作・光永康則。2010年1巻、2011年2巻。
清い身体の男女が大活躍する光永康則の趣味性全開漫画2巻目。ノリは1巻からあまり変わらず。サービスシーンが多いけれど、絵柄が絵柄なので。作者さんはこんな直接的なのより、怪物王女のようにちょっと隠すくらいのほうが向いてるんじゃなかろうかと思うものの、フェチ心がひしひしと伝わってくるのは確かである。もっとも、それが面白いかと言われるとまた別なのであるが…。
どうにも、貞夫と一子でカップル感がないのが残念だなぁ。以下2巻感想。
イマイチときめかない
相変わらず貞夫は微妙に役に立ったり立たなかったりしているし、一子は毎度毎度たいへんな目に合いながらも健気に身体張って頑張っている。いや、頑張りっぷりは1巻よりも上か。にも関わらず、ヒロインとして今ひとつな感じがするのは何故だろう。やはり貞夫との仲が特に進まないからだろうか。
高貴で気高くありながらも、ヒロとの関係が気になって仕方なかった怪物王女の姫様、サトルにちょっかい出す様が可愛かったカコとニセ探偵のカコ様、太郎としれっと距離が近いのがよかった南Q阿伝の銀子、エロガエルとのやりとりが味わい深いアヴァルトのシノア、光永康則のヒロインは単体よりも他キャラとの繋がりの中で輝きを増すし、またそういう要素がお話そのものを面白くもしていたが、どうにもこの一子と貞夫は微妙である。
なんだかんだで少しずつ距離が近づいてはいるのであるが、カップルというよりは姉弟みたいなんだよなぁこの二人。うーん、囚われの一子を助けに来て、一子の肩を抱きながら見開きで悪霊退散!など決めゴマなどもあるのだけれど、これがうーん、ときめかないんだ。それは別に、敵が一子のパンツを頭に被っていたからではないのだが。海で一子と一緒にいながら、貞夫が「不思議な人だな一子さんて……」と感傷に浸るのも、カップリング的な描写なんだがなぁ。ときめかないんだ。
サービス過多がむしろ邪魔っけ?
なんでだろうなー。直接的なサービスシーン過多な世界観が、ラブコメ的感慨に耽るのを邪魔しているんだろうか。そういや同じく作者さんの趣味性全開だったチアチアも、主人公一強で、ヒロインズとの関係は別にって感じだったなぁ。アレは主人公が面白すぎたから楽しめたし、1巻完結はもったいないとすら思ったけれど、本当に続いていたら案外飽きてしまったかもしれない。
下着くらいならまるで道端の木々のようにナチュラルに描かれるが、しかしこうまで風景化してしまうと有り難みもないものだなぁ。もとより絵がめっちゃ可愛いっていうタイプの作者さんでもないしなぁ。怪物王女とかのほうがよほど感じるものがあるのだから、不思議なもんだ。
魔が差したで済ませてよいものか
あと、この漫画を読んでいて、性犯罪を「魔が差した」として魔物のせいにしてしまっている基本の世界観がどうしても引っかかるのがある。ギャグベースなんだしあまり気にしてもしゃあないとは思うものの、性犯罪ってのはちょっとデリケートな領域だけに、中々素直に笑いとして受け止めることができん。ここらへんは個人の感覚の問題も多分にあろうが……。
だが、本巻では少し本人の資質を問うようなモノローグもあった。
魔物は人の心の隙を突いて取り憑くというが
サラリーマンの無邪気なスケベ心がその魔物を呼び寄せているんじゃないか
そう思わざるをえない貞夫だった
うん、それはあるだろう。魔物に取り憑かれたとはいえ、男たちはその社会的代償をしっかり払っているようではあるみたいだしね。まったくの無責任ってことはやっぱりないと思うよ。
ただ、無邪気なスケベ心という表現からは、男なら誰しもがもつ仕方のないものだというようなニュアンスも感じられる。けっこう同情的に思うところもあるのではないか。それはわからんでもない。
あまり小難しいことは考えずに、いやーたいへんな目に合っているのに頑張るヒロインやねはははーってな具合で読むのがいいんだろうけどねぇ。うーん。3巻読むかぁ…。
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