作・水薙竜。2018年12巻。既に13巻が出ている。13巻とまとめて感想つけようとすると、そのまま読むのも忘れて1年たつ、なんてことを俺は平気でしてしまうから、妹ちゃんよろしく思い立ったが吉なんとかということで感想を書く。それにしても、いい加減電子書籍にカバー裏漫画をちゃんとのせてほしい…。
今回も多華宮君を守る姫様と愉快すぎる妹ちゃんが大暴れでよかった。妹ちゃん見ると安心するよ。
姫様については、前巻までに語られた在りし日の美しきボーイ・ミーツ・ガールが物語のバックボーンにあるのだと思うと、姫様の一挙一投足に深みを感じる。多華宮君自覚なきジゴロ体質だから余計に……。
以下12巻感想。もうすぐクライマックスなのかなぁ……。
今回も不思議な世界観
いつもながら不思議な世界観の漫画である。現代社会とファンタジックな魔法の世界が混ざり合っている、というとそんな世界観は昨今の漫画においては珍しくもなんともないのだが、この漫画は背景はどこまでも現代文明であるのに、登場する人たちの生き様が中世的であるところに独特のものを感じる。法律とかそんなのが機能していなさそうな感じ。実際、魔女同士のコミュニティの規律によって、秩序が保たれているようだが。
この漫画の世界においては魔女が中心であり、男性は影が薄いのだけれど、物語の中心には多華宮仄がいる。これもまぁ、男向けのラブコメ色が強い漫画ではありがちなものかもしれないのだけれど、12巻まできても一番目立つのは火々里だし、登場人物の男女比率が1:9とはいえ、ハーレムものってわけでもないんだよな。単に女系が強い。それでいながら、別に男性が蔑ろにされているというわけでもない……まぁつまり、現代社会の中に溶け込む魔女たちの世界、ということなんだろうか。
相変わらず激しい愛情表現
その中で、物語の中心にいるのは男の多華宮君なわけだが、彼に一番親しい人物はなんといっても姫様こと火々里であり、変わらない表情の裏には熱烈な愛情が隠されており、その源らしきエピソードが前巻で明らかになってからは、ラブコメとしても非常に面白く感じられるようになった。
というのも、これまでの姫様の行き過ぎた愛情表現はすべて、ベースに在りし日の素敵ボーイ・ミーツ・ガールがあるのだなぁと思うと、彼女の一挙一投足についても深みを感じられるものだから、そんなラブコメの再発見が愉快で、俺は1巻から全部読み直してしまったほどだ。
この12巻でも姫様ぶりは健在であり、栞が仄に抱きつけばぶっ飛ばすし、ローランが色仕掛けした時には怒りが額に影を落とし、特にアルシナが昼食時に仄に対して性的な評価をして誘うようなことを言った時などは、前触れもなく彼女の顔面を大地に叩きつけようとするなど、ああこれがあの少女の成長した姿なのかと思うと、実に感慨深い。
怒りの度合いを見ていくと、色仕掛けや過度なスキンシップよりも、性的な目で仄を見られることのほうが我慢ならないらしい。多華宮妹は変態だけれどある意味ピュアなので、火々里的にはけっこうセーフなのかもしれない。妹ちゃんといえば、今回も揺るぎなく大暴れで楽しかったが、もう少し本編にからませてもらえないものだろうか。
さて、相変わらず皆に守られてばかりの多華宮君だけれど、最後にちょっと「必ず護るから」と格好良く決める。それについて、これまで仄を危険な目に合わせまいとばかりの火々里だったが、仄の言葉を目を閉じて何か思っている。この二人の関係にも変化が訪れているんだろうか。そろそろクライマックスなのかなぁ。
コメント