作・井冬良。2010-2011年全3巻。本巻で最終巻。多分打ち切り。
なんだかんだいいながらそこそこ楽しみつつ読んでいたが、終わってしまった。でもこれくらいの長さで十分だと思う。
女体化家康の例のあの事件が再現されるのが見どころといえば見どころか。でも小。
以下感想。
一応ハーレム
ただひたすらハーレム化がすすんでいったが、最後は実質的には信長一強。とはいえそこに完璧に落ち着くわけではなく、結果的にはハーレムエンド延長戦系。そもそもそんなにハーレムっぽくする気はなかったのかもしれない。だが一つのカップリングとして落ち着かせられるほど、主人公・ヒロイン間に特別な関係は築かれていないので、こんな感じだろうか。
型抜きで作ったようなキャラクターを並べて、ラブコメっぽい舞台を用意して、ラブコメっぽい行動をさせた。なんというかそんな感じだ。逆にいうと、ラブコメ的なテンプレートを楽しめる人間なら、そこそこ楽しめるのだと思う。キャラは性格も容姿もテンプレだけど可愛いし。
個人的に良いと思ったのは、ヒロインに対する遠慮のなさである。家康の失禁くらいはちょっと濃いめの萌え属性という感じだが、信長に遠慮なく鼻水吹かせたり、デコキャラの今川義元に剃り込み入れたりというのは、萌えというよりはギャグで、それをこういういかにもなハーレムラブコメにつっこむのはあまり見ない。
主人公が。。。
問題は主人公の秀吉か。秀吉のツッコミが終始弱い。信長のノーパンとかいう身体張りすぎているネタにはもうちょっとちゃんとつっこんであげて…。別にいいやつでもないし、ヒロインとの関係も正直微妙。ヒロインがスーパーチョロインなので無駄に惚れられている、ハーレム系ラブコメでよくいる理由なき無個性モテ男主人公。ハーレム系で一番出番が多いのは主人公で、またあらゆる関係に主人公が絡むのだから、主人公の造形をなにより頑張らないといけないのに、適当な主人公が多い気がする。
まったく出なくなった勝家や本能寺の変の明智とのやりとりなど見ると、当初は秀吉より信長を中心に描くつもりだったのかなぁなどと思うわけだが、それはそれでヒロインとしての魅力がダイレクトに問われるので、ハーレム系のヒロインの一人としてならともかく、唯一ヒロインとしてはやっぱり弱いよなぁ。もっとも、ラブコメはキャラクターが弱くてもそこに描かれる関係性さえ素敵ならいいんだが、そこが一番希薄であった。
あとがき長っ
やけに長いあとがきが印象深いが、作品に対する愛よりは投げやりぶりばかりが伝わってくるのは、作者さんのヒネた愛情表現なのかどうかよくわからんところだ。作者さんからお前のエンド書きたくない呼ばわりされた伊達が一番いいキャラしていたなぁ。いやまぁ最後の司会役やっているわけだから、嫌われているわけはないと思うが。この子のラブコメが一番見たかった…。
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