俺がこのサイト以外のレビューブログを一切見ていないのは以前にも書いたが(どうして漫画のレビューを読むのか – 少年は少女に出会う)、あれから状況は特に変わっていない。時折、気になった作品について検索することもあるのだが、検索結果に嫌気が差して見ないことが多い。
いったいぜんたい、ネットは本当に面白くなったのだろうかと思う。
かつての個人サイト
俺がインターネットを始めたのはミレニアムに浮かれた2000年頃だったか。まだネチケットとかテレホーダイなんて言葉の残る頃で、今のように潤沢な通信環境などなく、一部の好事家が、家のPCで細々と楽しんでいた。
そういう状況だったから、インターネットにおけるマネタイズ手法も全体的に未熟で、そもそも金儲けに繋がるようなこと自体が倦厭されていた。まぁこれは今にして思うと理想主義的に過ぎたのだが、あの頃のサイトは経済的利益を度外視した趣味性の強いところが多かった。サイトを運営するには技術的な勉強も必要だったし、それができるという時点である程度の能力のある人だとも言えた。
ある程度の能力を持った人が、己の趣味のために、金銭度外視で作られたサイトは、どれもこれもニッチな面白さを秘めていた。まぁ掛け値なしに面白かったかと言われると、それはまぁ個人の趣味とあえば、というところではあったものの、逆に言うと合いさえすればたいへん面白いサイトが多かったものである。
おかげで毎日いくつものサイトの更新をチェックせねばならず、日々更新を確認する巡回ツールなんていうものも作られていた。今は昔である。
ブログ、プラットフォームの台頭
状況が変わってきたのは、やはりブログの台頭だろうか。このサイトもブログなわけだが、2000年代半ばくらいだと、ブログは敬遠されていたように思う。あまりにも簡単につくれるので、苦労して個人サイトを作っていた人からすると面白くないというのもあったし(ブログも自分でサーバーたてるところからやるとだいぶ苦労するけどね)、どこのサイトも判で押したように同じ見かけをしていてつまらないということもあった。手軽さ故に、中身のない記事も乱造された。その癖、SEOにはやけに強くて、検索によく引っかかるものだから、ヘイトを買いがちだったように思う。
しかし、ブログは圧倒的に楽に記事を書くことができた。ユーザーにとっても、知りたいことを知るにはサイト全体ではなく、単一の記事で十分だということも多く、入り口ページはサイト個別に置かれるものではなくGoogleの検索窓になった。サイトに入り口なんて置こうものなら、自ら「このサイトはレガシーです」と公言しているような状態だ(今どきの子供だと、入り口ページと言われてもなんのことかわからん子のほうが多いだろうなぁ)。今でもやっている人もいるが、もはやポリシーだろう。
また、創作系では小説家になろうやpixivなどのプラットフォームが台頭し、手軽に作品を投稿できるようになったことから、いよいよ従来の個人サイトの肩身は狭くなってきた。まぁ個人が作品の投稿を受け付けて代わりに自サイトに「誰々さんの作品です!」と置いていたのは明らかに色々と面倒な問題があったので、プラットフォームができたのは良かったと思う。
まとめブログの台頭
まぁこれくらいならネットも便利になったものだ、という程度だったと思うのだが、これらすべてを飲み込むまとめブログの台頭がすべてを変えた。
このまとめブログというやつは強烈で、2ちゃんねるをはじめとした匿名掲示板の書き込みをまとめたものが代表的だ。中にはpixivの絵をまとめたサイトもある(その手のはだいたいR18か?)。まとめサイト、というくらいだから既にネットにあるものをまとめただけなので、新しく情報が生み出されるわけではない。
まぁまとめる、というのも一つの付加価値ではある……が、問題は同じようなまとめサイトが雨後の筍のごとく大量生産されたことだろう。さらにまとめサイトをまとめたサイトなんて悪夢みたいなものも多く作られた。
そのため、同じ内容の、しかも中身がないサイト検索結果にずらずらと並ぶことになり、かつては有能だったGoogleの検索結果は徹底的に汚され、多くの分野でもはや検索が役に立たない状態にまで陥ってしまっている、と思うのは俺ばかりではないだろう。特にエンターテイメント系は酷いの一言だ。
これはマネタイズと大きく関係しており、まぁ言ってしまえば今のWebにおけるマネタイズ手法を最大限利用すると、まとめサイトみたいなものができてしまうらしい。
最近はもう少し形を変えて、いわゆる「いかがでしたかブログ」なども多くできており、特に芸能関係などはまともなファンによる記事などひっかからず、どこかのライター崩れが小遣い稼ぎで請け負った「調べてみました!」記事しか引っかからない壊滅状態だ。これもまた、調べてみました!記事をさらに調べてみました!記事が調べるという悪夢のようなループに陥り、文体だけ変えた既存情報が大量コピーしてばら撒かれている。
漫画系はマシかもしれないが
まぁそこへいくと、漫画系はまだマシなほうだとは思う。アニメ化されると汚染が酷いし、大手少年漫画系はだいぶやられてはいるものの、そこから外れるとややニッチになるようで(つまり金儲けにならないようで)、しょうもないまとめ記事や調べてみました!記事はだいぶ少なくなる(とりあえずなんとかかんとかに薦めるオススメ〇〇選!ってのはほんと不毛だからやめてほしい……と言いつつこのサイトでも昔少しやったことがある)。
が、一定以上マイナーになるとそもそも記事を見かけないということも多く、あってもどこかの読書SNSの一行感想だったりする。っていうか俺の記事しか出てこないことも多い。fuck。
昔はニッチなものにはニッチな記事が少なからず引っかかった記憶があるのだが、最近はニッチ作品は引っかからず、大手作品はクソみたいなまとめ記事ばかり引っかかるような気がする。なんだかなぁ。
うちのサイトの場合
そうは言っても、このサイトは85-90%ほどが検索流入であり、なんだかんだ検索エンジンがあるからこそこのサイトもまぁ見てもらえていることも事実である。実際このサイトのアクセス変動は、Google先生の評価次第である。
普通に作品名で検索してもニッチな作品じゃなければまとめ系に流されて引っかからないので、いくつかのワードを付記した状態で引っかかって来る人が多いようだ。たいていの場合「ネタバレ」とか「最終巻」とかが多いが、別にうちはストーリーネタバレサイトではないので、ご希望に添えているのかは謎である。
ただまぁ、こういうエンタメにおいて事実確認的なものはそれこそどこぞのWikiにでもまとめておけばよいのである。単一の記事に求められるものは、誰かのまとめでもなければ事実の羅列でもないだろう。
俺はこのサイトに俺の思ったこと、考えたことを書いているが、それはサイトとはそうあるべきだと思っているからだし、またそのようなサイトがまた増えてほしいし、検索エンジンの評価方法も改めてほしいと願っている。
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