『世界か彼女か選べない』4-6巻感想:世界と彼女が同化する

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内山敦司, 世界か彼女か選べない 6, 2019

今をときめく修羅場漫画。神堂さん化けたね。ただのおっぱい女じゃなくなった。こうなると、光輝が誰を選ぶか、ちょっともうわかんないね。

ちょっと意外。だって、世界か彼女かどっちを選ぶかなんて、決まってるやん。彼女に決まってるやん。ラブコメやぞ。ラブコメ浪漫やぞ。読者も揃って「愛のためなら仕方ない、世界滅べ」って気持ちで読んでるよ多分。実際、世界のために愛を捨てるなんて、ラブコメとして絶対にあってはいけないことだからな。

だから、この漫画は光輝と歩美がいかにしてくっつくかを描くものだと内心思っていた。もしこの漫画が4巻くらいで終わっていたら(縁起でもない?)順当に歩美エンドだった気がするし。でも、気持ちがあるなら、神堂さんルートもありえるよね。

ラブコメトロッコ問題の選択を迫られているのは光輝だけでもなくなってきたし、緊張感あるな。まぁでもアレだね、光輝はもっと頑張らないとね。以下4-6巻感想。

目次

修羅場漫画続行

これだけ修羅場が続く漫画ってのも、少年漫画系のラブコメでは珍しいんじゃなかろうか。ヒロイン同士がやり合って主人公の胃が痛い。些細なことから大イベントまで、何かと主人公に選ばせる。

内山敦司, 世界か彼女か選べない 4, 2018

読んでいる方もちょっとストレスがかかるくらいだから、実際間に挟まれた光輝がストレスフルなのはそうだろう(羨ましいことだが)。ラブコメ漫画の主人公ときたら「選ばない」がお約束だから、これだけ何度も「選択」をさせられるのは、ありそうでない盲点をつかれた感じだ。面白いね。

おっぱいさ……神堂さんが変わりゆく

まぁちょっと展開が全体的にシリアスっぽくなってきたときはどうなるかと思ったけれど(特に"組織"とか出てきた時にゃちょっとビクついたよ)、ラブコメの世界観は崩れず、興味をひく展開。エロいだけだったおっぱいさんこと神堂さんが、普通の女子に変わりゆく。そして究極の選択を迫られるのは光輝だけではなく。

内山敦司, 世界か彼女か選べない4, 2018

↑やっぱこのシーンかな、って。歩美との絡みで、神堂さんのキャラも深まったよね。

神堂さんの光輝に対する想いを認めて、神堂さんなら光輝の彼女になることを認められるかも、と言った矢先のこと。神堂さん的には、自分と光輝がくっついて光輝と歩美は現状維持で万事解決!という本人も後で自覚するように"浅はかな"考えを持っていたが、まぁなかなか好きなヤツの恋人と仲良くはできまいて。それは好意が強ければ強いほどそう。

神堂は光輝と同じくらい歩美のことが好きでもあったので、歩美のこの言葉は非常にショックだったようだ。友情か恋か「選べない」という彼女の悩みは、特に世界とかいうデカイものが天秤にかかっていない分、光輝の悩みよりも生々しいが、本質的には同質。

ミステリアスガールは普通の女の子に

5巻、6巻と話が進むにつれて、神堂はついに光輝と歩美が仲良くしている姿を見るだけでも胸が痛くなるようになってしまう。こうなると、これはもう完全に"恋"としか言えないものだ。"恋"を自覚した神堂は、表情も立ち振舞も、だんだんと普通の女の子っぽくなっていき、ついには光輝に胸を揉まれてついパンチしてしまうようになる。なんてこった

いや、正しいんだよ。でもぶっちゃけちょっと魅力は落ちたよね。行き過ぎた無防備という、ヒロインとしての魅力のなさが魅力的な娘だったので。

内山敦司, 世界か彼女か選べない 4, 2018

「おっぱいの神堂でーす♡」の破壊力よ。おっぱいさんと呼ばれて怒るでもなくこの反応とか男の理想の塊かよ。ミスコンでは光輝に良いところを"胸"と言われて大喜びだったし(他の娘に対しては内面的なところを褒めていたにも関わらず、神堂については肉体が真っ先にくる)。まぁね、ここまでぶっ飛んでいると、正直めちゃくちゃ魅力的だよね。魅力的だけれど、正ヒロインではないよね、とも。

なんだかんだいって、所構わず脱いでおっぱいアタックするおっぱいさんでは、当て馬ヒロインで終わってしまうのがラブコメ漫画の常である。たとえ野郎向けラブコメでも、色仕掛けで恋愛戦争の勝利をもぎ取ってはいけないのだ。

そんな彼女が、光輝にラッキースケベでおっぱい揉まれていいパンチをする。そんな当たり前のヒロインはラブコメ界隈には百万人いる。正直魅力は減退だ。恋心を自覚して恥じらいを覚える展開なんてのも手垢にまみれた展開だ。そんなことはわかっているはずだが、それでもなお神堂が普通の女の子になりつつあるのは、逆説的に神堂ルートが開けたことになるだろう。

世界も彼女も選ばれない

神堂もまた、歩美と同じように、あるいはそれ以上の孤独を抱えた娘である。文化祭での劇において、光輝は歩美を選ぶつもりで神堂を選んだ。それは狙われたミスリードだったが、実際のところ本質に近い。光輝が歩美を選ぶ理由は、神堂を選ぶ理由になりうるのだ神堂がただのおっぱいさんではないことに光輝が気づいたとき、世界と彼女は同化するどう足掻いても世界滅亡じゃね。いったいどうするのか。

いや正直ね、力だの組織だのと、漫画を暴走させがちな危なっかしいものがたくさんでてきていて、けっこう危ない橋を渡っているなと思うんだけれど、ラブコメの本質を見失っていないので面白いよ。この後神堂さんがどう変わっていくのかも楽しみだし。こうなってくると、歩美はもうちょっと頑張らないといけないのだが、一人だけ事情を知らないのでアンフェアなんだよなぁ。

ということで、光輝はもうちょっと頑張れ

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • 光輝にエロ仕掛けを繰り返した神堂さんがうっかりおっぱいを揉まれてつい光輝を殴ってしまったところは2話でソープごっこしてた時とまるで別人でこの辺りの彼女の心境の変化は読者によっては複雑かもしれないですね…。

    • ヒロインとして(むしろ人間として?)はそれで正しいんですが、その正しくなさが個人的に好きだったので、自分は複雑な気持ちでした。
      性に奔放(といったら語弊があるか)なキャラが急に恥じらいを覚えだすのは、定番っちゃ定番なんですが。

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