作・師走ゆき。不老姉弟が面白かったので作者さん買い。
喋る動物ものというあざとさの塊みたいなテーマであるが、犬が見た目に反していぶし銀のような喋り口調なのと、主人公の女の子の不器用さが相まって中々面白い。
特にこの不器用さは、どこかで見た感じだと思っていたらアレだ、「強面で口が悪いけど本当は優しい不器用な親父」キャラなんだこれ。漁師のオッサンあたりにつきそうなこのキャラ性が女子高生について主人公しているという具合。
イケメン役の子があまりにも出来すぎていて共感しづらかったが、一癖ありそうな感じが仄めかされる。うむ、面白かったし2巻に期待だな……と思ったけど出てない。そして1巻は2015年1月発売。もう丸々2年たとうとしている……これは……ダメなパターンだろうか……。
以下感想。
犬が渋い
花とゆめコミックスで、この表紙、このタイトル。普段ならまず手にも取らないのであるが、作者が不老姉弟の師走ゆき。ものは試しだなと読んでみたら、なかなかどうして面白かった。まず犬・銀之丞(すげー名前)がいい顔してる↓。

いかにもな愛らしい見た目に反した、この表情とこの口調はとてもいい。これでいかにもな可愛さだったら、俺には読めなかったろう。この犬の感じなら読める。精神年齢三十五歳と書いてなかみそこそこオッサンと読む。そこそこってのがリアル。この感じで主人公・小森かぐやに思いっきりダメ出しするのである。
見た目自体は普通に可愛らしい犬だと思って読んでいたのだが、作者さん的には動物は三次最高なので、二次元でどう表現するかたいへん悩ましかったらしい。結果的にゆるキャラの感覚で描いているそうだが、そう言われると性格含めてそんな感じがする。
自分、不器用ですから…
一方、小森の性格は度を越した口下手で、いわゆるコミュ症だろうか。日常会話では「通りたいからどいてほしい」→「邪魔」、「鼻毛出てますよ」→「顔に違和感が」と超変換。当然のごとく嫌な奴と思われ友達も出来ず、休み時間は便所で裁縫という悲しい青春を送っている。
この不器用さが、どっかで感じたと考えてみると、これあれだ、強面で口が悪いけど実は優しい不器用な頑固親父キャラなんだ。そのキャラを普通の女子高生にくっつけてみました、みたいな。中々面白い。
そんな小森のさりげない優しさに気づいているのが、憧れのイケメン男子・行近である。行近は犬好きであり、銀之丞の協力を得て、二人は接近するのであった……と、ここだけは少女漫画らしいご都合展開。ラブないと始まらんわな。
小森と銀之丞が一癖あるのに対し、この行近は気持ち悪いくらいの完璧超人で、非の打ち所がなく、個人的にはそこが微妙だ。いや、完璧超人なのは良いのだが、行近が小森を気にかけるところが、1巻時点だとまだちょっと違和感を感じる。1巻終わりくらいの話で、始めて人疲れする行近という一面が見られ、小森がそれを目ざとく見つけて励まして関係が深まる、というのは良いのだが、どうもそれ以前に、最初から行近は相当気にかけていたっぽいので、そこが気になる。
ラブコメ的には今後に期待といったところだけれど、小森と銀之丞のやりとりだけでけっこう面白いので、ひとまず2巻待ちだなーと思ったら、2015年1月刊行、2017年1月現在続巻なし。うむー……これはあかんパターンだろうか……。
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