女子キャラ全盛のこのご時世に、別に腐向けでもなく男ばかりで日常系ギャグをやった本作は、男だけで現代的なゆるい日常系ギャグ漫画はやれることを証明した。同時に、ヒロインがいるともっと面白くなることも証明した。ラブコメとしてもなかなかよ。
ネット上では文学少女の話で有名になった作品。
基本情報
男子高校生の日常 - 漫画 - ガンガンONLINE | SQUARE ENIX
全7巻。公式アンソロもある。2009-2012年連載。ガンガンオンライン。作者の山内泰延は本作がデビューらしい。元々の名前は男子高校生のどうでもいい日常だったらしく、作者としては本作はそういう気持ちで描いたのだと思われる。原点はたしかにそこであるものの、実際には様々な同年代の女子も出てきて、結果、アホな高校生の野郎どもを中心にした、幅広い群像劇になっている。男中心の割に下ネタが少ないのが特徴だと思う。
割と小奇麗な絵で野郎中心ということもあり、アンソロジー読んだ限り割と女子ウケしていた模様。しっかりBL人気もあるみたい。というか、主要なファン層はもしかしてそっちなんだろうか。いやでも一番人気は多分文学少女シリーズの話だろうしそんなこともないか。いやわからん。いいやどうでも。
だいたいこんな感じ
基本的な雰囲気としては、作者が元々のタイトルにしていた「男子高校生のどうでもいい日常」が一番しっくりくる。タダクニ(目立たない主人公)、ヒデノリ(メガネ)、ヨシタケ(金髪のバカ)の三人組を中心に、ヤンキーのモトハルやみつおくんといったクラスメート、モトハルの所属する生徒会の面子など、やはり男子高校生の出番が一番多い。
群像劇であり、BLでもなく(BL受けはしているが)、このご時世に男ばかりで日常系のゆるいギャグ漫画をやりきった、と考えるとすごい作品だ。しかもそれが面白い。姉や妹は出るが特に姉妹萌えな感じではなく、とはいえ普通に仲良さそうで羨ましくはある。こういう漫画が増えればいいなと思ったよ。そこそこ影響を与えたんじゃないかと思うがどうだろう。考えると思い浮かばんが。
が、それでも本作で一番面白いのは、女子キャラが登場して恋愛が絡む話じゃなかろうか。いや俺がラブコメ脳なのを差っ引いてもさ。いくつかラブコメ枠のシリーズもあるが、本作の大きな柱となっていた。
いくつかのラブコメ枠
特に、恐らくこの漫画の人気に火をつけたのは文学少女の話と思われる。文学少女のシリーズはここだけ取り出してスピンオフさせたいほどにラブコメとしてとてもいいもの。本作はギャグ漫画として十分に面白いけれど、このシリーズを一番の目当てに読んでいた人もけっこういたんじゃないか。なにげにヒデノリは他にも女子とけっこう絡み、中にはかなりいい感じになる子もいる。文学少女にそれを知らせて反応が見たい。
他、男子校の生徒会長と女子校の生徒会長という、できすぎた絡みもある…って、今文字にしてびっくりしたけどそんなロマンチックな話ではない。うわすごいな、ほんとだ男子校の生徒会長と女子校の生徒会長だわ。文字だけ見るとすごいな。今気づいた。いや全然そんなんじゃないんだけど。
そんな絡みもラブコメ的にはおいしい。
あとこの作品のラブコメ枠で一番強烈なのは、本編内外伝みたいな位置づけである「女子高生は異常」のとしゆきと羽原の話だろうか。「女子高生は異常」は正しく男向け萌え漫画的な感じで、絵が絵なのであまりあからさまな萌え漫画っぽく見えないけれど、いかにも男向け。多分こっち側の話目当てで読んでいた人もいたと思われる。
「女子高生は異常」は一見逆男子高校生の日常に見えて、特異な設定。登場人物の戦闘力がやけに高く、荒ぶる過去があり、それでいながらほんわかとした本編と世界観を共有している。実際両方に登場する人物も多い。結果的には、うまい具合に融合しており、本作の世界観そのものを広げていたと思う。このシリーズも、メインの一人羽原を就寝にしてしっかりラブコメとしているというか、本編よりも恋愛中心、なんだがちっともほんわかしない。でも、ラブコメ好きなら羽原の話は変わった味ながらも好ましいはず。
他、残念男子(でも主人公属性もってる)みつおくん、姉におちょくられるヤンキーのモトハル、自意識過剰女など、複数のシリーズが展開され、かつそれらの話が完全に独立せず他の話ともちょいちょいとリンクする丁寧な描かれ方をしていて、単純にギャグ漫画として面白い。でも当サイトはラブコメ推しなので。やっぱり文学少女で。仕方ないね。
総評
男だけでも面白いけど女がいるともっと面白い。逆もまた然り。
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