世にも奇妙なカプ厨漫画2巻。カップリング系漫画には時折カプ厨キャラが出てくるが、カプ厨そのものに焦点を当てた漫画はありそうでなかった。実際、本作は体裁としてはカップリング系なのだが、その実態はカプ厨が主役のカプ厨漫画である。通常のラブコメではカプ厨キャラは主人公ヒロインのカップリングを盛り上げるが、本作においては主人公ヒロインのカップリングがカプ厨を盛り上げる。
以下2巻感想。
応援団を超えた存在
ラブコメでよくあるモブキャラというのは、ヒロインや主人公の恋路を応援する応援団的な友人キャラだろう。しかし時折、二人の仲を応援するのではなく、二人の仲を見守ることを至上とするカプ厨系キャラが登場することがある。たとえばとなりの関くんの後藤さんであり、かぐや様のマスメディア部・かれんである。


あと多分マイナーだけどこの漫画もカプ厨漫画だった。

カプ厨キャラの特徴として、作中内では忍者並の存在感だが、読者視点だと肝心の主人公・ヒロインを食う勢いで強い存在感を放っているということがある。なので多用は厳禁であり、実際となりの関くんにおいてもみんな大好き後藤さん回は1巻1話程度とそんなに多いわけではなかったし、かぐや様のかれんはスピンオフで完全に独立した。そして最後に紹介したやたら長いタイトルの翼があっても〜はぶっちゃけ主人公・ヒロインより目立っていた。
そして本作はそのカプ厨に焦点を当てた漫画である。するとどうなるか?主人公・ヒロインはカプ厨の添え物になる。興味深いことに、ラブコメ大好きなカプ厨にフォーカスすると、その作品はラブコメというより、ラブコメを主題にしたギャグ漫画になるのである。
エロガキどうでしょう
そのことがよくわかるのは、本巻におけるエロガキ回だろう。エロガキがヒロインの霧島のおっぱいをムニムニして主人公の嫉妬を煽るのだが、これは昭和のラブコメならいざ知らず、令和のラブコメとしては完全にアウト。たとえガキでも、令和のラブコメ(しかもカップリング系)でヒロインのセクハラがNGなのはもはや自明の理。にも関わらずあるのは、本作がカップリング漫画ではなくカプ厨漫画だからだ。エロガキにキレてるカプ厨霊を笑うための展開なのだ。
まぁでも実際ウザかったので霊はもうちょっと攻撃成功してもよかった。当世の流行はわからせられるメスガキだが、オスガキもわからせられないとね。
恋愛応援しない系妹キャラ
そしてエロガキ回が終わったと思ったら今度は嫉妬系妹キャラ。霧島に対して「こいつ嫌い」の捨て台詞を吐いて立ち去る。令和の時代に絶滅したかと思われた読者を不快にするだけのラブコメお邪魔虫系キャラ勢揃いなの、ほんとカプ厨漫画だからだと思う。
主人公割と頑張ってる
ここまで添え物扱いしてきたが、本作の主人公である鳥居くんはけっこう頑張っている。心理描写も丁寧。なので応援したくなる感じはあるんだが、今ひとつカプ映えしないのは、ヒロイン側に原因がある気がする。顔が可愛くて胸がでかいのはよいのだが、それ以上ではない……いやそれだけあれば十分説もあるかもしれないが、やはりラブコメは心理描写があってなんぼ。エロガキにおっぱいムニムニなすがままにされて、彼氏がお前呼ばわりされているのを黙っているようでは、カップリング系ラブコメヒロイン失格である。そりゃ妹にも初見で嫌われるわ。もうちょっと頑張れ?
3巻はまたそのうち……。
コメント