鳴見なる, 渡くんのxxが崩壊寸前 8, 2019
今回は紗月巻。みんな大好き石原さんは扉絵でせくしぃなポーズするだけの女となった。……いやまぁ、多分次巻帰ってからまた出るんだろうけれど。
なんか読みながら往年のギャルゲーを思い出したわ。あらゆる選択肢が紗月ルートと石原さんルートのどちらかに分岐する(で、どちらもダメだと「鈴がいるから!」と兄妹エンド 笑)。
で、今回で紗月ルートに入っちゃった感があると思うのは、俺が紗月派だからだろうか。いやだって、直人にはいくつも引き返す選択肢が表示されたはずなのだが、すべてスルーして紗月の中に入り込んでいくし。
直人にとっては、あくまでも幼馴染として、なんだろうけどねぇ。確かに直人は、紗月が男だったとしても同じ行動をしたように思うけれどねぇ。でもねぇ、これ納得できる彼女さんおるんかいね。以下、毒親だらけの8巻感想。
紗月ルートですよ奥さん
読みながらまるでギャルゲーをやっているような気分になった。それは多分、読者の神視点でなくとも「ここの対応は重要だ!」と明らかにわかるような、いくつかの分岐点となる箇所が複数あったからだろう。
まぁ今回紗月の見送りに行くまでは石原さんルートであったとして(見送りに行かなかった場合、紗月と決別できなかったということだから、石原さんはそれはそれで不安になって、紗月の幻影に囚われてバッドエンドルートになる気がする)、紗月に車内に引っ張りこまれたのは仕方ないとしても、そこから先はもう完全に直人の意思だからねぇ。
まぁ、乗ってしまった以上、駅まで行ったのは仕方ない。なんだかんだ言いつつ、直人が見送りに来たことに喜びが隠せない紗月は、テンションだだ上がりで車内に引っ張り込んだ挙げ句、「別れ話って、彼女でもないのに」とにまにまする。
恐らくこれが紗月の本心なのだが、"実家"という言葉が出た途端にまた目が死んで冷たい対応を取るのは、彼女の理性がそうさせるのだろう。そのまま直人の肩を借りて眠り始めたのは、まぁ最後にこれくらいはいいだろう、という理性と感情のせめぎ合った末の落とし所だったかもしれない。
紗月のテリトリーに踏み込む直人
で、松本駅まで来たところで、紗月は直人に「バイバイ」と別れを切り出す。これは明確なサインで、紗月は「ここまで」というラインを理性でもって引いたわけだ。直人からすれば、何もかも不完全燃焼ではあるけれど、ここで紗月の言う通り帰るという選択肢は当然あった……というか、石原さんのことを最優先にするのであれば、帰るべきだったように思う。
が、直人は「家まで送る」と踏み込んでしまう……まぁ、直人にすれば、紗月との別れはトラウマでもあったので、仕方ないのかもしれない。別れるにしても、納得して別れたいわけだ(ついでに言うと、別れる云々は石原さんの不安を鎮めたいだけで、直人にとって紗月はあくまで幼馴染なのだから、未来永劫別れるという気も多分なく、石原さんが落ち着けばまた会おうくらいのことを思っているかもしれない)。そして、元より感情的には直人への未練タラタラの紗月だから、直人に強引に来られたら、断れるわけはない。で、これですよ↓。
喜びが滲み出てますやん。めっさかわいい。
で、この後紗月はキャッキャして直人を連れ回すわけだ……が、この時点ではまだ引き返せた。一通りデートして遊んだ後、紗月は今度こそ本当に別れようとする。今度の今度は、紗月も本気の本気です↓。
上のコマの表情との落差よ。めっさこわい。
さすがに直人もここにきて明確な拒絶を感じ取る。そして、紗月に拒絶されることが怖かった自分に気づく。
だが、これ以上踏み込めば、恐らく引き返せない所に行き着いてしまう。それがどんなところかはわからないけれど、確実に今の関係を変化させるようなところだ。それは直人も感じていたはず。
それでも、直人は紗月の腕を掴み、紗月と一緒に家族に会おうとする。この時、直人は半端ではなく紗月と向き合おうと覚悟を決め、それが伝わったからこそ、紗月は諦めたように受け入れたのだと思うが、この時の二人のやりとりから、二人の感情のずれを感じる。
直人「俺は紗月の敵じゃねーよ」
鳴見なる, 渡くんのxxが崩壊寸前 8, 2019
紗月「味方でもないくせに」
直人「味方だよ」
紗月「Fカップちゃんが好きなくせに」
直人「好きだよ」
紗月「鈴ちんが一番大事なくせに」
直人「大事だよ」
直人「でもオレにとてそれとこれとは別なんだよ」
紗月は異性として自分が一番じゃないよね?と言っているわけだ。鈴すら引き合いに出されるあたりに、紗月が直人に求める関係の深さが出ている。それが叶わないなら、中途半端に踏み込んでくるな、と。幼馴染ポジションで納得しているような感じ出していたのにね。まーこっちが本心なのでしょうなぁ。直人にとって紗月が初恋の人であったように、紗月にとっても直人はきっとそうなのだろうから。
一方で、直人はもう石原さんという可愛らしい恋人もいて、紗月とのことはなんだかんだ過去のことになっている。それでもなお、初恋の人だし、大切な幼馴染で、またただならぬ事情があることを感じてもいる。過去の蟠りも残っている。紗月が大事を抱えているなら助けてやりたいし、過去のことがわかるなら今でも知りたい。そういう気持ちであって、恋愛的な理由ではない。実際、たとえ紗月が男で、いわゆる親友ポジションだったとしても、直人は同じような行動を取っただろう。
ということで、二人が求めるものには大きなずれがある。で、まぁ理屈としては直人の思うところはもっともなのだけれど、しかし年頃の男女でね、一般的には、男女の深い関係であることを想像してしまうよね。男女ってのはまぁ、そういうもんだしね。石原さん心配で吐くぞ。ってか石原さんじゃなくても、これは彼氏の行動として許せない女性のが多いんじゃないかねぇ。少なくとも逆の立場なら嫌だねぇ俺は。
紗月の態度が変わる
で、直人は紗月の実家に行くのだが、ここからは明らかに空気が違う。別のルートに入った感がありあり。なんと言っても紗月の態度が違う。たとえば、裏口から侵入するとき、四つん這いの姿勢で紗月は直人を先導するのだが、その際に「あんまりお尻みないでね」なんて宣い、さらに枝にスカートが引っかかった時は「見えてる!?」と大慌て。これまで直人に対して性的な挑発を繰り返してきたことを思うと、随分とまぁウブなことである。また、弥生のはからいで同衾した翌朝、寝ぼけた直人が紗月の胸の感触をふにふにしつつ「……石原さん」と口走った時には、「直くんのバカ」と独りごちている。っていうか直くんを胸に押し付けているの意識あったのね。自分のあられのない姿を「ん」とか言って寝相を装って見せつけるあたり、やっぱり態度違うな、と思う。
まぁにべもなく言ってしまうと、紗月は恋人ポジションを求め始めている。まぁ、この時点では紗月はまだ無自覚だろうが、なんとなく、家のことにまで直人に踏み込まれると、求めてはいけないところまで直人に求めてしまう、という感覚はあったんじゃなかろうか。だからこそ、紗月は家のことが絡むと直人を拒絶してきたわけだ。直人には石原さんがいるのだし。あと、自分に直人と付き合う資格はないとか思ってそう。それはもちろん畑荒らしの件で。
というかまぁ、直人が紗月のことを好きだと踏み切れない理由も多分一緒なんだけどね。直人は紗月に裏切られた、という気持ちがあって、それがトラウマだし、紗月に対する気持ちのブレーキになっている。逆に言うと、紗月の凶行のり理由がわかれば、それがどんなものであったとしても、直人はまた紗月に想いを抱くんじゃなかろうか……と思うのは俺が紗月派だからか?
石原さんはどう出るかな?
いやでもね、弥生さんや両親、直くん2号とも挨拶を済ませ、不穏な空気を途中感じさせたりしつつも(直純周辺のマイルドヤンキー感が地方って感じだわ)、ひとまずはいい感じで話をまとめることができて、弥生さんと直純の印象も悪くなく、紗月は無事に東京に帰ることになって、しかも直純より「紗月は直くんのことが好きなんだよ。6年前からずっと」と指摘され、紗月は自分の(直人を好きという)気持ちに自覚的になり……って別れ話どうなった。いやもう、紗月ルートだろうコレは!
……と思っているんだけれど、次巻石原さんはどう出るんだろうね。かつていい彼氏を求めた彼女は、今はいい彼女なる概念で自分を縛っているわけだが。まぁこの子も難儀な子だよね。元はと言えば、紗月に対する妙な対抗心から始まった話だしね。このままいくと6年越しのボーイ・ミーツ・ガールを成就させるだけの当て馬Fカップちゃんになってしまうが。それも可哀想だが。親もアレだし、いい感じに救われてほしいけれど。
それにしても、この漫画……毒親しかいねぇな。
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