『世界か彼女か選べない』9巻(最終巻)感想:世界が彼女で彼女が世界

内山敦司, 世界か彼女か選べない 9, 2020

終わりました。女子が可愛いってことで、よくある三角関係ラブコメかと思いきや、良い意味で裏切られたストーリー性の高い作品。

とはいえ、ストーリーが前面に出るにしたがって、いわゆるセカイ系臭くなってしまった感は否めない。

まぁラブコメだしね。ラブコメにおいては、世界はつまり彼女だし、彼女が世界なんだよね。それがラブコメ浪漫。

以下最終巻こと9巻感想。お疲れ様でした。

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終わってしまった

終わったか……。半分が完結後のエピローグ、番外編ということで、まぁファンサービスなんだろうけれど、愛を感じるね。

この作者さんは元々「『せいふく!』ずっと幼馴染とイチャイチャしてればいいのに – 少年は少女に出会う」で知っていて、まぁ荒削りなB級ラブコメだったんだけれど、このジャンルにしては珍しく、男も含めてキャラクター愛を感じられる作者さんでもあった。ということで気になっていたんだけれど、全然あれから見ないなー、と思っていたら名前変えてやってたことを知りポチる。

で、読み始めたらエロス全開にしつつ、割と容赦のない女の戦いなんかも描いてくれて、これはありそうでない感じの作品を描いてくれているなぁ、と。それに主人公が主人公しているしね。男キャラまで含めてきっちり考えてくれる人、このジャンルではちょっと貴重。

ということで楽しんで読んでいたのだが、9巻にてついに完結。長さ的にもちょうどよい頃合いだったのではないでしょうか。強いて言えば光輝とロミオの関係を築くところにもう少し話を割いてくれてもよかったかもしれない。まぁ漫画のジャンル的に、野郎同士の話を挿し込むのは中々難しいのだろうとは思いつつ。

まーね、幼馴染の歩美と神のおっぱいさんこと神堂さんの板挟み、いや乳挟みにあっている様が、羨ましくも楽しいのはそうだしね。ある意味求められているものをしっかり描いてくれた、ということではあるのかもしれんね。

もちろん彼女を選びます

その中で、世界と彼女、どっちを選ぶという究極のテーマを突きつけるところにストーリー性があったわけだが、まぁラブコメ浪漫の法則により、当然のごとく世界より彼女を選び続けるわけだ。

が、彼女こと歩美の葛藤を知った光輝はここぞというところで選びきれず、そのために歩美を死なせてしまうものの、その後振り切り、たとえどうなっても歩美を選ぶ、という決意を固める。まぁこの行程が、彼と彼女には必要だったのだろう。本当の気持ちを知れば、ただの好き好きでいられるはずはない。酸いも甘いも知った上で、それでもなお選ぶという覚悟が必要だったわけだ。

光輝の腹は決まった。

世界それは彼女

そして、最後に選択を迫られたのは、世界こと神堂ひかりであった。彼と彼女の、どちらを選ぶのか、という海辺の話の再来。

しかしまぁ、ひかりに選べるはずはないんだよな。ひかりが本当に守りたかったのは、光輝と歩美のいる世界だったから。光輝だけを選べるはずはない。一時の激情に流されることはあっても、それは本心じゃない。光輝にとっては歩美こそ世界そのものだったが、ひかりにとってはそんな二人がいるからこそ、この世界にも意味があった。

そんな世界を守るために、ひかりは歩美を救う形でその身を散らす。ひかりの守る世界が光輝の世界=彼女と重なることで、最後の最後に、神堂ひかりは選ばれたのかもしれない

ただこの、世界が彼女に収斂していく様は、なんとも往年のセカイ系っぽい感じがしなくもないのであった。まー目新しさはないかもしれないんだが、ラブコメとしては、順当な結末だろうか。……正直神堂さん生きてほしかったとは思っている。

そして世界は繰り返す

そういう気持ちは作者さんにもあったのだろうか。最終話で、光輝と歩美は神堂ひかりと瓜二つの子供授かる……というかもうお前だろお前。完全に生まれ変わってんだろ。さらに第二子は天使ちゃんそっくりで、正直もはや呪いの域。いくらエネルギーを授かったとはいえ、これは……遺伝子レベルで侵食されてる……。

人死にまで行った後味の悪さはたしかに軽減されたかもしれんが、これはなかなか。この二人が成長すると記憶も取り戻す勢いでまた光輝に迫るんちゃうかという気さえする。なんだか恐ろしいが、かといってほとんど神堂さんの光が光輝以外の男とよろしくやるのもあまり想像したくはないなぁ…。

などと思ってしまう程度には、印象深いヒロインであった。彼女にこそならなかったものの、やはり作品としてのヒロインは神堂ひかりだったのだろう。

想い合う二人を見守る、どこまでもラブコメ浪漫の作品でした。次回作も期待しています。彼女を選べる男でありたいですね。合掌。

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6 thoughts on “『世界か彼女か選べない』9巻(最終巻)感想:世界が彼女で彼女が世界

  1. まだ七巻までしか観てません。

    終わるのは寂しいけど
    おっぱいの神堂さんに会えなくなるのは血涙ほど痛いけど。
    何だか結末が 予想できて
    更に痛いね
    でも 世界も彼女達を守るには コレしか無かったのかな?

    返信
    1. tama

      だ、大丈夫ですか?最終巻の記事ですが……

      神堂さんは幼馴染な二人を見て世界に希望を見出した口でもあるので、そうなる運命ではあったのかもしれないですね。
      まぁでもやっぱり痛ましさはあります。。。

      返信
  2. 山倉

    神堂さんが2話や14話で光輝にキスをしようとしては拒まれる間に歩美とは3回キスして天使ちゃんにも先を越されて光輝とキスしてしまったけど最後ようやく光輝とキスできた事が神堂さん的に救われたかもしれないですね。
    いろいろ賛否両論ありそうですが完結できたのでひとまずお疲れ様ですね。
    作者にとって今度は週刊で新連載ですがどんな内容になるか楽しみですね。

    返信
    1. 管理人

      なるほどー。そういえば確かにキス未遂が続いていましたね。そう考えるとより浪漫がありますね。
      個人的には生きてほしかった気持ちがやっぱりあるんですが、それ以上に完結お疲れ様でしたという感じです。

      …最後はちょっと昔のギャルゲーみたいだな、って思いました。思っただけでギャルゲーあんまりやってないので偏見ですw

      作者さん既に新連載もっていたんですね。チェックしよ。

      返信

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