作・水薙竜。2017年11巻。半年くらい積読していた模様。
本巻では、灰と姫の出会いが描かれるのだが、それが、ボーイ・ミーツ・ガール的に、こう……良いものだった。非常に。主人公は単なる守られ男子では決してなかったのだ…。そしてその結果この常軌を逸したストーカー女が爆誕したのかと思うと色々と感慨深い。
妹ちゃんは異常という名の平常運転。
以下11巻感想。
ボーイ・ミーツ・ガール
なにこの珠玉のボーイ・ミーツ・ガール。最高か。11巻にもなって、いまさら主人公とヒロインの馴れ初めとか……。しかも散々異常としか言えない、常軌を逸した性癖を晒した後に王道のボーイ・ミーツ・ガールな出会い編とかどういうことやねん。
閉じ込められた女の子を見た男の子が外に連れ出すってのは、もうどう転んでも大正義だなぁ。幼き頃の二人が手を繋いで外の世界の風に当たる光景は、ただただ尊く美しかった…。なぜボーイ・ミーツ・ガールはかくも崇高なのか。もはや芸術である。思わずありがとうという言葉が脳内を巡る……。
からの、変態
で、崇高なボーイ・ミーツ・ガール編の後は相変わらず姫様と妹ちゃんの多華宮君を囲んだワクワク変態生活編。あの綺麗な過去編はなんだったんだ。
過去を知ると、姫様の変態行為に妙な感慨深さを覚える。あの女の子が、男の写真や私物を集めて、監視という名のストーキングに余念がない変態になるとか。ってことは、幼き二人のあの美しいシーンは、変態ストーカー女爆誕のシーンでもあったということになるのか。これはひどい。
それに加えて妹ちゃん。姫様と妹ちゃんの変態バトルが本当に色々台無し過ぎる。特に兄の使い終わったはずのフォークが新品であることに気づいた時が
「姫様の目的はお兄ちゃんの使用済み食器をコレクションする事だったのよ!!
毎回気づかれない様 用意していた新品とすり替えていたんだわ……!
どうして思いつかなかったのかしら!!私だって昔よく自分の使った食器を洗わずそのままお兄ちゃんに出してニヤニヤしてたのに!!」
キッツイ。姫様もたいがいだけど、妹ちゃんの使用済み食器の使い回しもかなりレベル高いわ。家族ならではのプレイだなぁ。
何故変態は体液に行き着くのか?またこれは、姫様と妹ちゃんの微妙な変態性のベクトルの違いが明らかになったシーンでもある。つまり、妹ちゃんは自身の体液を好きな相手に摂取させるタイプで、逆に姫様は好きな相手の体液を摂取するタイプということだ。とはいえ、この2つの性的指向は、SとMのように表裏一体のものなので、どちらか一方というわけではないのだが。まぁいずれにしても変態である。灰には変態を引き寄せるフェロモンでも出ているのだろうか。
ところでもし妹ちゃんの変態プレイが継続していたら、間接的に姫様は妹ちゃん成分も摂取してしまうことになるのではないか、と思ったが、姫様はそのあたり敏感に察知して、妹避けしたうえで純粋な灰成分を抽出するのだろうなぁ。妹ちゃんに姫様の行動原理がわかるように、逆もまた然り。ほんとなんだこの戦い。
それにしても妹ちゃんはいわゆるキモウトと言われる部類に入るはずなのだけれど、なんというかそこまでキモくない。キモくないキモウトって珍しい。稀有なキャラだ。いやもう言葉の定義が崩壊しているが。たぬたぬやらケモミミやら先輩やらと、しっかり人間関係築いているからだろうなぁ。兄貴を守ってきた実績もあるし。自分勝手だけど、自己中じゃないんだよね。
刊行ペースは決して早くないのにもうすぐ次巻。次は早く読もう。
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