『事情を知らない転校生がグイグイくる。』1巻感想:理由なき陽キャが陰キャに迫る

川村拓, 事情を知らない転校生がグイグイくる。 1, 2018

ボーイ・ミーツ・ガールで小さな恋のメロディ。小学生ラブコメ。事情を知らないというが知っていると思う。

なんかTwitterで連載してそうな感じだなぁ、と思ったらやっぱりTwitter発だったようだ。区切りというか終止感がね、Twitter漫画だなって思った。そして堂々巡りな感じも。Twitter漫画は単行本形式とはあんまり相性良くないと思うんだよなぁ…まぁでもこうして単行本化していなければ、俺も読むことはなかったか……いい加減色々なメディアに俺も接しないといけないよね。

小学生系のいちゃらぶは案外供給少なめのジャンルだと思うし、恐らくこの漫画は小学生でないと成り立たない。多分、そうでないと男子のキャラが受け入れられないだろう。個人的には小学生でもちょっとよくわからんかった。

以下1巻感想。

目次

最初からクライマックス

ふーむ。なんかTwitter漫画っぽいなぁと思ったらやっぱりTwitter漫画だったのだが、どうしてそう思ったかといえば、区切りが異常に良かったからだ。一話一話が非常に短く、スッキリまとまっている。それもある種のメタ知識というか、ラブコメの流儀を前提として。そして何より、話が進まない。話の前後を入れ替えてもまったく気づかないだろう。

まぁ一話完結系の漫画では、それはそう珍しいことではないかもしれないが、それにしてもいちゃラブ系でそれができるということは、二人の関係が最初からあまり変わっていない、ということでもある。

そう、この二人は最初からクライマックス、好感度マックスで始まっている。理由はよくわからない。男の子曰く、女の子の「死神」というあだ名を「カッコいい」と表現するのだが、そのさきがない。

男の子がわからない

うむ、正直言うとこの漫画を楽しめたかと言うと俺は微妙だったのだが、なぜかといえば、この男の子の心があまりにもわからなかったからだ。女の子のほうの気持ちはわかる。目付きが悪い陰キャ、というか、恐らくきっかけは些細なことで、クラス全員からいじめられ、無視されている。そんな中、突然自分を全面的に受け入れて、「カッコいい」とまで言ってくれる男の子が現れた。嬉しくないはずはない。

だがこの男の子はなんだ。なんなんだ。中二病というわけでもなさそうだし。わからん。わけわからん。天真爛漫、明るすぎてわからない。

このわからなさは、恐らく小学生だからこそ許容されるものではなかろうか。中学生以上になると、さすがにお前もう少し察しろよと言いたくなる。というか、俺は小学生でも言いたくなるが。みんな忘れているだけで、小学生は十分賢い。

俺はあまりにもこの男の子に共感できないので、もう少しこの男の子の心情がわかる描写がほしいのだが、この漫画ではそのようなページは割かれない。まぁ、Twitter発ならそれも仕方ないだろう。短すぎるページの中で、読者が一番みたいところを描かなくてはならない。となれば、男女のイチャイチャだ。

だが、イチャイチャにも背景が必要ではなかろうか。

共感がなかったんだ

男の子の姉が出てくる話は、ちょっとおもしろかった。多分、ウブな二人、というか女の子を見てニヤニヤしてしまう心情に、共感できてしまうからだろう。うん、俺もな、そういうの見るの、好きやで……。続きものとしてのストーリー性もあったし。

つくづく、ラブコメとは浪漫と共感のジャンルなのだなと思う。その意味で、この漫画、確かに浪漫は満ち溢れているのだが……俺には共感が足りなかった……。2巻以降……中古で安く手に入れば読むかなぁ……くらいの感じだ。こうして単行本化することで、ストーリー性を帯びれば、変わったりするんだろうか…?

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • 共感の有無は確かに読む読まないにかなり影響しそうですね。
    私は購入しましたが、小中学生の時に私の友達(女子)がいじめられていたという経験がなければ購入はしていなかったと思います。
    登場する男の子の心は私もよく分からないです。
    これもいじめられている子を助ける一つの方法になるのかなと思いながら読んでいました。
    現実の場合、一緒にいじめの標的にされそうだとは思いますが…。

    • なるほど、、そういう経験があると、確かにちょっと違った見え方になりそうです。
      うまく立ち回らないと、自分も標的になってしまうのは生々しく想像できますね。
      この男の子の場合は気にしなさそうですが……

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