内山敦司, 世界化彼女か選べない 1, 2017
おお、面白い。
作者さんは以前「『せいふく!』ずっと幼馴染とイチャイチャしてればいいのに – 少年は少女に出会う」という作品を"あっつん"名義で描いていた人。あれから作品見なかったから漫画辞めちゃったのかな…と思ったんだけれどバリバリ頑張っていたようでよかったよかった。
で、本作はボーイ・ミーツ・ミステリアスガール。男にとって都合の良い彼女が迫ってくるんだけれど、主人公が好きな娘は幼馴染のあの娘で向こうもまんざらじゃない、けれど幼馴染を選んだら世界が滅亡するので、世界のためにも可愛くて都合のいい私とイチャコラしましょうという話。究極の選択を迫るトロッコ問題ラブコメ版。修羅場上等の三角関係で、これありそうでないんだよね。
とまぁ、なんともラブコメ的B級感満載の世界観でしょう。そうだよ。なのでまぁラブコメ好きがターゲットになるわけだけれど、決してテンプレっぽさは感じさせない。面白いと思う。冷めた顔した女同士の戦いが見ものでした。修羅場好きにいいと思う。だから続きもポチったよ!以下1巻感想。
印象深かった作者さん
おーおー、どこかで見た絵柄だなと思ったら「『せいふく!』ずっと幼馴染とイチャイチャしてればいいのに – 少年は少女に出会う」の作者さんじゃないですかー。あの漫画はまぁB級ラブコメなんですが、個人的には割と印象深い作品だったのですよ。
女の子いっぱいなんだけれど、ヒロイン候補は絞られており、だいたい幼馴染ともうひとり。幼馴染は突然現れたポッと出ヒロインに彼氏候補かっさらわれちゃうの系で不遇な幼馴染漫画……と思いきや、話が進むとむしろ幼馴染漫画の様相を呈し、その後本来のメインヒロインと思しき方が一気に頑張って、最終的には主人公のほうで「え!?」と悩ましくなるような、まぁそういうハッピーな野郎向けラブコメ漫画でした。
と描くと、どこにでもありそうな漫画なわけですが、色々と面白いと思ったところがあって。
まず、修羅場展開を割と躊躇わず入れてくるところ。具体的には過度なブラコンの妹さんによる。あまりにも過激過ぎるのでキモウトと言ってよいでしょう。なにしろヒロインを物理的に消しにかかる、非常に攻撃的なタイプなので……可愛いけれどさすがにレベル高い。幼馴染について完全に敵視しており、勃発した幼馴染vsキモウトの戦いは唐突過ぎてビックリしたわ。メインヒロイン蚊帳の外。
そして、躊躇わない極端な設定。先の殺傷力のあるキモウトをはじめ、割とシャレにならないレベルで暴力的なキャラクターがそこそこおり、また同性愛的な要素も散りばめられたりなど、かなり極端な設定が多かった。これについては、正直ちょっとキツすぎたのだけれど。もうちょっとベクトルを変えてクッションをかましてもらえれば……。
あとは、男キャラの描写。主人公はもちろん、しれっと友人キャラについてもきっちりキャラ作りをしていたところが、この手の漫画として良いところでした。おざなりなの多いやん。このジャンルはさ。存在すらしないことも多いし。でもそこ大事やん。
あとがきで、主人公について三角関係にもきちっと結論出せる男だと思っています、というようなコメントをしていたのが特に印象深い。そういう気持ちで描いていたんだなぁと。
まぁ話としては全体的にとっちらかっていて、正直ななめ読みの話も多かったんだけどさ。でもけっこう楽しい漫画だなと思っていて、だから作者さんのことも気になっていました。
世界は滅亡する!
あれから見かけないなぁと思っていたんですが、バリバリ頑張ってらしたわ。名義が変わっている。せいふく!は"あっつん"名義で、本作は"内山敦司"名義でした。使い分けているのか、それとも変えたのか。普通の名前っぽいほうが活動しやすいんですかね。
で、本作なんですが、せいふく!で気になったところがブラッシュアップされて、より楽しめるB級ラブコメになったなぁと……。や、B級ってのはB級グルメとかと同じニュアンスですよ。まぁ「世界が滅亡する!」とか言い出したらどうやってもB級です。それはもう仕方ない。B級ええやないですか。B級大好き。SFは全部B級。スター・ウォーズはよくできたB級(怒られそう)。
ありそで少ない三角関係・修羅場系
構成は前と近い。ボーイ・ミーツ・ガールは突然に、幼馴染から彼氏をかっさらっていく。主人公とヒロインの顔が前作と一緒(ただしヒロインは胸マシマシ)。
さてさて、今回の話は、主人公・中川光輝が懸想している幼馴染・藤崎歩美に想いを伝えるところから始まる。歩美も光輝のことを憎からず思っており、順当にいけばうまくいきそうなのだが、実はこの二人、くっつくと世界が滅ぶ。世界を滅ぼしてはいけない、ということで、事情を知るミステリアスガール・神堂が、光輝の告白を邪魔した挙げ句、歩美とくっついたら世界が滅ぶから、私と付き合えばいいじゃない、と色仕掛けで光輝に迫る……という話。
光輝は歩美が諦めきれないけれど、世界が滅んだら困るし、神堂さんは可愛いしエロいしで、まぁ悩むことになるわけです。
で、これだけだったらまぁラブコメ界隈ではよくある話かもしれないんだが、面白いのは、歩美と神堂がハッキリと対立するところでしょーか。
告ると世界が滅ぶので、光輝は歩美に想いを伝えられていない状態だが、そう簡単に諦めきれるものではない。だから、神堂のアプローチに心揺らされながらもなんとか踏みとどまっている状態。歩美は光輝のことを非常に大事に想っているので、神堂のせいで光輝が悩んでいることを知り、動き出すのだが、この際の神堂と歩美のやりとりは修羅場好きにはたまらないかと。
怖い。
前作でもあった修羅場描写は、なぜかメインヒロイン以外のところでされていたが、今回はバッチリ、メイン二人の女の戦いとなっております。
幼馴染二人の互いを思いやる感じが好ましく、本来ならここに割って入るのは禁忌だが、事情が事情なのでまぁ仕方ないのかぁ……というバランス。メインヒロインがお邪魔虫キャラってのはけっこう珍しいのではないか。
面白かったので、続きもポチりましたわ。
コメント
コメント一覧 (2件)
エロい展開は前半だけでクライマックスが近づくとそういう展開もほとんどなくなってしまうのでエロ目当てでコミックを買う時は注意が必要かも…。
そですね。サービスシーンはだんだん減っていくし、ストーリーもシリアスめなので、明るく楽しいちょっとエッチなおバカラブコメみたいなのを期待しているとつらいかもです。