安心のケダルガクオリティに今回も癒やされる。
表紙は田中と太田。やっぱりなんだかんだいってこの二人が基本だよね。この二人の関係がベースにあるからこそ、種々の話が楽しめる。
そして本編、これが案外色のある話が多くて俺得。特に太田とえっちゃんの話はずるい。完全に夫婦ずるい。
田中と白石さんも関係が進んでいるように見え、それに合わせて妹の莉乃にも色っぽい話が出てくるのだが……妹周りが一番展開としては難しそう。期待はしているのだけれど。以下12巻感想。
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期待通りのケダルガ
ラブコメを読む動機は人それぞれだろうけれど、自分の場合はニヤニヤして癒やされたいから読む。だからあまりシリアスで泣いてしまうようなラブ・ストーリーは望んでいない。まぁもちろん設定の作り込まれたストーリーものは読むっちゃ読むんだけれど、そういうのは、ちょっと読むときに心の準備というか、エネルギーが必要なんだよねぇ。だからもうなーがいこと積読しちゃったりね。それこそ年単位で。
それに引き換え、この漫画の読む準備の必要なさよ。いつでも手に取れて、そこに求めているのものがある安心感よ。こんな漫画はそうないんだ。この漫画と野崎くんこそ俺のメンタルケアグッズである。
なんでこんなに癒やされるのかね
どうしてこんなにも癒やされるんだろうな。話はもちろんいい。最初の風邪を引いた妹をけだるげなりに懸命に看病する話で、まず相当癒やされる。高校生としてはちょっと情けないような気もするけれど、まぁ生活力のない男の場合はこんなものだろう。
風邪を引いた身内を看病する、なんてのは取り立てて珍しい類の話ではないとは思うが、いやむしろ日常系ではよくある類の話かもしれないのだが、まぁよくあるからこそ「日常」なのであって、日常系としては正しい話かもしれない。
話の新規性が評価の軸ではないのだとすると、日常系において大切なのはなにかといえば、ありがちな日常を、いかにありがちに、しかし魅力的に描けるか、なのだろう。その魅力の源泉は、第一は田中の性格や兄妹と友人・太田の関係性に違いないのだが、身も蓋もないことを言うと、自分の場合、田中の顔が綺麗であることもかなり大きいように思う。
この感覚は、自分が異性愛者の男だからこそ感じられるものだと思っていて、まぁ無理やり女性の感覚に当てはめるとすれば、美麗な女優を見て息を呑むような心理に近いのではないだろうか。俺が女だったら、莉乃を見るみゃーの弟みたいになっていたはずだ。
莉乃を看病する話は本巻の最初の話だったわけだが、扉絵のネギを持った田中を、「ほぅ……」とマジマジと見つめてしまった。綺麗な顔の男の子が、男の子らしくイキるでもなく、といって決して女の子っぽいわけでもなく、ただぼーっとしている様がやけに魅力的に映るのは、俺が年食ったが故に抱く保護欲みたいなものなのだろうか。わからん。
しかし青春である
田中のパッシブな態度とは裏腹に、そこはまぁ漫画だからなのか、あるいは本人は変わらずとも周囲は変わるからなのか、事態は少しずつ進展を見せている。進展とは当然ラブコメ的なもので、今回は白石さん関係の話ばかりではなく、太田や莉乃の話もあって、本シリーズでも恋愛色が強めだったように思う。
太田とえっちゃんの話とかずるいよね。えっちゃんの反応がね。夫婦扱いされて照れるとか幼馴染ものの王道かよ。このあざとさにやられる俺のチョロさよ。ええねん。片方は特に気にしていないのもまたよし。太田は朴念仁ぶりが好感もてるという、考えてみればラブコメ的には稀有なキャラである。
妹周りも進展しているが、莉乃と白石さんが関係を詰めたように、空良と田中の関係も詰めることになるんだろうか。ブラコンキャラの恋愛は、キャラの魅力が損なわれかねないだけに難しそう。
まぁでもやっぱり一番気になるのは田中と白石さんで、遅々としながらも12巻かけてじっくりと距離を詰めてきた二人は、ついに校内で手を取り合い一日を過ごすことになったわけだが、これは普通に考えて退屈な学校生活における一大ゴシップだと思うのだけれど、クラスメートは何も言わなかったのだろうか。まぁ田中はこのあたり案外と気の利く男なので、太田以外にはあまり人目につかないようにさりげなくサポートしていたのかもしれない。
白石さん、最大の難関と思われた妹の支持も得られたしね。莉乃は白石さんのことをとても気に入ったらしい。本来的には相性の良い二人だと思うけれど、まぁ莉乃はブラコンなので、出会い方によってはこじれる可能性もあったと思うから、この二人がいい感じに親しくなれたのは、癒やしを求める自分としてはよかったところ。
白石さんの恋愛スタイルは、かなりのんびり屋さんだと思われ、これが普通のラブコメで幼馴染キャラだったりしようものなら、確実にポッと出のボーイ・ミーツ・ガールなツンデレヒロインにあっちゅうまにかっさらわれるところだが、この漫画は日常系なので大丈夫。
田中にはむしろこのゆっくりさが非常に有効と思われる。田中は急に距離を詰めてくるタイプの人は苦手なので、たとえどんなに綺麗な人でも、恋愛目的でガッついてこられたらひいてしまうだろう。ついでに言うと莉乃からも警戒されるであろう。
などと考えると、白石さんのやり方は考える限り最善かもしれない。次巻でまた少し距離を詰めるのだろうか。
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