読むのが楽しみのような怖いような気もする、俺たちミレニアル世代の生き残りすみれちゃん借金返済物語だいたい3巻分くらいまで。やはり31歳は趣がある。20代だったら味が落ちる作品だよなと思う。
本作はなんだかんだでラブコメだなぁとも思う。というのもすみれちゃんが圧倒的な浪漫派だからだ。これはのあ先輩もそうなんだけれど、個人的にラブコメの境界線は主人公とヒロインの浪漫思考にあると思う。そこが現実にいっちゃうと、良くも悪くもラブコメではなくなるなぁと思ったりなんだり。
いや31なんだからいい加減境界線超えているべきでは?と思って鏡を見て血を吐きつつ以下3巻分まで感想。あの美少女も待つと無料‥‥!
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世界よ、これが美少女だ
完全に自業自得で300万円借金背負って返すことになるという、エロ同人みたいな展開になったすみれちゃん。しかも借金の理由が「使い込み横領」と自業自得なので一切同情できないという。これはけっこう面白いところだと思う。
いやさ、女の子が借金背負って返すっていうの自体は、まぁスケベなゲームやら漫画やら、なんなら一般誌でもそんな設定のラブコメ?みたいなのはあったなぁと思うんだけれど(大昔の作品だけど「これが私のご主人様」とかそんなストーリーだった気がする)、それが完全に自業自得なタイプはけっこう珍しいんじゃないかなぁ。だいたいはむしろ不運な女の子っていう感じで描かれていることが多いように思う。いやそんな統計ないけどさ。
やっぱり、自業自得で借金背負うような女はヒロインとして魅力が落ちると普通思うやん。まぁそれをいったらそもそも31歳は美少女漫画のヒロインとして許されるのか?なんだけれど、実際許されているんだろうか。少なくともヤンマガ様はきっちり美少女タグをつけていなさるようだが。

まぁすみれちゃんを超えた36歳ヒロイン、伽藍堂のガラクタたちにも美少女タグついてるんですけどね。


美少女は概念。はっきりわかんだね。いろいろ言われるけれど、男性向けラブコメの美少女の概念は思われているより懐が広いのだよ。うーん多様性。
ラブコメとは浪漫だから
そして実際、読み進めて行くと、ああこれはラブコメであることだなぁと思った。それというのも、すみれちゃんが浪漫派だったので……。
24-25話における枕営業の話はすみれちゃんの思想がよく出ている。枕男に「女口説くなら浪漫を語れ」と啖呵を切るところは、まるでチンチロで班長に鉄槌を下したカイジのような爽快感があったなどとカイジで比喩される女すみれちゃん。いや俺が勝手に思い出しているだけなんだけれど。
すみれちゃんは読んでいていろいろ思うところがあるので、ちょくちょくXでツイしているのだが、一度「時々ヒンメルな女」と書いたことがある。すみれちゃん時々ヒーローだから。でもこうして思い返すと、やはりすみれちゃんのヒーローっぷりは、ヒンメルというよりカイジなんだよなぁ。ヒンメルも浪漫と理想をもったヒーローだけど、彼がどこまでも現実を見据えているのに対し、カイジとすみれちゃんは現実を見ていない、というより現実よりも浪漫を優先している、そういうタイプのヒーローなんだよなぁって。まぁなので平生の現実はクズなんですけど。
でもだからこそ言えることもあって、実際すみれちゃんに枕を持ちかけたオッサンは、心のどこかで否定されることを待っていたようにも思える。そして否定するのはすみれちゃん(31)でないとダメなんだ。すみれちゃん(18)だとただの強者の傲慢にうつり、すみれちゃん(51)だと遠吠えになってしまうつらい。
ヒンメルじゃなくてカイジじゃないと説得できないこともあるものさ。……でもオッサンもいい年なんだし、否定待ちはのあ先輩までにしてくれませんかねぇ……。
ゆうせいのすみれ論
本作は、俺にとってラブコメで大事なことは主人公・ヒロインが浪漫思考しているかどうかなんだなぁということを思わせた。とはいえ、ゆうせいとは恋愛的に感じにはなっていないんだけれど、そこはまぁ仕方ない。実際ゆうせいのすみれちゃんに対する見方は今なお憧れの人に対するそれで、それはすみれちゃんが横領した理由についてファムファタに語ったところによく出ている。
17話でゆうせいは身内の戯れ言と前置きしながら、すみれの横領はファムファタとの関係を切らさないためだったんじゃないか、という考えを述べた。俺はこれを見た時酷く感心したけれど、同時にファムファタと一緒に「んなアホな」と思った。ただ少しだけ「まさかね」とも思わせるところもあった。
これについては、客観的に言ってゆうせいの解釈は希望的観測というべきものだろう。ゆうせいは、そのように考えたいのだと思う。実際、すみれの真意がどこにあったのかは、誰にもわからない。それは当のすみれにも。
だが、それがなんだというのだろうか。確かに過去の行動は変わらない。だが、過去の解釈は現在そして未来が決める。ゆうせいはすみれの横領という事実さえも、そこには意図があったのだと「期待」している。そしてすみれはその「期待」を感じ取っている。だからすみれは、ゆうせいの解釈を実現しようとしている。
これがふたりの関係だ。ゆうせいの「期待」がすみれを動かしている。これはまぁ正直恋愛的なものだとは思わないんだけれど、しかし浪漫には違いなく、そしてその浪漫は、ラブコメの世界に属するものであるように思われるので、なんとも不思議なものだなぁ。実際これ、男女じゃないと成り立たないと思うし。
まぁラブにもいろいろあるんです。引き続き読んでまいります。待つと無料‥‥!
コメント
コメント一覧 (4件)
更新お疲れ様です。3巻の範囲だと割とかっこいいとこが多かった気がしますねすみれちゃん。雄星の期待がすみれちゃんを動かしてるってのはなるほどって感じでした。
同級生のひよりちゃんも今回出番多めでしたが、個人的には結構応援したいキャラですねえ。頑張ってる!って感が強くて。墨入れてるおねーさんに直接タトゥー見せて欲しいって言えるって凄いw17〜21話好きで何度か読み返します。
まとまって記事にしているのですみれちゃんと雄星の話しかしてないですが、周辺キャラも魅力的ですね。
若い陰キャのそこ突っ込めるんだっていう謎の距離感というか、
良くも悪くも世間ずれしいて、自身の興味が勝る感じは自分も覚えがあるので懐かしい感じがしなくもない……
若人との距離感掴めなさすぎて敬語になっちゃう同僚のわかりみが深かったです。
過去にキラキラしていた頃のすみれちゃんを間近で見続けて価値観バグちゃってる雄星。
見捨てたろかと思いつつもまだ稀にキラキラを僅かに見せてくるので諦めきれない雄星。
もしこのままどうにもならない所まで行っても雄星は最後まですみれちゃんに浪漫を求めて共倒れするのだろうなと思いました。
見捨てたろかという言葉チラリと雄星の脳裏をかすめたは良いシーンでしたね。
それについて特にかぶりを振るのではなく、ただ改めてすみれちゃん再生計画を練り始める様には、
みっともないところも全部知ったうえで向き合う本物の愛情を感じられます。
若いのになんてやつだ。
雄星の目に映るすみれちゃんは今もキラキラ輝いているのでしょう……ただちょっと光が鈍いだけで……。