作・光永康則。2010年1巻、2012年3巻。未完のまま2017年現在に至る。この先4巻が出ることはあるのだろうか。
綺麗な体の男女一組がコンビを組んで東京の荒ぶる男たちの魔を祓っていく話。非常にお色気分が強いけれどあまり嬉しくはない。どちらかというと笑ってしまう。だがよくよく考えてみるとけっこう洒落にならない展開なのに悲壮感を感じさせないのはすごいかもしれない。
童貞もう少し頑張ってくれ。以下3巻感想。
割と洒落にならない
新橋で続くエロ妖魔と巫女の戦いも第3巻。魔が差したというけれど、ぶっちゃけ素なんじゃなかろうかというような男たちの熱きリビドーを一身に受け止めつつ、新橋の巫女は魔を祓う。しかし巨乳とはいえ巫女装束で胸元はだけて谷間が見えているのはもうわざとかわざとなのか。
ギャグ調の強い本作であったが、本巻になると襲われ方がいよいよ洒落にならないレベルだ。イチコたちはもう処女喪失一歩手前である。我を忘れて「おっぱ〜い」と叫び狂うスーツのサラリーマン達の姿が笑える漫画ではあったが、痴漢どころか強姦までいってしまうと、ちょっと笑えないので、これくらいがギリギリか。
本巻終わりで多くのモブ巫女たちは普通に散らされてしまっているようだが、これは黒巫女による仕業か。この場合も強姦罪は適用されるのだろうか?現行法では男性器を女性器に、というのが条件だったが、それが改正されるというタイムリーな話があった気がする。いずれにせよ、よくよく考えてみると実はかなり凄惨な展開である。それでもあまり悲壮さを感じさせないのは絵柄故か、それともノリ故か。
他、性的な事件とは打って変わり、サイコパスな事件を起こす魔物に取り憑かれた女性なども出てくるなど、違うベクトルの話の展開も見られる。これを世界観が広がったと見るべきなのか、それとも迷走していると見るべきなのかは、物語が最後までいかないとわからないことではあるけれど、3巻で連載が止まってしまっている現状、正直いうと何がしたいんだという気持ちのほうが強い。
魔が差したと言うが…
性犯罪にせよ犯罪にせよ、「魔が差した」で済ませてしまうのはあまり共感できる世界観じゃない。本巻では事件性が強まっていくだけに、その気持ちも強くなった。ただ、貞夫の童貞は誘惑に打ち勝ってきたんだという幾分前向きすぎる気がしないでもない考えは、魔物に取り憑かれて犯すことが、必ずしも魔物によるせいだけとは言い切れないことも示唆しており、このあたりもう少し深めてほしかったとも思う。
次はあるのかしら
貞夫は貞夫で頑張っているのだけれど、もうひとつなにかほしいところだ。自分がこの漫画にいまいち乗り切れないのは、貞夫のポジションが微妙だからかなぁという気がする。イチコとの関係も微妙の極み。貞夫がイチコを抱きしめて霊子の霊力を上回るところとか、非処女に説教かましながら処女に力を与えるという図式で、見せ場だというのはわかるんだが、イマイチ感じるものがなく、残念だった。
2012年3巻……今2017年。果たして次はあるのかねー……。