作・八十八良。全4巻。ネットではやけに有名な気がする。俺も何年か前にネットで見つけて知った。
すこしふしぎ的にSF混じりの非常によくできたラブコメ。絵も綺麗で可愛い。好きな子のコピーを作って、他に好きな人がいるオリジナルよりも、そのコピーの子に自分のことを好きにさせるというなんだかちょっと背徳的な競争…なんだけど、愉快で素敵な青春恋愛漫画。
主人公の成長と、ヒロインとの恋愛が深まる過程に、思わず嘆息。ええなぁ……。以下感想。
恋と成長の過程がたまらん
この漫画、SF的な設定がベースにあって、ヒロインの千秋がコピーされて小秋ができるわけだけれど、そこは割とどうでもいいんだよね。最後のほうは組織みたいなのも出てくるけど、そこもどうでもいい。大仰な設定はあるんだが、そこんところはほぼスルーして、ただひたすら、アジオと小秋・千秋に焦点が絞られている。正解ってやつだよな。彼と彼女の恋物語の前に、宇宙のことなんかどうだっていいよ。その清々しさがいいよね。
小秋との恋を通じてアジオが格好良くなっていくのがたまらん。この漫画は、ヒロインの小秋が可愛いのはもちろんなんだけれど、それにくわえて成長していくアジオがいいんだよな。千秋を好きになったきっかけが、小秋の中にはないということがわかっても、今の自分の気持ちを否定せず、小秋のことを好きになると宣言するシーン好きだわ。小秋は小秋で、オリジナルの千秋より可愛いく見えるけれど、アジオを好きになっていく姿が綺麗だからだ。
千秋のほうが、失恋の思い出を守るとかいう悲惨な戦いを始めるけれど、やっぱりそれは悲しすぎる。でも、その思い出を失いたくないと思う気持ちは素敵だと思う。元がそんな彼女だからこそ、うまく歯車が合った小秋はめちゃくちゃかわいくなったわけで、やはりラブコメは男女一揃いそろって輝いてこそラブコメであるなぁとつくづく思うよ。カップリングの化学反応で放出されるエネルギーこそラブコメのエネルギーなんだ。
青春ええなぁと、そう思える素敵な作品であった。
知名度の割によく見る
ところでこの作品、決して一般的に知名度が高いとは思えないんだけれど、その割にネットでラブコメのオススメはみたいなまとめではちょくちょく取り上げられているのを見る。俺も数年前にそんな感じの記事で知ったクチ。ちょっと他に類を見ないほど、短いながら非常によくできたラブコメなので、クチコミ的にラブコメラヴァーズの間で広まっているのだと思われる。映画化してほしい。