『時坂さんは僕と地球に厳しすぎる。』1-2巻感想:環境問題を絡めた珍しいラブコメだが…

田中ほさな, 時坂さんは僕と地球に厳しすぎる 1, 2012

全4巻で完結済みの作品。

要素としては、タイムトラベル&環境問題。デコッパチヒロイン。ボーイ・ミーツ・ガールでドタバタラブコメ感。例によって幼馴染もいるが……。

しかし……でっかいテーマを選んだなぁと。環境問題。ふーむ。未来の地球はエコが生き過ぎて、どういうわけなのか逆に地球がヤバくなり、時坂さんはそんな未来からやってきた未来人、地球のために環境破壊をしています!ついでに言うと地球がやばくなるほどエコを推進したのは主人公、お前のせいなんだ!という筋書き。

環境問題は今も昔も、というかここ数年は特に大きなテーマになっている。まぁこういう作品がしれっと少年漫画で出てくるのはすごく日本っぽくていいと思いつつ、しかしテーマとしてはでかすぎて大丈夫かという気もする。以下1-2巻感想。

目次

環境問題とは大きなテーマだが

本作の単行本第一巻が2012年か。2012年、なるほど。その頃っていうと、ちょうど大学出て働き始めたくらいかな。環境問題、どうだったかな。少なくともまだグレタ少女は話題になっていなかった。ここ最近何かと話題になりやすいのは、欧米の暇なセレブにとって格好のエンターテイメントだからだろうと、捻くれ者の俺は思っている。

ま、それはいいんだが、2012年とはいえ、環境問題自体は、それなりに耳目を集める大きなテーマではある。大学でも、環境系の学部の躍進、みたいな話はあったし。シュタインズ・ゲートのゲーム本編で、地球温暖化論を揶揄するやりとりが物語上特に必然性があるとも思えないのに、さらっと挿入されていたことを思い出した。関心度の高いテーマである。

そして、一大テーマでもある。現代の環境問題は、一地方の政治問題ではなく、地球規模のスケールで、自然科学のみならず、技術や政治、経済が絡み合った、複雑怪奇の大物である。

微妙な関係

こういうテーマに挑む時は、そのテーマのすべてを人物の関係に固着させることが多いように思う。漫画ならデスノートの夜神月とL、アニメなら反逆のルルーシュがルルーシュとスザク、小説なら白い巨塔の財前教授と里見教授の関係に収斂されるような感じ……と、なんだか年齢のわかるたとえをしてしまった……。

なので、本作も主人公とヒロインの関係に収斂されるような構成なのだろうかと、現代的な価値観に染まっている主人公と、未来の環境破壊こそ正義!というヒロインの関係を見ながら最初は思ったのだが、主人公はヒロインの思想に反駁しながらも、なんだかんだでお手伝いするし、またヒロインはヒロインで、未来の惨状の元凶であるはずの主人公を更生(?)させるという気概をイマイチ感じない。2巻の終わり頃になると突然悲壮感漂わせるのだが……。

まぁ最初からクライマックスのテンションでこられても確かに困るのだが、しかしテーマの大きさとメインキャラクターたちののほほんとした感じがなんともミスマッチ。まぁギャグならそのミスマッチさを利用するというのもあるかもしれないんだが、ギャグというほど振り切ってもおらず、まぁ実際たまにシリアスの顔を覗かせるので、そうすると「どこまで真面目なんだ」という気がしてくる。

そんなわけで、主人公とヒロインの関係はあまり魅力を感じるものではなかった。正直突然の女の影に慌てる幼馴染というラブコメの定番シチュが一番楽しかった。

4巻で終わっているのは打ち切りっぽく思われ、正直本作の続きを読みたいかというとまぁ……なのだが、BOOKOFFでそれなりに値下がりしているので、結末を確かめる日は来る、かもしれない。

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