作・ひよどり祥子。2011年より、2017年9巻。主人公の男の子(一発変換男の娘で死にたい)がいろんな女の子とキャッキャウフフなハートフル・ラブコメ9巻。
今回キャッキャウフフするのは例によって早川さん、会長、八代、そしてゴーストちゃん。ってか今回はゴーストちゃん特集。まさかの連続3話。もしかしてゴーストちゃんこれで最後だったりするのかなぁ。
早川さんも、ゴーストちゃんについては何か思うところがあるらしい。早川さんの人間らしい意思が見て取れる貴重な話でもあった。
岸田くんの被虐ぶりは今までで一番かもしれない。前のえぐっちの寸止め拷問じゃなくて、ガチで痛めつけられている。以下9巻感想。
早川さんとゴーストちゃんの共闘(?)
本巻は半分以上がゴーストちゃん。しれっとバイトもクビになってたゴーストちゃん。一人のキャラをこれだけ長く扱ったのは本作では初めてではなかろうか。
内容としては、岸田のピンチに颯爽とかけつけるゴーストちゃんというものであったが、そもそも岸田が囚われたのがゴーストちゃんのとばっちりなので、岸田にしてみればたまったものではない。勝手に好意を抱かれて、それが原因で監禁、拷問まで受けたのだからやってられんだろう。
そして、助けに来たゴーストちゃんは喜々として監禁者たちを殺戮するわけだが、その血に狂った姿を岸田に見られたゴーストちゃんは「はっ はずかしすぎる!」という迷言を残して岸田の元を去り、あんな姿を見られたからには嫌われたに違いないと、勝手に失恋する。始まり方が一方通行なら終わり方も一方通行であった。。
失意のゴーストちゃんは日本を離れるが、その際わざわざ早川さんは見送りに来る↓。
なんだか非常に感極まっているが、もちろんよく出来たギャグシーンである。ラブコメか!ラブコメだった。「なーーんて」の長音が笑いを誘う。
しかし他の人からは一人でブツブツと何もない空間に話しかけて涙を流す怪しい女。一切周りが見えておらず、自分に浸っている感じは、実にゴーストちゃんらしい魅力言えような。第三者的には滑稽の一言であっても、本人にとっては一大事であり、それがすべてである。
気になるのは、早川さんはなんでわざわざ見送りに来たんだろう、ということ。早川さんは自分の判断で行動するが、岸田の救助を求める以外の目的で、誰かに進んで接触しようとしたのは初めてじゃないか。他になんかあったっけ。
やっぱり、岸田を想うゴーストちゃんに何かしらのシンパシーを感じたのだろうか。早川さんの生前の振る舞いを考えれば、岸田のことを憎からず思っていたことは明白。一方岸田は早川に対して幼馴染以上の感情はなかったようなので、片想いだったと言ってもよさそうだ。岸田に想いを寄せて暴走するゴーストちゃんに、早川さんも何か感じるところがあったのではないかと思われる。
今後の出番は?
実にいいキャラしているゴーストちゃんだが、今回で一区切りということで、今後の出番は不透明だ。作者的には、一回こっきりのつもりで出したキャラが思わず好評を博してしまい、今回でなんとか着地できてよかったよかったといったところらしい。漫画的には、こんないいキャラ使わない手はないと思うが……。
"岸田のことを忘れように努める"と手紙に書いていたものの、機内でゴーストちゃんが落としたガーデニング入門の本は、岸田が立ち読みしていた本だ(いい趣味している)。繋がりを保とうとしているようにも見える。
また、見送りにきた早川さんに対して「しばらく岸田さまをよろしくお願いします」と、"しばらく"をつけてもいる。もっとも、これは早川が幽霊であることから、ずっと現世にいられるわけではないということを前提にしたことかもしれない。
だが本当に忘れたい、忘れてほしいなら、そもそもまた性懲りもなく手紙送るなよという気もするし。お腹につけられた傷も特に今回意味をなさなかったし。
また出してほしいなぁ。
八代死亡説?
ところで、今回の岸田の監禁・拷問劇に絡んでゴーストちゃんに恨みを買った八代は、最後どうなったのだろう。ボカされているものの、描写からいくとゴーストちゃんに殺られたと解釈するのが妥当だが、さて。八代は確かに結果的には岸田を見捨てたわけだけれど、性根としては特別に悪い人ってわけではないんだよな。組織の中で、人はいくらでも残酷になれるようだ。まぁそれでも、やったことには責任取ってもらわないとね。B級ホラーは無駄に因果応報である。
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