『WORKING!!』5巻特装版ドラマCD感想:小鳥遊くんお疲れ様!

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作・高津カリノ。WORKING!!5巻初回特装版はドラマCD付き。この表紙は通常版で、特装版はことりちゃんじゃないほうがアップ。

ドラマCDはアクの強い小鳥遊家の話。ワグナリアの面々は出てこず、ラブコメ要素はほぼなし。四姉妹に振り回される宗太の苦労人ぶりがフィーチャーされる。なずなは天使だけど。姉という生き物は基本傍若無人である。

だがラブコメでこんなにもまったく羨ましくない姉妹持ちというのも珍しい。ただ仲良し兄弟だということはわかり、単純に家族として微笑ましい限り。

以下ドラマCD感想。

目次

ザ・姉

とにかく姉3人アクが強い。梢姉さん色仕掛けしてくるけど嬉しくないめんどくさい。一枝姉さん怖い。泉姉さんある意味怖い。小鳥遊くんお疲れ様。ラブコメの姉キャラといえば、ヒロインではなくとももう少しドリームが入っていそうなものである。いや、ドリームは入っている。入っているのにも関わらずこのときめかなさはすごい。

ときめかないといってもそれはラブコメ的にはという意味で、キャラ自体は素敵な姉ズである。姉っぽいかと言われると姉っぽくはないんだが、姉という感じはする不思議。だが断じて姉にしたいとは思わない。

今回のドラマCDでは、なずなの提案で、宗太を一日家長として姉たちがもてなすのであるが、行動に少し変化は見られるものの、結局やっていることは変わらない。むしろいつもより倍つきまとい、鬱陶しい。特に梢さん酷い。家長だっつってんのに幼少期と同じ扱いするってどういうことだ。あと一枝さんの金銭差し押さえはガチ過ぎるので後でちゃんと返してあげてやって!

なずな天使…のようななんとか

姉たちと違いなずなについては創作らしいラブコメ的ドリームが詰め込まれている。端的に言って天使……のようななんとか。天使というには策謀が過ぎる。純粋というには大人び過ぎる。

その行動原理が兄のことを想ってという点で揺るぎなく、正しくラブコメ的ブラコン妹であるにも関わらず、どこか不気味なのはそのしたたかさが故か。杓子定規にならず、理想を重んじ現実を見つめ、情実のバランスを取り、清濁併せ呑む、理想的な政治家のようなこの妹は、ラブコメにおける妹という属性に似つかわしくなく、ましてちっちゃくて可愛いなどとはかけ離れた存在。そしてその能力を遺憾なく兄のために使う様を、兄・宗太は複雑な心境で見守る。

ただ5巻限定版であるこの時点ではまだ詰めが甘いのか、兄のことを想っての一日課長ではあったけれど、結局いつもどおり姉たちの玩具になってオシマイであった。だが、本編後半のなずなであれば、本当にきちんと兄を癒やすような企画と根回しができるようになっているかもしれない。その成長が嬉しくも恐ろしい妹。

仲のいい家族で…

濃すぎる姉妹たちに振り回されながらも、なんだかんだで小鳥遊家の中心にいる弟であり兄である宗太に、同情しつつもほっこりできるのは、仲のいい家族だからだろう。なんだかんだいいながらも、互いに互いを大事に思っているし、何かしてあげたいという気持ちも、またちょっかい出したいという気持ちも、そのベースにある愛情を感じさせずにはいられない。

WORKINGなのにラブコメ分は少なかったものの、なにげに複雑なご家庭が多いこの作品において、ほっこりできるいい家族話だった。

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