作・310。サトーと読むようだ。
無表情がウリの主人公と愉快な仲間たち。男3女1でどちらかというと女性向けっぽい男の友情がやや過剰に描かれつつも、一応ちゃんとラブありなのでBLではない模様。ただ友人の相馬(表紙の金髪くん)関係は多少感じさせるものがあるので、マジBL無理って人だと無理かもしれん。表紙からしてなんかね。
性根は優しいのに風貌のせいで誤解されて…というとありがちだが、友情ベースでそれなりに愉快な日常を送っているのが特徴か。個人的に面白いなと思ったのは、無表情にも訴えかける力があるという描写。確かにそうかも。
1巻時点ではラブコメ的には微妙だが、日常ものとしてけっこう楽しんで読んだ。うーん、でもロマンス方面はどうなんだろうね、期待できるのかなぁ。うーん。以下1巻感想。
日常
表情筋が死滅してしまったらしい主人公・吉沢くんが、それゆえに周囲から浮いて友達が出来なかったものの、唯一吉沢の僅かな表情筋の動きを察知できる友人・相馬と繋がり、それをきっかけにして友達作りを頑張るぞって話。相馬は相馬で、強面のせいで友人がいない。
これで謎の部活を作り始めて美少女ヒロインでも入部したら、一昔前のライトノベルが出来上がりであるけれど、そうはせず、地道に笑顔が素敵なクラスメートの女子・井出さんに教えを乞うという、傍目にも高いハードルの難行をいきなりこなそうとする。が、井出さんは井出さんで、笑顔が素敵過ぎるが故に皆から負担を押し付けられてつらいという、吉沢との逆ベクトルの悩みを抱えていた、という設定で、これはなるほど、無表情男と天使笑顔女という面白い組み合わせの誕生である。
実際その様は中々素敵であり、ラブコメ的ロマンスを期待させてくれる。二人の関係が、二人の個性をそれぞれ際立たせており、面白い。井出が言うには、吉沢の無表情には訴えかける力があるとのことだが、確かにそのとおりだ。これはちょっと感心してしまったよ。そうだね、無表情も表情の一つだよ。
つまり、逆ベクトルとは言ったけれど、吉沢の問題の本質は表情が一つに凝り固まってしまっていることなんだろう。そうだとすると、「笑顔」で固定されてしまっている井出は、本質的に吉沢と同種の悩みを抱えていると言える。こういう関係は、相補的でいいよな。
ただそのラインは(一緒にバイトするなどするものの)あまり進まず、むしろ別に井出のことが好きな隠れイケメン・黒山が登場し、彼ともまた友情を築く。つまり、展開としてはどちらかというと友情ベースで、井出さんはどうしても生じるBL臭さの匂い消しという感じもする。
相馬関係がどうにもそれっぽい
ただし、相馬関係ではBL臭さを消臭しきれていない。吉沢は世話になっている相馬のため、誕生日プレゼントを送るためにバイトをするのだが、これは高校生の男同士としてはちょっと重たい気もするし、そのプレゼントを震えるほど喜んで、汚れるから使えない保存決定、って、おいそりゃちょっとばかり気持ち悪い友情だなと思わなくもない。
また、相馬のみが吉沢の表情筋の動きの差を見抜けるのだが、その差が数値にして0.03ミリ、つまり30ミクロンってことだけれど、これはすごい。一般的に髪の毛の太さが60ミクロンと言われている。つまり髪の毛の半分以下の動きを、相馬は見抜いているわけだ。これは天性の動体視力というべきなのか。これが田中くんはいつもけだるげの田中と太田みたいに、発せられる雰囲気や空気感から相手のことを察する、なら気安い仲としてあるかな、と思えるのだけれど、「眉が30ミクロン動いている!」はギャグ含みにしてもちょっと気持ち悪い洞察力である。
ということでBLっぽさは抜けていない、というか恐らく意図的なんだろうなぁと思うので、どちらかいうと女性向けな感じ。当サイトとしては果たして今後ラブコメ的期待ができるのかたいへん気になるところなのだが、一応井出関係の話はそれなりに面白いので、今のところなんともいえない。とりあえず、2巻読む。
追記:2巻読んだのだが、どうもBL臭さを感じて駄目だった。。。
コメント