高津カリノといえばラブコメラヴァーズには間違いのない作品を描いてくれる有難いお人で、珍しいガチのお役所漫画なサーバント×サービスも読もう読もうと思ってずっと積読状態のだったのだが、ようやく読み終わった。
珍しいお役所漫画しかもラブコメ
「WORKING」や現在連載中の「俺の彼女に何かようかい」(これのスピンオフがガンガンオンラインで始まりましたな)と比べて、登場人物の年齢層が高いせいか、人物のアクが他作品よりも強く、また全体的に人間関係の距離感も若干よそよそしい感じがした。職場だからね。仕方ないね。そのせいか、高津カリノ作品にしてはちょっと酸味が強い感じだったけれど、最後まで読むとらしく見事に締めていて、お見事だなぁというかなんというか、一宮兄妹に癒やされるというか、一宮兄妹が好き過ぎる千早に癒やされるというか。そんな感じでした。以下ネタバレ感想。
一宮兄妹絡みがよかったですな
本作の看板カップルは間違いなく長谷部ルーシー組なのだけれど、個人的には一宮兄妹と千早組が一番のお気に入り。というか、多分そういう人のほうが多いんじゃなかろうか。といいつつ本作の評判を全然知らないので、実際のところはわからぬ。
2巻以降、本作は基本的に一宮千早カップルと一宮妹が癒やしであった。高津カリノの作風は、酸性とアルカリ性を混ぜて中和するような感じだと思っているけれど、本作についてはそのバランスがちょっと酸性気味に感じる。ギャグがちょっとキツ目でフォローが足りないというか。じゃんけんのごとく、人間関係がグーチョキパーで円環を構成しているとよいのだが、本作はその輪が切れている感あり。職場の人間関係なので、全体的に他作品よりも距離感もある。仕事の付き合いで、あまりプライベートに踏み込むのはよろしくなかろう。
そんな中で、非常に近い距離感で関係を築いていた、一宮兄妹と千早の三人。この三人組は本当に微笑ましかった。妹に嫌われていると思い込んでいる兄貴と、表向きは兄を毒つくけれど実は超絶ブラコンな妹、とだけ書くと、テンプレート感があるのだが、二人共変わった性格をしているうえに、兄貴がちゃっかり彼女を作っているという設定まで織り込むと、実はなかなかないのではなかろうか。
彼女は兄のみならず妹さんのことも好きで、ブラコン妹とちゃんと仲良くできている。一方で、仲良くできているとはいっても、千早は兄との関係を隠していることに後ろめたさを感じているし、また塔子は兄貴に彼女がいるとか考えたくもない、あるいは考えないようにしている、あるいは自動で思考が停止するようになっている程度には、ちゃんと漫画らしいブラコン娘であり、その関係は単なる仲良しではない。そうでありながらも、千早と塔子はちゃんと関係を築けていて、だからこそ超ブラコンの塔子も一宮と千早のお付き合いを最終的に祝福できた。とても、面白い関係だ。
ただ一宮が千早に出を出しているところを目撃したらどうなっちゃうんだろうね!薄い本の論理で考えると、ここは三人で夜のお付き合い(略)
ゲスい話は置いといて、初めてのクリスマスイブを妹も含めて過ごしたいっていうんだから、妹も合わせて、千早は一宮兄妹が本当に大好きなんだなぁと思うと、すごくほっこりするよ。というか、妹抱き合わせじゃないと一宮とは付き合えないし(なにしろ彼女より妹を優先するし、兄貴に彼女がいなければ塔子は未来永劫兄から離れないだろう)、そう考えると、一宮兄妹にとって千早以外の女性はありえないよなぁ。すげぇいいなぁ…。
長谷部ルーシーもよかったよ。でも、一番よかったのは、やっぱり一宮兄妹と千早だなぁ。オマケ漫画でもなんでも、またちょっと描いてくれないかな…。
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