野呂俊介, スピーシーズドメイン 1, 2014
どことなく懐かしい感じのする、チャンピオンかなと思ったらやっぱりチャンピオンだった漫画。
だいぶ前にこの漫画はラブコメ的にもオススメであると言われていて、ちょうど積ん読だったので読もう読もうと思いながらも数ヶ月が過ぎたのはいつものこと。
エルフだなんだとあるので、最初異世界転生かと一瞬思ったが異世界から転生(?)という感じだった。まぁこれも最近ではよくあるパターンかもしれないのだが、数年前はどうだっただろうか。
1,2巻時点では丁寧な少年漫画という感じだが、ラブコメの波動は確かにこれからだいぶきそう。ボーイ・ミーツ・ガールというよりはガール・ミーツ・ボーイ。以下1-2感想。序盤だとまだ何とも言えない感じ。
現実ですから
表紙の子たちは耳が尖っていたり羽が生えていたり髭が生えていたりするが、来ている服はセーラー服ということで、まぁつまり異世界転生ならぬ異世界から転生みたいなもんだ。実際には取り替え子という言葉が使われ、2巻時点ではその詳細は語られていないものの、どうも我々が住む世界とは別のなにかがあるように見受けられる。まぁエルフやドワーフがいる時点で現実も何もないのだが。
これはまぁ昨今Web小説ではよく見る設定かもしれないが、俺はそちらの文化にはとんと疎いし、2013-2014年時分はどうだったかなと思うと、当時はまだ目新しさもあった設定なのかもしれない、なんてことも思う。
しかしまぁ、このカイゼル髭娘の存在感よ。この子は準レギュラー的な立ち位置で、今の所特に何かするわけではないのだが、元々の着想はこの子であったらしい。これがガチでヒロインの漫画はたしかにまぁ相当勇気がいる。
安心のエルフなヒロイン
まぁもちろん少年チャンピオンということで、ヒロインは安心のエルフな女子である。といっても、別に何か特別な能力があるわけではない。耳が尖っているだけのツッコミエルフだ。しかも魔法が使えないからせめて魔法が使える雰囲気出そうという、将来思い出して布団の中で悶絶必至の立ち振舞をしている。おかげで人付き合いも下手で友達もいない…のだが、美人なので許されている人権のあるもこっち。作中では孤独というよりは孤高という風に見られている。
そんな残念なエルフ・風森と、超科学で魔法みたいな発明品を作る多分22世紀から来た人間・大機のガール・ミーツ・ボーイな話。
エルフである、ということに自尊心を持ちながらも、実際に魔法が使えるわけではない、というコンプレックスを抱いていた風森は、人間で魔法の反対である科学を標榜しながら魔法みたいなことをする大機に、コンプレックスを刺激されまくるのだが、それだけに生の感情を振り絞って吐き出されるツッコミは、平生は飄々とした大機の気持ちも揺さぶるらしい。男のほうが女の憧れ、って少年漫画だとけっこう珍しいよね。
世界観ありそうだけれど
展開はあまりけっこうゆっくりとしていて、2巻までだとほとんど日常ものの域を出ない。ただ取り替え子という意味深な言葉が使われ、しかもその本質に迫らないまま重要そうな雰囲気だけ醸し出しているので、何かしら世界観のある作品なのだろうなぁとは思う。
ラブコメも始まりつつあるというカンジダが、1,2巻の時点だと一番印象に残ったのは、「加減を弁える男子を集めて遊ぼうと思ってたらうっかりホンモノを誘い入れちゃったたすけて」な木下さんだったりする。
全12巻とけっこう長く続くので、続きはまたそのうちかなぁ。