作・金田陽介。2017年5巻。
主人公ヒロインのみならず、多方面でラブコメしているのがとてもいい。カプ的に一番映えるのはぶっちゃけ今んところアビとソマリだと思う。犬塚とシャルも頑張らんとね。
シャルの駄犬スコット、なんだかんだで姫様やら蓮季やらともいい感じよなー。非公式サブカップルが色々妄想しやすいラブコメってのはほんとにいいもんで。こうなってくると、サービスシーンがむしろ雑味にすら感じてくる。
以下5巻感想。
楽しいラブコメ
本巻の話は、犬塚とシャルの二人きり灯台話、姫のデート妨害話、アビとソマリ再び、vs兄貴再び。
まず印象に残ったのはシャルと二人きりでテンションだだ上がりの犬塚で、彼の妄想が少女漫画風味であるところが妙におかしかった。しかも自分を少女漫画的ヒーロー像に美化して妄想するって、なんだかいいな。これはどうやら手李亜の漫画の影響らしい。いつの間に漫画の貸し借りするような仲に……。
犬塚×シャルは既定路線ではあるけれど、秘密のおつきあいということもあってか、お二人ともフラグを残している。といっても、シャルとスコットやマルがどうこうすることはまずなさそうだし(というかマルくん、ジュリ男に恋しているのはまずいっすなー)、犬塚も一途だし、別に問題にはならんのだが。蓮季はまだ諦めきれてなさそうではあるけれど、完全にフラられているし、手李亜も確証はなかろうが何かしら気づいてはいるだろうし……。
手李亜は報われないサブヒロインポジションをこのまま突っ走ってしまいそうな感あるが、蓮季はスコットともちょっといい感じかなと思う。立場も戦闘力も同じくらいみたいだし、小競り合いしている様は中々。が、スコットはむしろシャルを好き過ぎる姫様とのフラグのほうが強いか。
あと犬塚・シャルを喰う勢いだったのが、アビとソマリ。この二人はぶっちゃけこの漫画で一番カップリング感あるんだよなー。やっぱり完璧な二人よりも、割れ鍋に綴じ蓋のほうがカップリング映えする。兄貴という壁のおかげで、犬塚とシャルも互いを助け合う姿が映えて良いものだけれど、まだまだアビ・ソマリの域には達していない。犬塚・シャルの共闘話は、アビとソマリのダンスに比べると、まだちょっと落ちるか……。いや、よかったんだけどさ。
まーしかし、主人公・ヒロインカップル以外にも、非公式サブカップル含めて、色々と妄想が捗るというのは、実にいいラブコメの証だと思う。ラブコメはこうでないと。
ラブコメと色気の難しい関係
取り立ててここが素晴らしい!ってわけではないのだけれど、全体的に良質のラブコメで嬉しい。ただこうなってくると、ちょっと気になるのが、ちょくちょくある読者サービス。読者サービスは良し悪しだと思うんだよなー……。
正直3巻くらいまでは、お手本みたいな少年誌的ラブコメだなーとは思うものの、それ以上の感慨はなかった。前の感想では、犬塚とシャルが二人とも出来すぎていて、イマイチカップリング感がなかったからと書いたのだけれど、多分それだけではなくて、サービスシーンが鼻についた、というのもあったように思う。最初に比べると控えめになった気もするが、それでもちょいちょいとあって、手李亜がひっくり返ってパンツ見えるくらいならいいんだけれど、蓮季の太ももをローアングルで強調して「チラーン」とか描かれると、むしろ醒めてしまうんだな。
やっぱりラブコメは、エロじゃなくてラブで勝負してほしいわけだよ。エロくすりゃ客釣れるのかもしれないけれど、それで釣れるのは本来のラブコメ顧客じゃないような気がしてならない。そうやって間違えた釣りをいつ頃からか続けてしまったのが、今の少年誌系ラブコメ界隈の気がする。
特にこの流れの牽引役であろう、ジャンプ系で有名所のラブコメのアレとかアレは、自分的には完全に行き過ぎで、ラブコメというより非18禁のソフトエロ漫画だと思っている(このサイトでアレとかアレとかレビューしていないのはそういう理由もある)。
まぁそのあたりに比べれば、この漫画は随分大人しいほうだとは思うけれど、それでもまだちょっと、「そんなサービスしてくれなくていいけどなー……」とよく思う。エロがラブコメ阻害したら本末転倒。
そう考えると、このご時世で、しかもジャンプ(っていうか集英社)系列で、お色気ーなサービスシーンをほとんど排除しているにも関わらず、日本中のラブコメ好きを悶え死にさせているかぐや様は告らせたいは、やはり今頭一ついや二ついや三つくらい抜けている。
別にサービスシーンがあっちゃいけないってことはないんだが、純粋にラブコメとしてのポテンシャルをなんとなく感じるし、もうちょっと控えてくれたほうがラブコメに集中できるんだけどな、と思う。