作・ショウマケイト
あ、面白い……。なんだろう……往年の坂本太郎がちゃんとラブコメを描いたような、そんな感じだ。
前作にあたるのかな、ベテラン小学生タカシは、一つ一つのネタや雰囲気は好みのギャグとラブコメのテイストだったんだけれど、ベースとなる世界観に嫌な昭和の生々しさがあって、ちょっと好きになれないところがあったんだ。
でも、この作品はいいな!変態だけれど悪いやつらではない、主人公とヒロインの関係がすごく魅力的だ。坂本太郎を彷彿とさせるギャグセンスだけれど、あそこまでシニカルではなく、けっこうまっとうにラブコメしている。
ただ時々バランス感覚を失っているような危うさもあって、次が楽しみのようなちょっと不安のような……って全2巻かよ。以下1巻感想。
どことなく坂本太郎っぽい
いいな!
多分前作?のベテラン小学生タカシを読んだとき、「給食が食べられなくて20歳になるまで小学校を留年させられた」という設定にどうにも馴染めなかったのだけれど、一つ一つのネタや雰囲気は好みだったので、作者さんのことは気になっていたんだ。
で、この作品は表紙からラブコメの波動を感じるし、どうかなと思いつつ手にとったのだけれど、これはよかったよ。とても楽しかったしニヤニヤした。ギャグもラブコメも実にいい。
雰囲気がちょっと坂本太郎を思い出すな。
なんでこのコマ切り取った俺、と思わなくもないんだが、ナチュラルに変態的な主人公、ズレたツッコミというボケ、冷静なツッコミ、という構成がらしい感じだったので。ちょっと珍しいよね。
ラブコメとしてもよい
主人公ヒロイン、正太郎と美鈴の関係も良いものである。上のコマのとおり正太郎は変態野郎なのだが、美鈴のほうもなかなかに変わっている。必ずしも男ボケ女ツッコミの構成ではない。
↑のように、「ホンモノの友達」というもしかしたら「本当の愛」よりも恥ずかしい言葉を吐いてしまうあたりに、彼女のずれがある。同性の友達をつくるという点については正太郎のほうが一歩先んじており、また感覚的にもまともなものを持っているわけだ(中学まではゼロだったようだが……逆に美鈴はいたらしいがまぁあれも変わっているしなぁ)。感性のズレどころが違うために、二人の立ち位置はシーソーのようにひっきりなしに変わる。。
このやりとりが実に良い。楽しい。そして極めつけはこのお姫様抱っこ相合い傘である。
不覚にもニヤニヤしてしまった。作中、なにかと二人がお似合いであることが示されるものだから、ギャグベースで実際ほとんどギャグばかりなのにも関わらず、そこらの純粋なラブコメよりもニヤニヤできてしまうという。
学生どもの憂鬱
もう一つ特徴的なのは、学校生活の憂鬱がちょくちょく生々しいところだろうか。
たとえばこの優等生の憂鬱は中々リアルなのだけれど、これ漫画でもあまり取り上げられないテーマなんだよね。さらっと触れられていて「お」と思った。ベテラン小学生タカシもそうだけれど、日本の公立小中学校の嫌な生々しさを作者さんはよく描くなぁと思う。
もっとも、この娘は脇キャラなので、そういう要素はあまり前面には出てこない。まぁ出されても困る。このちょっと顔を覗かせるくらいのバランスがちょうどよいのだ。
バランスが…
全体的にベテラン小学生タカシよりも抑制的なのだが、それを功を奏していると思う。ただ時々バランスを崩しているように感じる時もあって、それはたとえば乗り移ったババァvs元優等生の拳の戦い
しかもそれがギャグ的演出にとどまらず、人ひとりに尋常でない傷を負わせ、復讐を誓わせるという引きにまでなっており、正直「おいおいマジか」という感じ。正直そんなとこ深堀りされても困るというか。
そんなわけで、面白かったので次巻が楽しみな反面、不安な気持ちもあるなぁと思っていたのだが、どうやら全2巻のようで、「そうか」、と……。うむー。。。
俺としては、何となく感じるところがあるので、折を見て続巻や他作も読んでいこうと思う。
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