名作ゲーム「シュタインズ・ゲート」の阿万音鈴羽を主人公に据えた、けっこう思い切った構成のコミカライズ。シュタゲの入り口は色々あるが、この漫画からシュタインズ・ゲートにはまった俺はかなり珍しいだろう(っていうか他の漫画から入らなくてマジでよかった…)。
あんまり評判よくないけど、非常に漫画らしく、また立ち位置上、単体ではどうしても物語の全貌にせまれない阿万音鈴羽をちゃんと物語として仕上げていて、俺は一番好き。
シュタゲは紅莉栖以外のルートがアレなので、鈴羽編である本作はどうしてもラブは薄いが、恋愛感情を指摘されて慌てる紅莉栖とかは見られる。
基本情報
シュタインズゲート 亡環のリベリオンとは - はてなキーワード
全3巻。ゲーム「シュタインズ・ゲート」のヒロインの一人、阿万音鈴羽を主人公にしたスピンオフ作品。内容は本編の一部にあたる、阿万音鈴羽編を、阿万音鈴羽視点で再構成したもの。オリジナル要素もかなり入っている。作者は水田ケンジという人だが、この作品の他で見たことがない。
鈴羽は原作メインキャラの中では比較的出番が少ないほうということもあるせいか、原作を膨らませながらしっかり鈴羽編の最初から最後まで描かれている。
シュタゲのコミカライズは基本微妙で、原作の感動を薄めるだけの紙束(ないしバイナリデータ)だったりするから、原作未プレイの人間は絶対に読まないほうがいいと思うんだけど、本作については、鈴羽の立ち位置が特殊ということもあって、原作の全体像には迫らないので、たとえ気に入らなくても適度に物語にひたれてよいのでないかと思う。いやほんと、原作本編のコミカライズから入らなくてよかった。危なかった。こういうの多いから、原作より先にコミカライズに手を出す悪癖は改めないとなぁと思っているんだけれど、漫画は楽だからついつい…。
だいたいこんな感じ
シュタインズ・ゲートのヒロインの一人、阿万音鈴羽視点で思いっきり再構成した作品。鈴羽の立ち位置からして仕方ないのだが、本作を読んでも、シュタインズ・ゲートの全体像はわからない。シュタインズ・ゲートを楽しむというよりは、鈴羽視点での原作主人公である岡部倫太郎やメインヒロイン牧瀬紅莉栖がどのように映るか、というのが見どころ。だから、原作を知らなくても楽しめると思うけど(現に俺は楽しんだし)、原作を知っているほうが楽しめるのは間違いない。覚醒した岡部倫太郎(という言い方が正しいかわからんが)の変貌ぶりとか、鈴羽視点だとすごいかっこいいのな。
ではあるのだけれど、オリジナル要素を加えることで、ちゃんと一つの阿万音鈴羽の物語として構成しているのが本作の特徴。オリジナル要素を是としない人からすれば気に入らんと思う。割とテンプレートなオリジナル要素だしね。キャラクターの解釈もけっこう思い切っていると思う。絵も綺麗ではないし。というといいとこ全然なさそうなんだけど、そんなことはない。非常に漫画らしく、決め所の演出も盛り上がりがあるし、かつ特殊な立ち位置の鈴羽を中心に一つの物語として仕上げていて、俺はすごく好きなんだよ。俺が漫画に絵のうまさとか全然求めてないというのもあるだろうけど。
うーん、ここまで書いて、ネタバレ制限するとほとんど何も書けないことに気づいた。感想自体は後日書くとして、本ブログらしくラブい要素があるのかについて書こうと思う。
阿万音鈴羽は原作では立派にヒロインの一人であるので、原作では当然彼女をパートナーに選ぶようなルートも存在する。存在するのだが……それはトゥルーではない。本作はあくまでトゥルーの道のりなので、阿万音鈴羽は恋愛的ヒロインにはならない。したがってラブは薄い。薄いのだ。
だが、鈴羽から見た人間模様から、ラブコメの香りくらいは嗅ぐことができる。なんのかんの言ってもシュタインズ・ゲートはラブストーリーやからね。SFの皮を剥ぐと心臓からラブコメの鼓動が聞こえる。牧瀬紅莉栖と阿万音鈴羽の恋バナとかなかなか貴重だと思う。鈴羽は煽る側だが。どうせ原作からけっこう変えてるんだから、いっそのこと岡部倫太郎と阿万音鈴羽でストーリー作ってもよかったのに。
総評
シュタインズ・ゲートは原作から入るのが一番いいとは思う。けどこの漫画から入るのも悪く無いと思う。知っている人は、一つの解釈として楽しもう。
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