U-temo, 大魔法使いなんです…よね? 1, 2016
探偵事務所を舞台にして、バイトくんが「大魔法使いなんですよね?」と聞き、それに対して「そうよ」と返す。ほぼすべてのネタがそのように始まる4コマ劇場。
在りし日のWeb小説を思い出した。この手のものは一気に読むものではなく、ちょくちょく気が向いた時に少しずつ読むタイプのものなので、単行本という形式ではけっこう厳しいものがあるかもしれない。
実際、全2巻は漫画として決して長くはないが、それでもなお長いと感じた。が、最終話を読む前と読んだ後で印象が変わるタイプで、最終話まで読んでなんぼの作品なので、読み始めたからには最後まで読まないともったいない。100ページくらいの中編くらいだとちょうどよく感じられただろうか。
できればわかりやすいハッピーエンドがよかったな。。。以下全2巻感想。
変な読み方をした
俺は不思議な読み方でこの漫画を読んだ。まず最初の2,3話はしっかり読んだ。で、「ああ、こういう感じか」となんとなく把握した後は、少しずつページを読み進める速度を早めていき、最終的にはほとんど飛ばし読みに近くなった。で、2巻にはいる時、目次にある「FINAL」の文字を見て、「ああ、終わるか」とどこかほっとした心地でほとんど読み飛ばしていき、最終話間近、クローバーを探すところでふとページを飛ばす手が緩み、その後の「喪失」で完全に手が止まった。そして最終話をじっくりと読み、「なるほど……」となにか得心して、それからまた逆戻りで1巻に向かってページをめくりなおしていった。
こういう読み方になったのは、まず最初の段階で飽きがきてしまったことは正直に言わねばならないだろう。「大魔法使いなんです…よね?」「そうよ」ほぼすべてここから始まる、という制約は、やはり4コマ日常物語として一気に読むには相当厳しいものがあり、これで読ませるのは相当の力量が必要なんじゃなかろうか、というか可能なのか?正直単調なネタが繰り返されている印象が否めず、まぁ連載で毎日少しずつ読むならそれもいいかもしれないのだが、単行本で読むにはちょっとつらいものがあった。初読の段階ではページをめくる手がどんどん早まっていき、最終的にほぼ飛ばし読み状態になってしまったのもむべなるかな。
その手を止めたのは、最終話直前の「喪失」だった。自称大魔法使いさんが忽然と姿を消し、後に残ったのはガランとした事務所、その隅にひっそりと書かれた子供じみた相合い傘の落書き。そして次の最終話で明かされる出会いの話。
それはなんてことのない話で、毎日をつまらないと感じていた学生に、「魔法は誰にだって使える」と嘯き、自身を"大"魔法使いと名乗るに至った。それだけのこと。ただ、そういうバックボーンがあるとしたうえで、二人の日常を眺め直すと、最初とは感じ方も変わってくる。
ネタバラシ前後
なので、ネタバラシの後は読めたのだが、逆に言うとそれがないと読み続けるにはちょっとつらかった。二人の日常が、バイトくんことみゆきにとってかけがえのないものであることを知るためにも、恐らくそれなりの長さが必要だとは思うものの、もう少し何かしら目を引かせるものがないと、2巻は長かったな……。ネタの一発一発は弱いのだし(その弱さがある意味では日常感なので、ポイントでもあるかもしれないのだが…)。100ページくらいの中編なら面白く読めたような気もする。あるいは、構成をガラッと変えるか……。
あと喪失エンドってのはやっぱりちょっとさみしいな。。。しっとりとした終わり方ではあるけれど、やっぱりわかりやすいハッピーエンドが俺は好きなので。まぁこればっかりは俺の好みってだけではあるんだけれど。
いろいろな意味で、在りし日のWeb小説を思わせる趣味性の高い漫画でございました。商業の単行本形式というフレームワークとの相性が悪い気がする。。。
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