タイトルと表紙でスルーしていたんだけど、Kindleがやたらレコメンドしてくるので読んでみたら、これは面白い。主人公含め、まともな奴がいない!主人公含む親類友人まで全員何かしら人に言えない過去・秘密を持った、腹に一物抱えた連中が、何食わぬ顔して日常の中でラブコメを演じるラブコメサスペンス。さらに、兄妹もの、幼馴染もの、三角関係など属性も多い。サービスシーンも多い。
以下ネタバレ含む(といってもネタといえるネタがまだ出てないけどね)感想。
基本情報
2016年7月現在2巻まで。著者はラーメン大好き小泉さんの鳴見なる。小泉さん読んでなかったけれど、本作が面白かったので読んでみようかと思っている。
みんなわけあり
まだストーリーがあまり動いていないので、キャラを通して語る。
共依存兄妹・渡直人と渡鈴白、およびその叔母
主人公・渡直はシスコン高校生。良心がいないらしく、妹と二人助け合い、支えあって生きてきた…せいなのか、生活のすべてが妹(小4)中心。友達の誘いも、部活の誘いも、委員会の集まりも、すべて断って妹と一緒にいることを選ぶ。ないし、予定を立てるにしてもまず妹にお伺いをたてる。妹のことは甘やかし放題で、朝起こすところから始まり夜寝るまでずーっと妹と一緒。妹に自立しろと言いながら、その実妹に頼られ、束縛されることで自身のアイデンティティを確立している節がある。そしてある時、本人もそのことに気づき愕然とし、そんな現状を打破すべく、気になる同級生石原紫と近づこうとするのだが。
一方、妹は妹で兄が大好きなブラコン。二言目には「お兄ちゃん嫌い!!」が口癖だが実際のところお兄ちゃん好き過ぎる。ダメダメな妹を演じているが、それは頼ることで兄を自分から離すまいとしているから。兄が自分の成長を心の底では望んでいないことも、無自覚に理解していると思われる。感の鋭い子。だが、本人も兄との関係を変えたくない、離れたくない、独り占めしたいという想いが非常に強く、変化しようとする兄には戸惑う。
兄が女の子と接触することが我慢ならない。だが、紗月に対しては引け目があるため、少しくらいなら、と紗月のことは許す。
個人的には、この二人を1巻表紙にして欲しかったな…。
このどう見ても共依存的な兄妹の世話をしているのが、兄妹の叔母で、兄妹の父親である兄のことを一見毛嫌いしているようが、今なお兄の写真を大量に保管しており、非常に複雑な想いを今なお抱えていることがうかがえる。恋愛事にケッペキなのは、そのへんも絡んでいるのだろうなぁ。大事な場面で必ず窓からのぞき見してるの怖いっす。兄そっくりの直人に彼女ができるのは許し難いだろう。まるで監視しているかのごとく、ちょくちょくと兄妹をじーっと覗き見ている描写があるが(ツッコミ不在で怖い)、かつての自分たちを重ねあわせているのだろうか…?
幼馴染・館花紗月
表紙のヒロイン。多分メインヒロイン。再会型幼馴染。直人のことは直くんと呼ぶ。いつの間にかラブコメでは負け属性とさえ揶揄される幼馴染だが、再会タイプは比較的勝率が高いと思う。6年前、直人の畑荒らしをして姿を見せなくなったことから、直人から拒絶されているが、しつこくつきまとって直人と絡む。
ストーカー属性もち。話しかけるわけでもなく、直人の後をずっとついてまわることも多い。ただそれは、直人に何かあれば真っ先に助けに駆けつけるという意図も多分にあるだろう。直人の想いとは裏腹に、昔から今まで、彼女がずっと直人のことを一途に想い続けていることはまず間違いなく、それだけに、何故6年前のことを頑なに隠すのか…いったい何があったのか?読者としては気になって仕方ない。まったくうまいもんだ!
自分が可愛い自覚があるのか、性的なアピールも多い。というか初っ端のディープキスがインパクト強すぎ。窒息させるほどのキス。6年分の想いがこもっていたのか。その後しれっとそれが初キスであるかのようなセリフも挟む、気の利かせ方。しかしあれが初キスなら、今まで見てきたラブコメで一番激しいファーストキスだと思うわ。その後もセックスアピールに余念がないお色気担当だが、攻められると弱いというあざとい一面あり。
明らかに直人のことを恋愛的に意識しており、直人と石原の仲を意図して邪魔することはないが、直人が自分より石原を意識していると思ったら、あからさまに性的なアピールをして直人の気を引かせようともする。
普通に考えれば、直人と最終的にくっつきそうな筆頭候補であるが、なにしろサスペンス調の本作であるので、どうなることやら…。
同級生・石原紫
2巻表紙のヒロインその2。同級生の美少女。Fカップちゃん。ポジション的には紗月とダブルヒロインと思われるが、もし最終的に直人がこの娘と結ばれたらむちゃくちゃびっくりするくらいには、ラブコメ文脈からいくと完全に当て馬。直人のシスコンぶりから、渡が純粋で誠実で優しくて清らかな聖人君子であるかのような夢を抱く変な子。その妄想の抱き方含め、どう見てもわけあり優良物件。過去のトラウマが絡んでいそうだが。渡にそんな清らかなイメージを抱いている割には、大胆な水着でアピールしようともしており、なんだか矛盾している。
同級生・徳井
シスコン直人にも友人として接してくれるナイスガイ…か?直人・石原を見る目には何か含みが感じられる。実際石原のトラウマを知っているらしく、そのうえで二人を引き合わせようとしているが、そこには何かしらの意図が見え隠れする。ただの良い友人ではないのだろうなぁ。あのメガネの奥にはどんな想いが…。
続きに期待!
僕だけがいない街が終わって、ラブコメでミステリーあるいはサスペンス系でめぼしいのがなかったのだが、これは期待できる。特にこれはラブコメ要素自体がサスペンスの要素になっているので、先がとても楽しみだ。幼馴染エンド希望。バッドエンドでさえなければいいけど。物語の終わりはいつだってハッピーエンドじゃないとね。
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