『サーバント×サービス』一番くっつくべき人たちは三好さんとジョージじゃなかろうか

職場の人間関係は難しいね

高津カリノの作品では、WORKING二種類、俺の彼女に何かようかいとサーバント×サービスを読んだが、サーバント×サービスはその中でも年齢層が高めのお役所漫画だからか、他作品よりもけっこうキツめの印象だった。やっぱり職場の人間関係となると、バイト先や学校の人間関係と比べて難しいよね。いかに高津カリノとはいえ。

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どうしても税金が頭にちらつく

職場が役所っていうのも、バランス取るの難しい面ある。ファミレスでバイトが「こいつら仕事してんのかよ!」っていうのは笑えるけど、役所で公務員がで「こいつら仕事してんのかよ…」ってのは笑えるというより腹立つもんなぁ。別にきりきり舞いになって働くことはないけれど、やるべき仕事はやってくれないとって思う。いや、なんだかんだいって主要人物みんなちゃんと働いてるんだけどさ(課長除く)。

同時に、彼らが働くのを邪魔するような人たちにも、「みんなの税金で働いてもらってる公務員を私物化しちゃいかんよ!」と言いたくなるような気持ちもあって、具体的には田中のおばーさんとか塔子ちゃんとか、悪い人じゃないのはそうだけど(塔子なんかすごく好きなキャラ)、リアルにどうかと思ってしまう面もある。ギャグ漫画で細かいこと気にするなっていう考えもあろうが、ギャグ漫画でも気になるもんは気になるともいう。大した税金払ってるわけじゃないけどさ…いやもう税金の話はやめとこ(嘆息)。

闇の深い人

社会人である主要メンバーらの関係は、学生やバイトのそれとはやはり違っていて、どこか一線を引いたところがあるのも当然だし、そうあるべきだと思う。ただそれ故に、ギャグ漫画としてバランスの取り方も難しいのだろうな。微笑ましさが少ないというか。

なんともモヤモヤしながら読んでいたのだが、そのモヤモヤの一番の原因は、どうにも三好さんにあるような気がしてならない。この子は普通に闇が深いなぁ、と。言いたいことが言えず人疲れして、いざ口を開けば不必要に相手を傷つけるような言葉を吐いて、そのことに自分自身が耐えられなくて…って、そのうち心の病になるよ!本当は大学院で勉強したかったってのもリアルにつらいよ。

親が悪いなぁ。言いたいこと言えない人は、だいたい家庭環境に問題があるもんで。そのうえ嘘ついて結果的に勉強やめさせたわけだし、そりゃちょっと最低だ。それじゃ心もねじ曲がる。よく頑張ってるよ三好さん。でも闇は深いよ。

吐き出せる人

ただ、このままいくとやっぱどっかで潰れるんじゃないの?とか思うところもあり。誰か、支えになる人がいるといいのにね…。と思ったところで、あてがわれるのが長谷部の友人ジョージなわけだ。といっても、本編ではせいぜい友人ポジションで、特に色恋沙汰にはならんのだけど。

でもこの二人、実は本作で一番くっつくべき人たちなんじゃなかろうかと個人的には思う。少なくとも三好さんにとって、ジョージは非常に良い人だろう。三好さんが言いたいこと言えるほぼ唯一の人間だ。気兼ねなく愚痴れるし、ジョージ自身に対しても「ひどいこと言っても許される感」もある。これは大きい。実際ジョージは多くの場合気にしないし、また痛いところを突かれて傷ついたとしても、それが正論である限り自分の問題として受け止め、指摘してくれた人に感謝して乗り越える力を持っている。これはなにげにすごい性質だと思うよ。

また、偏っていて自分勝手なところはあれど、基本的に正義漢で友人想いであり、いざとなれば行動力もある。そんなジョージを、三好さんは軽んじるところは正直ありながら、敬意もまた払っているようにうかがえる。安心して毒づけて、時には頼りに出来る、三好さんにとってはこれ以上なく気易い。暴走気味な彼を心配にも思い、長年培ってきた気遣い癖も存分に発揮できる。愛されるのに慣れていないのか、気遣うことでコミュニケーションを取るタイプなので、基本的には面倒見るのが性に合っているみたいだし。

三好さんにはこういう人がいるといいんじゃないかなぁ。付き合わなくても、良き友人として関係を築いていければよいけれど、ジョージは行員で転勤族になりそうなので、付き合っちゃいなよ!って感じ。

本作はジョージ視点だと長谷部を好き過ぎて三好さんに対する気持ちが若干わからないが、クリスマスのやりとりから好ましく思っていることは確かなようだし、実際暴走気味のジョージをしっかりと引き戻してくれる三好さんは彼にとってもよかろうし、けっこういいんじゃないかな、この二人。

ってーか、三好さんを見ていると心が痛くなることしばしばあったので、この二人こそくっついて安定してほしかったのだが、時間がかかりそうな二人ではあるので、作中で進展がないのは仕方がない。きっとうまくいったのだと妄想しよう。

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