『俺の彼女に何かようかい』4巻感想:連綿と続くラブコメ的理想世界

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作・高津カリノ。2017年4巻。

親世代の話(氷点下の彼女)もあるよな4巻。子世代がなまじっかうまくいっている分、ラブコメ的には親世代のほうが面白いかもしれない。

時間的なスケールは大きく空間的スケールは小さい箱庭で続く連綿とした恋模様は、ラブコメ的理想世界だと思う。

ところで一番可愛いのはやっぱり愁也。以下4巻感想。

目次

親子二代に渡るラブコメ

ヒロインの水着姿にびっくりした。この作品でそんなお色気サービスあるとは。基本カップリング楽しむ漫画だと思うけれど、まぁガンガンだしなぁ。そういう需要もあるんだろうか。

それはともかく、子世代のラブコメは非常にうまくいっている。白石の篤志好き好きっぷりすごい。7割で押し倒して一線超えんばかりだったけれど、本気出したらどうなってしまうん…?妙なことに、白石が好き好き過ぎて篤志が受け身になると、篤志のキャラがだいぶぼやけるのが玉に瑕。

まぁでも親がな。難物だしな。篤志の見せ所はここからだろうか。親世代の痼りが子世代に。この作者さんは、子供の恋愛に親を絡めてくるのが特徴的だなぁと思う。家族ぐるみなんだよな恋模様が基本的に。でも、こんなにもこんがらがっているのは珍しい。

よくぞあの親からこんな良い子が育ってくれたもんで。愛情はあるんだろうけれど、親としては色々問題ありだろう。ちょっと違うが、親はなくとも子は育つ、か。漫画の傾向全然違うというか正反対に近い、新井理恵的家族感がふっと頭をよぎる。

親世代のラブコメは波乱万丈やなぁ。

印象に残ったのは西氷影組告白シーン

「俺のために 苦労をしてくれ!!」

これが言える男は本物。こんなん相手を滅茶苦茶好きじゃないと言えない。ラブコメ的セオリーでは、苦労をかけられないから別れようとするのを、もう片割れがありとあらゆる手段を講じて止める……だと思うけれど、その過程をすっ飛ばして、苦労してくれ、と啖呵を切るのは相当に深い愛と覚悟が必要で、これはもうラブコメ的浪漫に溢れている。

ところで関係ないけれど、親世代の凍治みたいなちょっとヤンデレ入った男は、女性にしか描けないタイプに思う。男声作者の野郎向けラブコメ漫画でヤンデレ男って、ちょっと見たことないし。ヒロイン好き過ぎるタイプはいっぱいいるけれど。

理想世界

うーん、それにしても理想世界。親世代から子世代に渡るラブコメということで、とてもスケールが大きいような気がするけれど、よくよく考えてみるとものすごい身内の中の出来事。つまり、時間的なスケールは大きいのだけれど、空間的なスケールはとても小さい。箱庭的という言い方がこれほどしっくりくる漫画もなかろう。そして、彼と彼女たちの悩みはどこまでも身内の人間関係に完結し、決してキャリアに悩んでいたり芸術に苦悩していたりするわけではない。

これが理想世界じゃなくてなんだろう。十年前の俺は高津カリノ作品を読めなかったのだけれど、それはこの世界の楽しみ方を知らなかった、あるいは楽しさを感じられなかったからだろうと思う。

今は楽しい。すっごい楽しい。それがいいことなのかどうかわからん。わからんけどとりあえず続き楽しみだわ。死のう。

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