に気に留めないので許された感じである。

野郎向けだとストーカー系ヒロインはよく見るけれど、野郎側がストーカーなのは珍しい気がする。まぁどうしても異性に好かれるタイプのほうがウケがいいのはあるんだろうけれど、それを抜きにしても、男女の肉体的な差であるとか、性の向かい方であるとかを、社会通念的な影響があって、多分、女より男のほうが引いちゃうんじゃなかろうかと思う。

ただし、ゆーすけは決して相沢に手を出すような男ではないことは確かだ。相沢の水着姿や白衣姿に鼻血を吹いたり、ストローを集めたりといったフェティッシュを見せつつも、決して肉体的な接触はしない(できない。興奮しすぎて)。だからこそ、ゆーすけの友人はもちろん、最初は警戒していた相沢の友人も、ゆーすけのストーキング行動を(よほど行き過ぎない限り)咎めなくなり、むしろその背中を後押しするようになるのである。

しかし……ゆーすけの相沢に対する態度は、異性への好意というよりは、憧れのアイドルへの畏敬に近い。崇拝している、というか。ゆーすけは相沢に対し、呼び捨てはおろか敬語をやめることすらできないのである。

これは果たして恋愛感情に分類していいのだろうか?というと、やや疑問。テレビで見たアイドルに一目惚れしたのと、いったいどれだけの差があるだろう。ゆーすけは3巻終わりの花火大会でついに告白を決行するのだけれど、告白の時に仮面を外すことさえできなかった。

それはラブですらなかったのかもしれない

そんな感じだから、相沢に交際を断られてしまうのは当然の帰結。というより、承諾されたとしてもゆーすけには何をしてよいかわからなかったろうし、関係は何一つ変わらなかっただろう。むしろ、相沢のあの性格で、面白がってテキトーに「いいよ」と言わなかったのは、可能性ですらある。

まぁ相沢は不思議ちゃんめいているけれど、デートの誘いはちゃんと自分から言わないとだめだと思うと断じるし、案外ラブコメ的な感覚は非常にまともなんだよな。ゆーすけが異常。

始まるとすれば、これからだろう

告白をしたということ自体が、ゆーすけにとっては大きな出来事ではある。アイドルのアイさんから、そばにいる好きな人として認識するための。何かが始まるとすれば、多分そこからだろう。

少なくとも、相沢にその気がまったくないわけではないと思われる。なんかすごい訳ありな幼少期を過ごしていそうなお人だけれど、ひたすら懐いてくるゆーすけを突き放さず、一緒にいるということ自体がある種の好意の表れだ。あと細かいけれど、ゆーすけとその友人(名前忘れた)のBL疑惑が流れた時に、ゆーすけが男好きなのではないか、というクラスメートの言説に対し「ないよ」と即答したのは、作中では比較的わかりやすいデレだったと思う。ゆーすけの自分に対する好意に自覚があり、かつそれをまぁ少なくとも悪く思っていないからこそ、だろうから。

まぁ逆にいうと、その程度しかないんだけどね。そんな感じだから、ラブコメとして楽しいかというと微妙なところ。というか、ラブコメとしてはまだ始まってもいなかった、と思う。でも、この漫画を楽しめるとすれば、それはやっぱりラブコメ好きなんじゃないかなぁ。そんな漫画でした。

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