作・衛藤ヒロユキ。全2巻。単行本化2007年。
作者が衛藤ヒロユキということ抜きには語れない。正直ファンブックの域に達していると思う。作者のことを知らずにこの漫画を手に取り、かつ、好きだという人はどれくらいいるんだろう?もしこの漫画から衛藤ヒロユキに入ったという人がいるなら、その経歴はとても貴重だから大事にしてほしいと思う(なんのこっちゃ)。
魔法陣グルグル2が出た今見ると、衛藤ヒロユキの絵柄がもっともピーキーだった頃なのかもしれない。マニアックなギャグと絵柄で、わかりやすいラブコメなどのサービスは相当控えめ。でもヒロインのでこっぱちはいいキャラしていた。
以下感想。
端的に言うとファンブック
このサイトは、ネタバレについて考慮した冒頭文と、ネタバレをあまり意識しない本文という構成が基本なので(記事タイトルに「感想」がついていないものは、全体的にネタバレに配慮しているという俺ルールもあるが)、冒頭文にはふわっとしたことしか書かない、というか書けない。ので、具体的な昂ぶりポイントを、本文には書くのであるが、冒頭文だけでだいたい言いたいことが言えてしまうものもままある。この漫画もその一つだ。
これは、特にこれといってポイントだと思う個別具体的なところがなかったということ。では面白くなかったのかと言われると、そんなこともない。めちゃくちゃ面白いとは言わないが、個人的にはそこそこ楽しんだ。でも、じゃあどこが面白かったかのかと言われると、うーんと唸ってしまう。
つまり雰囲気漫画である。雰囲気漫画というと、ネガティブなニュアンスを受け取る人もいるだろうが、そんなつもりはない。だって、衛藤ヒロユキの雰囲気が味わえるなら、もうそれで十分だろう?
、それで十分だと思う人は、作者のファンに限られるのはそうだろう。だから、この漫画はファンブック的だとは思う。衛藤ヒロユキのファンなら楽しめるし、そうでないなら、多分よくわからん漫画。
主人公のキモイ部分とのバトルよかった
などと言いつつ、ヒットしたネタはある。主人公・イービィの、心の中のキモイ部分が具象化された敵とのバトル、これは最高だった。
「わからないのか?フフフ オレはな…
オレは… おまえの心の中のキモイ部分だ!!」
イービィ「え〜〜っ!? せめて「悪」とか「凶悪」な部分にしてくれ〜っ」
「い〜や キモイ部分だ
テイジィ〜 オデコかわいいよチュ〜させるのだ そしてピー」
テイジー「あんたいつもあんなこと考えてんの?」
ここはクソ笑ってしまった。これは最高に強敵やで。帯に著者コメントで「お子様にも勧めてあげてください」とかあったけど、こんなシーンのある漫画勧めたくないわ 笑
このネタはグルグルでも見てみたいなー。汎用性の高いネタだ。
衛藤ヒロユキはキモイを笑いに昇華するのがうまいよなぁ。そういや週刊わたしのキモいペットはこの後だったか。あれもなかなか突き抜けたギャグだったけど、その割にマニアックな漫画という印象だった。絵柄のせいなんだろうか。。。
あとキャラクターが微妙というか、主人公のイービィが薄味だなぁと思う。ヒロインのテイジーはいいキャラしてたけど。猫かぶっているのも、汚れ役を厭わない素敵ヒロインっぷりも、ヒロインとは思えない顔芸も、ツッコミの切れ味もよかった。衛藤ヒロユキはその強烈なギャグとは裏腹に、キャラ自体はツッコミタイプが得意なのだろうか。ニケなんか素晴らしい主人公だしなぁ。
と、良くも悪くも、漫画の内容より作者について語ってしまう漫画であった。この頃の作者の漫画のレビューは、誰のを見てもそんな感じで、それはつまり、そういうことなんだろうと思うな。