『WORKING!!』奇人変人たちによる純粋なラブコメに悶えざるを得ない

高津カリノ, WORKING!!, Re: ORDER

高津カリノ, WORKING!!, Re:オーダー

↑7巻の販促4コマだったそう。ネタでもなく本当にこの通りっていう。変な人たちが変な恋してるファミレス漫画。恋の合間に仕事する。

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基本情報

うろんなページ

WORKING!! | 作品紹介 | ヤングガンガン YOUNG GANGAN OFFICIALSITE

WORKING!! - Wikipedia

全13巻。作者は高津カリノ。無駄にWikipediaが充実してる…。同一の世界観の話が作者サイトにて読める。そちらは猫組とされ、商業誌に掲載されていた本作は犬組とされるようだ。猫組の話はWEB版WORKING!!でオールリライトされているので、そっちを読むのがいいかも。絵も綺麗だし。また、Re:オーダーなるオマケ本も単行本化されていて、過去の販促漫画などが網羅されておりけっこうお得。後日談でWEB版WORKING!!とのコラボもあって素敵。

だいたいこんな感じ

ちっちゃいもの大好きな職質待ったなしの高校生小鳥遊宗太が、ちっちゃい女の子の誘いにホイホイついていき、ファミレス「ワグナリア」のバイトをすることになった。すると、そこは変人の巣窟だったとさ。でも小鳥遊くんも負けず劣らずの変人なので、特に問題なく馴染んで愉快なバイト生活を送るのでした。

という日常的なファミレス漫画なのだが、登場人物のアクが強い。ただ、人物のアクが強いが話はそこまで強烈ということもなく、劇薬と劇薬が混ざって大爆発!というよりは酸性とアルカリ性が混ざって中性みたいなところがあり、ほんわかとしたゆるい雰囲気で話が進んでいく(昔のガンガンはそういう漫画多かった気がする)。嬉しいことに、ラブ分多めで。

いや本当、ラブコメに飢えた人にとってはありがとうございますありがとうございますって感じやからね。だいたいラブコメは割れ鍋に綴じ蓋が面白いから、変人どんとこいやしね。みんな変だけど悪い人はいないし。変に重たい話も世界観ぶち壊すようなシリアス展開もなく(よくよく考えるとこれきついねってのは多々あるんだけど、非常に抑制された演出かつフォローがしっかりしているので気にならない)、本当に安心して読める。

人物

人物はいっぱいいるんだが、ここではラブコメ的においしいカップル3組だけ取り上げる。

小鳥遊宗太と伊波まひる

高津カリノ, WORKING!!, 第1巻

高津カリノ, WORKING!!, 第1巻

↑この険悪なところから始まるのが、本作の看板カップル。マイナスからプラスへの転換はラブコメの定番だけど王道にして正義やなー。ちっちゃいもの好きの小鳥遊宗太と男嫌いの伊波まひる。この二人の恋路が本作の要の一つ。

小鳥遊くんは比較的体が大きく傍若無人な姉たちに揉まれて育ったせいか、ちっちゃいもの好きになってしまった難儀な子。妹もいるが妹もでかい。基本弟キャラ。合法のアレ的な種島ぽぷらの勧誘にホイホイついてきてバイトを始める。ちっちゃいもの好きで「12歳を超えたら年増」と言い切る有望な人間ではあるものの、いわゆるロリータとはなんか違う。ちっちゃければなんでもいいみたいで、ダンゴムシすら愛でる対象になるのは、ちょっとばかり闇が深すぎる。そういう意味では節操が無い。女装属性も有る。闇が深い。あとなんだかんだいいつつ、姉たちのような難儀な女を好きになってしまうタイプじゃないかと思われる。女兄弟の影響力ってでかいからなぁ…。諸悪の根源。

伊波さんは、父親の教育のせいで男嫌いになり、男を見ると殴ってしまうようになった難儀な子。男嫌いというより男が苦手と考えたほうがいいような気がする。よくバイトできてるよね。いわゆる暴力ヒロインに分類されるだろうけれど、本人は自分の男嫌い、暴力癖を改めたいと考えているし、またこの悪癖が恋の障害にもなって本人が大いに悩んでいたりもするので、そういうヒロイン嫌やねんって人でもけっこう受け入れられるんじゃなかろうか。あと強烈な貧乳コンプレックスを抱いている。ストーーン!↓

ストーーーーン 高津カリノ, WORKING!!, Re: オーダー

ストーーーン
高津カリノ, WORKING!!, Re:オーダー

↑ストーーン!さらに作者は彼女のオッパイマウスパッドを作ろうと言い出して本当に作られてまったくみんな伊波さん大好きですね。なお見事な再現性だった模様。

この二人がくっつくというのは、非常に奇っ怪なことに思えるし、実際のところ奇妙なカップルと言わざるを得ないが、だからこそラブコメが面白いというか、この変な二人が「もうこの組み合わせしか考えられんな」というほどにおさまっていく過程が実に楽しく嬉しくニヤニヤ憤死。というか小鳥遊くんに女装属性がつくのは伊波さんのせいなわけで。彼女のためなら変態にも実を落とす男気ですよ!いや男気なのか?いやわからんけど。。

佐藤くんと轟八千代

金髪ヘタレクール、佐藤くんとおっとりと帯刀する完璧ガードの轟八千代の素敵二二十才カップル。十代じゃないのは、ラブコメ的にはけっこう重要。カップルというか…佐藤くんの純愛物語やなぁ…

ヘタレの恋愛はだいたい読んでてうがー!となるもんだが、佐藤くんの場合、八千代が店長(女)好き過ぎるということがあって、いきなり想いを伝えても多分ダメ+向こうも優しいから変に気を使わせるという展開がまるわかりのため、イマイチ踏み込めない佐藤くんの気持ちもよくわかる。

八千代からはいかに店長(女)が素敵かということをこれでもかというほど語られ、好きな人のことを話す八千代の笑顔に見惚れながらもその相手が自分ではないということもわかったうえで、切なく聞き流す姿には「頑張ってください」としか言えない。こんなに応援したくなるヘタレはちょっと見たことがない。

そうは言っても、八千代の店長への気持ちは恋愛感情とはまた別だということもわかっていることだろうし、だからこそ想いを断ち切れずズルズルズルズルとなーがいこと片想い募らせているわけだな。純愛ヘタレクール。

相馬さんと山田

頭の回転が早く腹黒で「過去に何があったの?」と聞きたくなるような相馬さんと、「どうやって生きてきたの?」と聞きたくなるほど間が抜けた山田(偽名)のカッ……カップルではないか。コンビで。

高津カリノ, WORKING!!, 第3巻

高津カリノ, WORKING!!, 第3巻

↑抜け目のない相馬を、孤独で哀れなかわいそうまさんとして、自分が妹になって慰めてあげようという三段飛ばしの意味不明な論理展開のもと、山田は相馬の妹を名乗るようになる。どうも、こういう理屈をすっ飛ばしたド感性タイプは相馬の苦手とするところらしく、対応に苦慮しつつもなんだかんだで山田の世話を焼いてあげている。それにより山田はますます懐く。

カップルではないと言ったものの、妄想捗るコンビであることは事実。とはいえ、どちらかといえばちんちくりんな山田は、相馬の性的好みにまったく合致しない。というか真反対もいいところであり、一歩踏み込んで考えた時、果たして恋人同士の営みができるのかどうか果たして疑わしいというか山田でそういうこと考えたくないというかじゃあ考えるなよというかでもこの二人の夜ってクソ笑えるとかなんとかかんとか。

この二人の家庭は色々と問題があり、なにげに人の心の機微には敏感な二人なのはそういう面もあろうか。シリアスに考えるとワグナリアでも随一の暗部ではないかという気がしなくもないが、それを微塵も感じさせないのは山田の天性か。相馬の訳ありな過去を知るにはWEB版WORKING!!も読まないといけず、というかWEB版WORKING!!を読んでもっとも衝撃的なのは相馬関連じゃなかろうか。

総評

余ったぽぷらは俺が貰います。

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