『愚かな天使は悪魔と踊る』7巻感想:もはや二人は一蓮托生

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相変わらず良いラブコメですな。とても好み。前巻の阿久津覚醒からどシリアスに入ったっぽかったからどうなることかと思ったけれど、うまく戻ってこれたようでなにより。今回もいい感じでイチャイチャしている。

今回で、二人の距離は大きく縮まったというか、一蓮托生の領域にまできているね。ええやん。そういうの好きよ。

守る価値のない居場所、って示唆的な言葉だよな。以下7巻感想。

目次

帰ってきたリリー

シリアスモードだった6巻からの流れを受けて、うまいこといつもの流れにもどった7巻。ギャグ系で進んできたのがいったんシリアスになると戻ってこれないパターンもあるので、どうなるかなーと思ったのだけれど、戻ってこれたようでなによりだ。キスまで行くとは思わなんだ。もう距離感的には実質的に恋人以上のアレやな。ええな。

シリアス編後のあのわざとらしい最終回っぽい区切りは、後書きでは「たまたま見たアニメでかっこよかったから」と作者さんが言っていたが、まぁなにかしら"明確な区切り"が必要だとは思っていたのだろう。

割と力技だったが、その後の典型的ラブコメ嫉妬展開のパワーにより、きっちりといつもの調子に。ただまぁ嫉妬はラブコメ的に美味しい展開ではあるものの、本作のようなCP固定のカップル系においては諸刃の剣なので、深入りは禁物なのだが、まぁそこは相手も阿久津の上司かつリリーも早々にその正体を見抜くので、バランスも取れておりさすがである。

守る価値のない居場所

ということで、ラブコメのぬるい世界観を壊さずに、リリーのお家事情というどシリアスをやってのけたわけだが、それにしてもリリーの家はどうなんってんだろうとは強く思う。

とりあえずかなり最低な環境にいたことは確かで、リーリヤの言うところの「守る価値のない居場所」というのは言い得て妙

まぁそうは言っても、恐らくリリーが生きていくのに必要な居場所ではあったのだろう。そして、あの兄貴が用意できる精一杯でもあったのだろう。ただ、それは決して安住していて良いものではなく、どこかで抜け出さなければいけない、そういう居場所だったのだ。

だが、リリー自身でどうにかなるものではなかった。誰かの助けが必要だった。それを、阿久津はやってのけたので、リーリヤは阿久津に、リリーの居場所をなくしてくれてありがとう、と涙ながらに礼を言ったわけだ。

なんか身につまされるな。リーリヤの「本来守る価値のないものだ」という言葉に、ドキッとした人もけっこうおるんちゃう。俺はちょっとビクッとしたよ。

頭でわかっていても、環境を変えるっていうのは難しいことなんだ。どんな場所でも居場所は居場所。外野から見れば、逃げればいいのに、と思うかもしれないけれど、そこにいると、それ以外の世界が見えなくなってくるものでな。自らの命を断ってまで、最期までその場に居続けてしまう人だって世の中には多くいる。

守る価値のある居場所

自分で抜け出せればいいんだけれど、それができない人は多いんだよ。そういう場合、誰かが連れ出さなきゃいけないんだけれど、その人の一生と自分の一生を深いところで交差させる覚悟がいる。だって、連れ出したからには自分が居場所になるくらいでないといけないからね。それは身内すら尻込みしてしまうようなことなんだ。

それを阿久津をやってのけたわけ。これからは阿久津がリリーの居場所なんだよ。阿久津がどれだけリリーのことを想っていたかがわかるというものだな。リリー視点なら阿久津は王子様ですわ。そりゃリリーも好きになるでしょう。「我の純潔を」とか「我に悪戯をするつもりじゃな!!?」とかリリーはかなり自意識過剰になっているけれど、裏返せば阿久津とそういうことになっても……という気持ちがあるから、そんなことを考えてしまうように思う。阿久津のヘタレを知っていればそんなことしないって冷静に考えればわかることだしね。

いちゃいちゃ具合が進展していて俺によし。8巻も楽しみにしている。

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