『しなこいっ』感想:ラブコメりつつちゃんと剣道していてバトルが強め

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黒神遊夜, 神崎かるな, しなこいっ 完全版 上, 2012

『武装少女マキャヴェリズム』1-9巻感想:バトルとラブコメの理想的な連携」が面白かったので、世界観共通っぽい過去作を漁ってみた。完全版という割にKindle版の画質があまりよくなくてつらい。上下巻の二巻構成で、下巻が最終巻なのだが、竹刀短し恋せよ乙女に繋がるらしい。

ラブコメ分もだいぶ入っているが、割としっかり剣道バトルもの。どちらかというとバトルが主かな。バトルがしっかりしているのはいいんだが、ちょっと解説が多すぎて後半しんどかった。

以下完全版上下巻の感想。

バトル分強め、だが……

武装少女マキャヴェリズムが面白かったのでポチった。どうも世界観共通らしく、この作品を読むとあちらもより楽しめる……かもしれないが、じっくり読むにはちょっとつらいかも。

ラブコメ分の入ったバトルもので、しかもしっかりと現実の剣道をモチーフにしたものだから、バトルものとして確かに面白いとは思うのだが、しっかりとしているところが仇ともなっていて、ともすると強さの秘訣やバトルの解説のターンが長引き目が滑る

まぁ剣道をしていたり、バトルの解説を読むのが好き、という向きならよいのかもしれないが、逆に言うとそうでもない限りちょっとつらいところがある。特にラブコメを期待して読むとちょっと物足りないかもしれない(ラブコメ展開自体はずーっとあるんだが……)。

というのも、どうも組織がどうのとか、まだ明かされていない何かのためとかで、何故彼ら彼女たちは戦っているのか、が読んでいる時にちょっとしっくりこないのである。これはバトルものとしてけっこうしんどくて、当たり前だが理由のない(わからない)バトルでは感情移入できない。誰かを救うためであったり、大切な何かを守るためであったり、バトルにも理由がいるものである。その理由に共感できるからこそ、バトルも面白い(それが行き過ぎると、キャラクターの強さ云々よりも精神的優位性ばかりが影響する、動きのある口喧嘩になってしまうけれど)。

まぁ読み進めて行くとだんだんキャラクターの背景なんかも察せられてはきて、「あー、こういうことだったのかな」みたいには思うのだが、全体的には「なんか知らんが戦いが始まった」という印象である。うーん。

せっかくラブコメできるんだしさ

一番面白かったのは、本作のプロトと思しき読み切り版(?)だった。こちらはわかりやすくラブコメ×バトルで、ラブコメ要素がバトルの理由になっている。つまり、バトルが最終的にラブコメに落ち着く。キャラクターの技や強さを前提にしながら、キャラクター同士の関係も密接に絡んだバトルは見応えがあるというもの。

読み切りのほうが、恐らく本作の主人公と思しき桜が、読み切りのほうがしっかり主人公していたのもある。いや、それとも本作の主人公は龍之介なのか……。まぁ二人ともヒーロー・ヒロインにして主人公、なんだろうか。いずれにしても、連載だと桜がヒロインとしても主人公としてももうひとつ目立たなかったのが残念であった。みんなが桜を物語から遠ざけようとしていたからねぇ……。

ということで、ややバトル先行でその理由付けやラブコメの入れ方が微妙な感があり、正直本作単体としてみるとちょっとうーんという感じだたった。せっかくボーイ・ミーツ・ガールしているんだから、ラブコメをもっと活かしてほしかった。。。けっこう本格的に剣道系バトルしていて、それ自体は面白いだけに残念。

だが、後に出る武装少女マキャヴェリズムはバトル・ラブコメの混ぜ具合がよく(最近ちょっと危険な流れになっている気はするけれど)面白いので、武装少女マキャヴェリズムの世界観を深める、という意味ではよかった。

本作は「竹刀短し恋せよ乙女」に続くので、そちらも読むつもりである。

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