『となりのバカと続く嘘』感想:受け入れられた変態はただの変わった人になる

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作・あむぱか。2017年。1巻完結と見せかけて続編がKindleのみで先月しれっと出た(これ)。同人かな。商業的には微妙だったのだろうか。。しかしカップル系いちゃラブもので俺によし。

少しフェチ入った幼馴染ラブコメ。唾液を摂取しないと死ぬという謎の彼女X的な設定……という嘘をついて毎日キスする爆発カップルが互いの気持ちを確かめ合うまでの話。幼馴染ラブ・ストーリー。いいよね。

唾液摂取ということでややフェティッシュ、というか実際ヒロインはちょっと変態入っているわけなのだが、受け入れられることでフェチ度が下がったように見えたのがちょっと面白かった。以下感想。

目次

安心してニヤ付ける幼馴染ラブコメ舞台

この漫画はまず幼馴染ラブコメであって、たいへん心が癒やされる。いい。さすがに最近は幼馴染というだけで負けヒロイン扱いされることもあまりなくなったと思うのだが、まぁでも男女一対一の安心感よ。ヒロインの恋を応援する友人も完備されていて、安心してニヤつけるラブコメの舞台装置は完璧だ。

ちょいとフェチ

王道と言えば王道でなのだけれど、一風変わっているのはヒロイン・悠里のちょっとした変態気質であろうか。幼馴染にして想い人・大志の体液や体臭に異常な執着を見せている。それが唾液を摂取しないと死ぬ病気、という嘘に繋がるのだが、大志の唾液を喜んでゴクゴクと飲み干し、大志の衣類に興奮してスーハーする様はなかなかのフェティッシュ。大志のバッグを抱えて「間接背中」とかいうパワーワードをのたまうのはインパクトがあった。

嘘の複雑骨折

ヒロインはこのようなド変態であるが、大志のほうはまともな男の子である。強いて言えば悠里の変態ぶりに付き合っているところが変わっている。まぁ愛故に?もちろん悠里の嘘にも本当は気づいて、つまり悠里のことが好きなわけだ。悠里だって好きでもない男と毎日キスするわけはないのだから、さっさと告ればよかろうに、と思うのだが、妙なことに「嘘と気づいているにも関わらず嘘と気づいていないふりをするという嘘」という嘘の複雑骨折が起きており、大志は大志でちょっと引け目を感じているわけだ。

まぁ本当に騙せていると思うこの幼馴染は確かに(愛すべき)バカなのであるが、実際のところはそう思わないと心がもたなかったのかもしれない。多分、お互いなんとなく好意があること自体はそれなりにわかっていただろうし(いかに口でただの幼馴染と言われても…)、本当に気になっていたのは、好きな人に「嘘を付き続けている」という負い目だったように思う。それは大志も同じで。

結局、嘘に嘘を重ね、悠里は多重人格の真似事までするのだが、その嘘に乗じる形で、互いに本当の気持ちを伝えあい、二人は幸せなキスをしてハッピーエンドなわけだ。まぁ予定調和なわけだ。それでいいのだ。そうそう。心が癒やされる。

受け入れられた変態とは

ところで、ちょっと不思議に思ったことがある。二人が付き合った後も、悠里は相変わらず変態で、大志の私物で身を包み恍惚の笑みなのだが、そういった行為を大志に目撃され、多少怒られながらもそれなりに受け要られている様子を見ると、悠里は何も変わっていないにも関わらず、変態チックな印象がだいぶ薄れた。というか、大志も悠里の匂いをかいで「ちょっとわかった気がする」などと照れながら言う様を考慮すると、もはやただのちょっと変わったカップルである

この印象の変化は俺にとってちょっと考えさせられたもので、変態やフェチという非常に自己完結的に見える性質も、実のところかなり関係的な性質なんだろうか、なんて思ったりした。何を考えているのやら。しかしそうすると、互いに受け入れあっているにも関わらず変態性高まるばかりだった同じく唾液摂取なラブコメ、謎の彼女X(記事「『謎の彼女X』ラブコメが全部ある」)のフェチッシュぶりは実に本物なのだなぁ。

まぁとにかく、ハッピーな幼馴染漫画であり俺満足。続編は個人出版なんだろうか?商業的には微妙だったのかなぁ。いいと思うんだけどなぁ。。。続編もそのうちポチるつもり。この作者さんの他の幼馴染漫画も気になっている。

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